「Thank you.」と「Thank you, Captain Obvious.」はどう違う?|『メンタリスト』S03E04で学ぶ英会話

『The Mentalist』コラム: 「Thank you.」と「Thank you, Captain Obvious.」はどう違う?|『メンタリスト』S03E04で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『メンタリスト』シーズン3第4話には、同じ「ありがとう」でも、ふつうの礼と皮肉まじりの礼が、ごく近い場面に出てきます。語を一つ足すだけで意味が変わるため、聞き分けの練習にも向いた題材です。字面だけでは感謝か皮肉か決まらないところが、英語の面白さでもあります。

ふつうの礼、皮肉の礼、そして礼の言葉を使わない受け流しの皮肉を、台詞の流れに沿って、それぞれの働きを比べていきます。

目次

ふつうの「Thank you.」は、礼と切り上げのひと言

聞き取りが終わるあたりで、礼の言葉が続けて交わされる場面があります。

Cho: Thank you.
(ありがとう。)
Rigsby: Thanks a lot.
(どうも、ありがとう。)
— Oh, we can take it from here. Thank you.
(ああ、ここからは私たちで進められます。ありがとう。)
The Mentalist Season3 Episode4 (Red Carpet Treatment)

Thank you. は、相手の手助けや情報に礼を言うときの基本の形です。Thanks a lot. は、それをくだけた形にしたもので、ここでは素直な礼として使われています。a lot が付くと「たくさん」という強調になりますが、言い方によっては皮肉としても使われるため、前後の流れで読み分ける必要があります。

三つ目の台詞には、礼の前に we can take it from here という一文が付いています。take it from here は「ここから先は引き取る」という意味で、あとは自分たちで進めるから大丈夫、と相手の手を借りる場面を区切る言い方です。そのあとに Thank you. を置くと、礼と同時に会話を切り上げる働きも持ちます。

ふつうの Thank you. は、礼だけを言う場合と、このように話を区切る場合があります。どちらの場面でも、言葉そのものは字義どおりの感謝として受け取れます。短い表現なので、声の調子よりも、前後にどんな台詞があるかが読み分けの手がかりになります。

「Thank you, Captain Obvious.」で礼が皮肉に変わる

その直後のやりとりでは、同じ Thank you が、まったく違う働きをします。

— Well, someone was looking for something.
(まあ、だれかが何かを探していたんだな。)
— Thank you, Captain Obvious.
(ありがとう、キャプテン・オブビアス。)
— Three hours of brooding silence, then sarcasm. It’s like we’re married.
(三時間のむっつりした沈黙のあとが、皮肉か。まるで夫婦みたいだ。)
The Mentalist Season3 Episode4 (Red Carpet Treatment)

Captain Obvious は、「見れば分かること」を言った相手に付ける呼び名です。obvious は「明らかな」という意味で、Captain を付けることで、その役を大げさに任命するような皮肉になります。Thank you の後ろに呼び名が付くと、礼の言葉が「言われなくても分かっている」という返しに変わります。

直前の指摘が someone was looking for something だったことから、この返しは、見て分かる内容を言われたときのものと読み取れます。礼の言葉の形はそのままでも、内容は感謝ではなく、指摘への突き放しです。

続く台詞の brooding silence は、考え込むようなむっつりした沈黙を指します。three hours of ~, then ~ で、時間の長さと変化を対にして並べ、It’s like we’re married. で、そのやりとりを夫婦のようだとたとえています。二人のやりとりを軽口でまとめる、冗談の一言です。皮肉の返しを受けて、さらに冗談を重ねる流れになっています。

ここまでの違いを整理すると、次のようになります。

表現 働き
Thank you. 感謝を述べる。話の区切りにも使われる
Thanks a lot. 感謝を強める。言い方によっては皮肉にもなる
Thank you, Captain Obvious. 分かりきった指摘への皮肉の返し

礼の言葉を使わない皮肉「That’s nice for him.」

皮肉は、Thank you を使わなくても成り立ちます。エピソード冒頭の場面で、こんなやりとりがあります。

— Oh, well, then make sure you put in for overtime.
(へえ、それなら残業の申請をしておいて。)
— Ah, healthy skepticism. I like it. But it could work.
(ああ、健全な懐疑心だ。気に入った。でも、うまくいくかもしれない。)
— Mendeleev saw the entire periodic table in his dream.
(メンデレーエフは夢の中で周期表の全体を見たんだ。)
— That’s nice for him.
(それは彼にとってよかったね。)
The Mentalist Season3 Episode4 (Red Carpet Treatment)

眠っていたのではと指摘され、夢の中で仕事をしていたと返す流れのあとに、この四つの台詞が続きます。最初の make sure you put in for overtime は、夢の中の仕事に残業代を請求しておくように、と受け流す一言です。put in for ~ は「〜を申請する」という意味で、文字どおりには手続きの指示でも、ここでは冗談を含んだ返しとして読み取れます。

healthy skepticism は、疑ってかかることを前向きに評価する言い方です。疑われたことを受け止めたうえで I like it と続ける形は、相手の反応を否定せず、そのまま冗談に取り込んでいます。

最後の That’s nice for him. は、直訳すれば「それは彼にとってよかったね」です。メンデレーエフという別の人物の話を引き合いに出されて、自分には関わりのない話として距離を置く返しで、皮肉として読み取れます。礼の言葉はありませんが、nice のような好意的な語を使いながら、相手の言葉に取り合わない点は、Captain Obvious と共通しています。好意的な語を使って反対の意味を伝える形は、英語の皮肉で見かけることのあるものの一つです。

まとめ|語の足し方で変わる「ありがとう」の温度

Thank you. は素直な礼にも、話の区切りにもなり、Thank you, Captain Obvious. のように呼び名が付くと、分かりきった指摘への皮肉に変わります。That’s nice for him. のように、礼の言葉を使わずに受け流す皮肉もありました。

同じ語でも、後ろに足される言葉と前の流れで、意味が変わるのが見どころです。ドラマを観ながら、語の足され方に耳を向けてみましょう。

同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事も、この回の英語を読み解く手がかりになります。

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