海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『メンタリスト』シーズン2第15話には、事件捜査の合間に交わされる、相棒同士の気安いやり取りの場面もあります。今回取り上げるのは、聴取を終えて車に戻る場面で交わされる、からかいと切り返しの英語表現です。短いやり取りの中にも、軽口の応酬ならではのテンポの良さが表れています。緊張感のある捜査の場面とは対照的な一コマです。
軽いテンポで交わされる掛け合いから見ていきます。
「don’t be such an old lady」と「your fears are groundless」―涼しい顔でいなす言い方
聴取を終え、車に戻る場面です。車の鍵が見当たらず、リズボンが尋ねます。
Lisbon: You picked my pocket?
(「あなた、私のポケットから盗ったでしょう?」)The Mentalist Season2 Episode15 (Red Herring)
問い詰められたジェーンは涼しい顔で運転席に乗り込み、Get inと相棒を短く促しながら、こう言い返します。
Jane: Oh, don’t be such an old lady. Get in.
(「そんな年寄りみたいなこと言わないで。乗って。」)Jane: Your fears are groundless.
(「あなたの不安には根拠がないよ。」)The Mentalist Season2 Episode15 (Red Herring)
don’t be such an old ladyは、直訳すると「そんな年寄りみたいになるな」ですが、慎重すぎる態度を軽くからかうときに使われる言い方です。old ladyという言い方は年齢や性別を引き合いに出したからかいの定型句であり、親しい間柄では軽口として通じる一方、実際の会話では相手を不快にさせる可能性もある表現です。such an old ladyのsuchは、後ろに続く名詞を強調して「そんなに~な」という意味を加える働きをします。such a babyのように、相手の態度を大げさな決めつけで軽くからかう場面で使われる形です。続くyour fears are groundlessは「あなたの不安には根拠がない」という意味で、groundlessは「根拠のない」という形容詞です。相手の心配を軽く受け流しながら自分の立場を押し通す言い方が、この一言に表れています。
「You’re right」―皮肉を効かせた切り返し
軽くいなされたリズボンは、表情を変えずに負けじとこう切り返します。
Lisbon: You’re right. The car has air bags.
(「そうね。この車、エアバッグ付きだもの。」)The Mentalist Season2 Episode15 (Red Herring)
You’re rightは本来「あなたの言う通り」と相手の意見を認める言い方ですが、ここでは素直な同意ではなく、皮肉を含んだ切り返しとして使われています。相手の主張を一旦受け止めたうえでエアバッグという別の理由を持ち出し、「不安には根拠がない」という相手の言い分を軽くひっくり返す効果が生まれています。真っ向から反論するのではなく、いったん相手の言い分を認めてから話を進める形は、角が立ちにくい切り返し方でもあります。同意の言葉を使いながらも続く理由づけで相手の主張の中身をそっと覆すこの言い方には、静かに効いた皮肉のニュアンスが感じられます。不安な気持ちに寄り添うのではなく、エアバッグという装備の話にすり替えて応じるところにも、感情ではなく事実で切り返そうとする態度が見て取れます。同意の形を取りながら相手の言葉をいなす切り返し方は、気安い間柄だからこそ成立するやり取りと言えます。淡々とした口ぶりのまま繰り出される一言だからこそ、からかいへの切り返しとしての効き目が増しているところも興味深い点です。
まとめ|からかいをいなし、切り返す会話のテンポ
don’t be such an old ladyやyour fears are groundlessは相手の慎重さを軽くからかう言い方で、You’re rightはその流れを引き受けながら切り返す一言です。相手の主張を真っ向から否定せず、軽く受け流しながら言葉を返すテンポのよさが、このやり取りの見どころです。短いセリフの応酬の中に、気心の知れた相棒ならではの掛け合いの呼吸が表れています。
次回も『メンタリスト』の会話から、こうした軽妙なやり取りを見ていきましょう。
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