海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン1第14話では、ジョーイがデート相手のロレインに、友達を連れていくと約束します。連れていかれたのはチャンドラーで、ロレインが連れてきた友達は、チャンドラーが以前別れたジャニスでした。
その場から逃げ出したい人と、先に帰りたい人。立場の違う二人のやりとりには、席を抜けるときの英語がそろっています。その夜の流れに沿って順に見ていきます。
「I’m making a break for it.」でその場から逃げ出す
話はカフェのセントラルパークでの会話から始まります。ジョーイの「明日の夜は今夜しだい」という話を受けて、チャンドラーは今夜の件を切り出しかけます。
Chandler: Oh, listen, about tonight…
(あ、あのさ、今夜のことなんだけど……)
Friends Season1 Episode14(The One with the Candy Hearts)
About tonight… は「今夜のことなんだけど」と、予定について言いにくい話を始めるときの前置きです。用件を最後まで言わずに語尾を濁すと、相手に察してもらう余地が残ります。ジョーイはその先を言わせず、来ないことは許さないとすぐに返します。
その夜、レストランに着いてロレインの友達がジャニスだと分かったあと、二人は化粧室で話します。
Chandler: Okay, I’m making a break for it. I’m going out the window.
(よし、俺は逃げる。窓から出ていくよ。)
Joey: No, no, don’t. Please, I’ve been waiting forever to go out with Lorraine.
(いや、だめだめ。頼むよ、ロレインとデートできるのをずっと待ってたんだ。)
Friends Season1 Episode14(The One with the Candy Hearts)
make a break for it は「隙を見て逃げ出す」という口語で、閉じ込められた場所から抜け出すイメージを持つ言い方です。進行形の I’m making ~ は「今からそうする」という差し迫った予定を表します。続く I’m going out the window. で、出口ではなく窓から出ると言って勢いを強めています。
ジョーイの I’ve been waiting forever は「ずっと待っていた」と、期間の長さを大げさに言う形です。チャンドラーは窓から出ることはなく、二人はそのあとテーブルに戻ります。
「We might be leaving now.」で、先に帰ると切り出す
テーブルでは、ロレインがジョーイに何か耳打ちをします。するとジョーイは、チャンドラーを席から呼び出します。
Joey: Uh… can I talk to you for a second over there.
(あー……ちょっとあっちで話せるか?)
Joey: Uh… we might be leaving now.
(あー……俺たち、もう帰るかも。)
Chandler: Tell me it’s “you and me” we.
(その「俺たち」が「お前と俺」だって言ってくれよ。)
Friends Season1 Episode14(The One with the Candy Hearts)
Can I talk to you for a second? は「ちょっといい?」と人を呼び出して二人で話すときの決まった頼み方です。over there を加えると「あっちで」と場所を移す意味が加わり、周りに聞かれたくない話であることが伝わります。
We might be leaving now. の might は「〜かもしれない」とぼかす助動詞です。ほぼ決まっていることでも might を使うと、相手への切り出しが少しやわらかくなります。ただしここでの we はジョーイとロレインのことで、チャンドラーは含まれていません。
チャンドラーの Tell me it’s “you and me” we. は、その we が「お前と俺」のことだと言ってほしい、と頼む返しです。we が誰を指すかをわざわざ確かめることで、置いていかれそうな状況への抵抗を冗談めかして示しています。同じ形は Tell me you’re kidding.(冗談だと言ってくれ)のように、信じたくない話を聞いたときにも使えます。
「You’re right. I’m sorry.」と言ったあとで
ジョーイの理由を聞いたチャンドラーは、はっきりと抗議します。
Chandler: Okay, you cannot do this to me.
(おい、俺にこんな仕打ちはないだろ。)
Joey: You’re right. I’m sorry. You’re right.
(そうだよな。悪い。お前の言うとおりだ。)
Friends Season1 Episode14(The One with the Candy Hearts)
You cannot do this to me. は「俺にそんなことするなよ」と、相手の行動で自分が困ることを訴える言い方です。do this to me の to me が「自分に対して」という被害の向きを表しています。ジョーイは You’re right. I’m sorry. と、同意と謝罪を重ねて返します。
ところが、ロレインが店の人に持ち帰りの注文をすると、ジョーイの答えは変わります。
Joey: I’m out of here.
(俺、もう行くわ。)
Friends Season1 Episode14(The One with the Candy Hearts)
I’m out of here. は「もう行くね」とその場を立ち去るときのくだけた一言で、会話では I’m outta here と縮めて発音されることもあります。ジョーイはクレジットカードを置いて、ロレインと店を出ていきます。直前の謝罪と同意から一言でひっくり返る順序が、この場面の笑いを支えています。
友人同士なら I’m out of here. で通じますが、改まった場では I should get going.(そろそろ失礼します)のような言い方に替えると、角が立ちにくくなります。
まとめ|席を抜けるときの一言を使い分ける
about tonight… で言いにくい話を始め、make a break for it で逃げ出し、We might be leaving now. で切り出し、I’m out of here. で立ち去る流れを見てきました。同じ「席を離れる」でも、気持ちの強さはそれぞれ異なります。
二人のちぐはぐな夜を観ながら、言葉の温度差をたどるのも楽しみ方のひとつです。
この回のほかのコラムやフレーズ記事でも、同じエピソードの英語を取り上げています。


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