海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン3第23話では、フィービーが消防士のヴィンスと幼稚園の先生のジェイソンの二人とデートを重ねていて、どちらにするか決められずにいます。相談を受けたジョーイとチャンドラーは、それぞれ違う相手をすすめます。
日本語ではどちらも「選ぶ」と訳せる pick と go with ですが、作中の使われ方を見比べると、言いたいことの重心が少しずつ違います。助言の切り出し方から、決めたことの伝え方まで順に見ていきます。
「Why don’t you ~?」迷いを打ち明ける友達への助言
カフェのセントラルパークに、フィービーがレイチェルと一緒に入ってきます。二人の男性は互いのことを知らず、フィービーはその状態について、こう打ち明けます。
Phoebe: I can’t take it, you know? I’m always afraid one of them is going to catch me with the other one. It’s making me crazy.
(もう無理なの。どっちかに、もう一人と一緒のところを見られるんじゃないかって、いつも怖くて。頭がおかしくなりそう。)
Rachel: Well, honey, then why don’t you break up with one of them?
(じゃあハニー、どっちかと別れたら?)
Friends Season3 Episode23(The One with Ross’s Thing)
I can’t take it. の take は「受け止める」「耐える」の意味で、「もう耐えられない」と限界を伝える言い方です。It’s making me crazy. は進行形で、今まさに気持ちが追いつめられている状態を言い表しています。どちらも、何が起きたかの報告ではなく、自分がどんな状態にあるかを伝える文です。理由を詳しく説明しなくても、困っていることが相手に伝わる短さがあります。
それを聞いたレイチェルの Why don’t you ~? は、直訳すると「なぜ〜しないの?」ですが、ここでは理由をたずねているのではなく、「〜したら?」という提案として働いています。命令文で「別れなさい」と言うより、相手に判断を残す形の助言です。頭に置かれた Well と then が、「それなら」と相手の話を受けてから提案に入る流れを作っています。
「Pick him」と「Go with Vince」選び方をすすめる二つの言い方
続いてレイチェルが一人に絞るよう促し、モニカがどちらがいいのかをたずねます。
Rachel: So, Pheebs, pick one of them.
(じゃあフィーブス、どっちか一人選びなよ。)
Monica: Which one do you like more?
(どっちのほうが好きなの?)
Friends Season3 Episode23(The One with Ross’s Thing)
フィービーがヴィンスのよさを話すと、仲間の助言は二つに分かれます。
Joey: Okay, good, so there you go. Go with Vince.
(よし、いいじゃん、答えが出たな。ヴィンスにしとけよ。)
Phoebe: Yeah, but Jason’s really sensitive.
(うん、でもジェイソンはすごく繊細なの。)
Chandler: Well, sensitive is important. Pick him.
(繊細なのは大事だぞ。そっちを選べよ。)
Friends Season3 Episode23(The One with Ross’s Thing)
pick は、いくつかある中から一つを取り出す動作に重心がある動詞です。レイチェルの pick one of them は「二人のうち一人を選んで」と、選ぶ行為そのものを求めています。一方のジョーイの go with ~ は「〜にする」「〜でいく」という意味で、選んだあとの決定に重心があります。There you go. は「ほら、答えが出た」と相手の言葉を結論として受け取る一言で、そこから Go with Vince. と決定をすすめています。
| 表現 | 作中の使い方 | 重心 |
|---|---|---|
| pick | pick one of them / Pick him. | 候補から一つを取り出す |
| go with | Go with Vince. / going with the teacher | 「それにする」と決める |
モニカの Which one do you like more? は、候補を比べて好みをたずねる聞き方です。助言する側が自分の意見を言う前に、まず相手の気持ちを聞く一言として使えます。
この場面では、フィービーがヴィンスのよさを話すとジョーイがヴィンスを推し、ジェイソンは繊細だと聞くとチャンドラーがジェイソンを推します。同じ相談に対して、ジョーイは go with、チャンドラーは pick と、別の動詞で答えています。
「I didn’t know how to choose」決めたことと迷ったことを伝える
場面がモニカとレイチェルの部屋に移り、フィービーは出かける前に、決めたことを仲間に伝えます。
Phoebe: All right, I got to go. I have to break up with Vince.
(よし、もう行かなきゃ。ヴィンスと別れてこないといけないの。)
Chandler: Oh, so you’re going with the teacher, huh?
(へえ、じゃあ先生のほうにするってわけか。)
Friends Season3 Episode23(The One with Ross’s Thing)
チャンドラーの you’re going with ~ は、先ほどの go with を進行形にした形で、「〜にするってことだな」と相手の決定を確かめる言い方になっています。このあとフィービーは Definitely Jason. と、自分の選択を言い直します。
ところがヴィンスとは別れられず、フィービーはモニカに dump(振る)を使って「ジェイソンを振るの?」とたずねられる状況になります。最後は二人が顔を合わせ、フィービーは二人に向かってこう打ち明けます。
Phoebe: But I… I like you both and I, and I didn’t know how to choose… So I’m sorry. I’m just… I’m terrible. I’m a terrible person. I’m terrible.
(でも私……二人とも好きで、それで、どう選べばいいか分からなくて……だから、ごめんなさい。私って……ひどい。ひどい人間なの。ひどいわ。)
Vince: Phoebe, Phoebe, relax. It’s okay. I mean… we never said this was exclusive.
(フィービー、フィービー、落ち着いて。大丈夫だよ。だって……お互いだけって約束したわけじゃないんだし。)
Friends Season3 Episode23(The One with Ross’s Thing)
choose は、考えたうえで選択することを表す動詞で、pick と比べると、選ぶまでの判断に重心があるとされます。I didn’t know how to choose. で「どう選べばいいか分からなかった」と、決められなかったこと自体を打ち明けています。ヴィンスの relax と It’s okay. は、自分を責める相手をなだめる短い言葉として、そのまま使える組み合わせです。
続く exclusive は「独占的な」という意味で、ここでは「お互いだけと付き合う約束」を指しています。we never said ~ は「〜とは言っていなかった」で、フィービーの謝罪に対して、もともとそういう約束はなかったと返す組み立てです。
まとめ|「選ぶ」を言い分ける英語
候補から一つを取り出す pick、「それにする」と決める go with、考えて選ぶ choose を、迷う友達への助言と打ち明けの場面から見てきました。Why don’t you ~? や Which one do you like more? と組み合わせると、助言の言い方に幅が出てきます。
フィービーと仲間たちのやりとりを追っていくと、同じ「選ぶ」でも言葉によって伝わる重心が違うことが分かります。
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