海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン1第5話では、チャンドラーが交際相手のジャニスに別れを告げようとして、なかなか言い出せません。自分もトニーと別れると言い出したフィービーが、その横で彼を励まします。
言いにくいことは、言う中身よりも「言い出すまで」が難しいものです。背中を押す一言、始める直前の合図、そして切り出しの文の作りを、3つの場面から順に見ていきます。
「You just got to do it」と気の進まない相手を励ます
仲間が集まるカフェで、ロスがジャニスとの別れ話を持ち出すと、モニカはチャンドラーにこう言います。チャンドラーは、切り出すまでの気まずさを順番に説明して返します。
Monica: Chandler, nobody likes breaking up with someone. You just got to do it.
(チャンドラー、誰かと別れるのが好きな人なんていないって。とにかくやるしかないの。)
Chandler: I know, but it’s just so hard, you know?
(分かってるよ、でもすごく難しいんだって。)
Chandler: I mean, you’re sitting there with her.
(だってさ、彼女と一緒に座ってるだろ。)
Chandler: She has no idea what’s happening.
(彼女は何が起きてるのか全然分かってない。)
Chandler: You finally get up the courage to do it
(やっと勇気を出して切り出して)
Chandler: And there’s that horrible awkward moment when you’ve handed her the note…
(それで、メモを手渡したときのあのひどく気まずい瞬間があって……)
Friends Season1 Episode5(The One with the East German Laundry Detergent)
モニカの Nobody likes ~ing. は「〜するのが好きな人なんていない」と、相手の気持ちをまず認める前置きです。そのうえで You just got to do it. と続け、「とにかくやるしかない」と背中を押しています。got to は have got to のくだけた形で、話し言葉では gotta とも書かれます。just が入ることで、迷う余地を減らす響きになります。
チャンドラーの I know, but ~ は、助言そのものは受け止めつつ「でも」と言い分を足す返し方です。
続く get up the courage to ~ は「勇気を奮い起こして〜する」という意味で、finally と組むと、ためらった末にようやく動く様子が出ます。最後の that horrible awkward moment when ~ は、「〜するときの、あの気まずい瞬間」と、覚えのある人も多い場面を言葉にする型です。ここでの you は目の前の相手ではなく、一般の人を指す使い方です。
「Here we go」と「Have a good ~」で本番に送り出す
トニーと別れると言い出したフィービーは、チャンドラーとカフェで相手を待ちます。ジャニスとトニーが店に入ってくると、二人はこう言葉を交わします。
Chandler: Here we go.
(よし、来たぞ。)
Phoebe: Okay, have a good break-up.
(オーケー、いい別れ話をね。)
Friends Season1 Episode5(The One with the East German Laundry Detergent)
Here we go. は「さあ始まるぞ」と、何かが動き出す瞬間に口にする一言です。ここでは相手が現れたことを受けて、自分に合図を送る使い方になっています。フィービーの Have a good ~. は、Have a good day. や Have a good trip. と同じ送り出しのあいさつの型です。そこに break-up(別れ話)を入れた組み合わせのおかしさが、この場面の笑いどころになっています。
チャンドラーはこのとき切り出せず、先に別れ話を済ませたフィービーが、もう一度彼を励まします。
Phoebe: You can do this. It’s just like pulling off a Band-aid.
(あなたならできる。絆創膏をはがすのと同じよ。)
Phoebe: Just do it really fast and then the wound is exposed.
(とにかくすごく速くやるの。それで傷口がむき出しになる。)
Friends Season1 Episode5(The One with the East German Laundry Detergent)
You can do this. は「あなたならできる」と励ますときに使われることの多い一言です。It’s just like pulling off a Band-aid. は、痛みが続かないよう一気に済ませた方がいい、という意味で使われることが多いたとえです。フィービーは後半で、一気にはがした先に「傷口がむき出しになる」と付け足しています。励ましのつもりのたとえが、後半で思わぬ方向へずれていきます。
「I don’t think we should ~ anymore」で切り出し、手際を認める
励まされたチャンドラーは、ジャニスのいる席に戻り、いよいよ話を切り出します。
Chandler: Janice… Hi, Janice. Okay, here we go: I don’t think we should go out anymore.
(ジャニス……やあ、ジャニス。よし、いくぞ。もう付き合うのはやめた方がいいと思うんだ。)
Friends Season1 Episode5(The One with the East German Laundry Detergent)
名前を呼び、あいさつをし直し、here we go と自分に合図を送ってから本題に入る。言い出すまでの段取りが、そのまま台詞に並んでいます。I don’t think we should ~ anymore. は「もう〜しない方がいいと思う」という言い方で、I think we shouldn’t ~ と言うよりも、英語では I don’t think の形で否定を前に出す方が、やわらかく聞こえるとされています。go out はここでは「付き合う」の意味です。
この話はすんなりとは終わらず、最後はフィービーがジャニスと言葉を交わします。ジャニスはフィービーを抱きしめ、チャンドラーに手を振ってその場を後にします。
Chandler: How do you do that?
(どうやったらそんなことできるんだ?)
Phoebe: It’s like a gift.
(才能みたいなものね。)
Chandler: We should always, always break up together.
(別れ話は、いつだって二人一緒にやろうぜ。)
Phoebe: Oh, I’d like that.
(わあ、それいいな。)
Friends Season1 Episode5(The One with the East German Laundry Detergent)
How do you do that? は、相手の手際に驚いて「どうやってるの?」と聞く言い方です。フィービーの It’s like a gift. は「才能みたいなもの」と軽く受け流す返しで、ほめられたときにさらりと使えます。
まとめ|言い出すまでの段取りを英語で
You just got to do it の励まし、get up the courage の言い表し方、Here we go の合図、そして I don’t think we should ~ anymore の切り出しを見てきました。言い出すまでの流れに沿って覚えると、使いどころが見えてきます。
二人の掛け合いを思い出しながら、次回も『フレンズ』と一緒に英語を学んでいきましょう。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事では、この回の別の場面の英語を取り上げています。


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