海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン1第22話では、チャンドラーの職場で臨時の秘書として働き始めたフィービーが、同僚たちの本音をチャンドラーに伝えます。昇進して上の立場になったことで、まわりの見方が変わっていたという筋です。
言いにくいことをどう切り出すか、受け入れがたい現実をどう伝えるか。いくつかの場面を順に追いながら、立場が変わったときの英語を整理していきます。
「They don’t like you.」と言いにくい事実を伝える
初日を終えてカフェのセントラルパークに来たフィービーに、チャンドラーは自分と知り合いだったことが役に立ったかのように話します。フィービーはこう答えます。
Phoebe: No, I didn’t tell anybody that I knew you.
(ううん、あなたと知り合いだってことは誰にも言ってないの。)
Chandler: Why not?
(なんで?)
Phoebe: Well, because, you know…
(だって、ほら……)
Phoebe: They don’t like you.
(あの人たち、あなたのこと好きじゃないの。)
Friends Season1 Episode22(The One with the Ick Factor)
Well, because, you know… は、理由を言いにくいときに言葉を探す前置きです。you know を添えると「わかるでしょ」と相手に察してもらうような響きになります。そのうえで They don’t like you. と短く言い切っています。主語の they はここでは職場の人たちを指しています。
何の話かと聞き返すチャンドラーに、フィービーは理由を説明します。
Chandler: What are you talking about?
(何の話だよ?)
Phoebe: Don’t feel bad. They used to like you a lot.
(気にしないで。前はすごく好かれてたのよ。)
Phoebe: But then you got promoted, and now you’re like Mr. Boss Man.
(でもそのあと昇進して、今じゃ「ミスター・ボスマン」って感じなの。)
Friends Season1 Episode22(The One with the Ick Factor)
Don’t feel bad. は「落ち込まないで」と先に相手を気づかう一言で、悪い知らせの前に置かれることがあります。used to like ~ a lot は「以前はとても好きだった」と、今との違いを示す言い方です。get promoted は受け身の形で「昇進する」を表し、Mr. Boss Man は「上司そのもの」といったあだ名風の呼び方になっています。
「Just because I’m in charge doesn’t mean ~」で変わっていないと言う
別の場面で、モニカとレイチェルの部屋にいたフィービーが職場の人たちの誕生日パーティーに行くと話すと、チャンドラーは誰からも聞いていなかったと言います。フィービーが、それも好かれていないことの一部だと答えると、チャンドラーはこう返します。
Chandler: You know what, I don’t get this. A month ago these people were my friends. Just because I’m in charge doesn’t mean I’m a different person.
(あのさ、わけがわからないよ。1か月前は、あの人たちは俺の友達だったんだ。上の立場になったからって、俺が別人になったわけじゃない。)
Phoebe: Then you should come tonight. Let them see what a great guy you still are.
(だったら今夜来ればいいのよ。あなたが今もどんなにいい人か、見せてあげて。)
Friends Season1 Episode22(The One with the Ick Factor)
I don’t get this. の get は「理解する」で、「どうしてそうなるのかわからない」という戸惑いを表します。続く A month ago these people were my friends. では、過去形の were が「今は違う」という含みを持たせています。
中心になる Just because A doesn’t mean B. は「Aだからといって、Bというわけではない」という構文です。本来は The fact that ~ のような主語が来る位置に、just because 節がそのまま主語のように置かれる口語的な形です。be in charge は「責任者である」「仕切る立場にいる」という意味で、肩書きを言わずに立場だけを示せます。
フィービーの Let them see ~ は「〜を彼らに見せてあげて」で、let + 人 + 動詞の原形の形です。what a great guy you still are の still が「昇進しても変わらず」を補っています。フィービーはこのあと、一緒に会場へ行くのはやめてほしいとも頼んでいます。
「You just got to face it.」で受け入れるしかないと伝える
パーティーのあと、チャンドラーのオフィスで二人が仕事の手を休めているとき、カラオケの話をするチャンドラーに、フィービーは、それでも同僚たちにからかわれていたことを伝えます。理由がわからないと言うチャンドラーに、フィービーはこう話します。
Phoebe: Well… you know what, Chandler I think you just got to face it.
(うーん……ねえ、チャンドラー、もう受け入れるしかないと思うの。)
Phoebe: You’re like the guy in the big office.
(あなたは大きなオフィスにいる人って感じなのよ。)
Phoebe: You’re the one that hires them and fires them. They say you’re a great boss.
(みんなを雇ったりクビにしたりする立場でしょ。いい上司だって言ってるわよ。)
Chandler: They do?
(そうなの?)
Friends Season1 Episode22(The One with the Ick Factor)
you just got to face it は you have got to face it の have が落ちた口語の形で、「その現実を認めるしかない」という意味です。face は「直視する」で、受け入れたくない事実を指して使われることが多い動詞です。just が入ることで「ほかに道はない」という響きが強まります。
the guy in the big office は、実際の部屋の大きさよりも、立場の違いを示す言い方として読み取れます。You’re the one that ~ は「〜するのはあなたなのよ」と、役割を相手に突きつける形です。チャンドラーの They do? は、直前の say を do で受けて「そう言ってるの?」と聞き返しています。フィービーはこのあと、もう友達ではないのだと続けます。
その後、職場の廊下で、チャンドラーは同僚たちにこう伝えます。
Chandler: Thanks. Listen, about the weekly numbers I’m going to need them on my desk by 9:00.
(ありがとう。それで、週の数字だけど、9時までに俺の机に出してもらいたい。)
Friends Season1 Episode22(The One with the Ick Factor)
I’m going to need ~ by … は「…までに〜が必要になる」と、指示を事実の形で伝える言い方です。Listen, about ~ で話題を切り替え、仕事の用件に入っています。
まとめ|立場が変わったときの伝え方と受け止め方
They don’t like you. の言い切り、Don’t feel bad. の気づかい、Just because ~ doesn’t mean ~ の反論、You just got to face it. の助言を見てきました。立場が変わったときの言葉選びが、場面ごとに違って見えてきます。
職場の人間関係に揺れるチャンドラーを観ながら、それぞれの言い方の温度の違いを追ってみるのも楽しみ方のひとつです。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事では、この職場の場面を別の切り口から扱っています。


コメント