海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回取り上げるのは『メンタリスト』シーズン1の第2話。ワイン産地近くの町で起きた事件をCBIのチームが追う回で、地元の保安官が捜査に協力する場面には、都会の捜査官とはひと味違う、飾らない言い回しが並びます。同じエピソードから3本のコラムを予定しており、これはその1本目にあたります。
事件の緊張感の中に混じる、くだけた相槌やぼやきのような表現を見ていきましょう。地元ならではの言葉選びに、耳を傾けてみてください。
「the damndest thing」— 保安官マカリスターの証言に滲む驚きの言い回し
被害者の家を訪ねたリズボンのもとに、地元の保安官マカリスターが証言に現れる場面です。
Sheriff McAllister: You know, it is the damndest thing. I was at the Shand Creek that night on a call ‘round about the same time that girl was taken. A drunk wouldn’t pay his check.
(いやぁ、これがまたとんでもない話でしてね。あの晩、たまたまシャンド・クリークに呼ばれてたんですよ、あの子が連れ去られたのとちょうど同じ頃合いに。酔っ払いが勘定を払わなくてね。)Lisbon: That is the damndest thing. You notice anything that might be useful?
(それはすごい偶然ですね。何か役に立ちそうなものは目にしましたか?)Sheriff McAllister: Oh, for cryin’ out loud. Yeah, when I got there, I saw a black truck, full-size, taking off out of the other end of that lot goin’ way too fast… he’s inside. Nearly went after him, too, you know?
(いやもう、まったくもう。ええ、着いた時に黒いトラックを見ましたよ、フルサイズので、駐車場の反対側からえらいスピードで走り去っていくのを。あの中に犯人がいたわけだ。追いかけようかとも思ったんですがね。)The Mentalist Season1 Episode2 (Red Hair and Silver Tape)
the damndest thing は「the +最上級+ thing」という型に、驚きを強める damn(ひどく、とんでもなく)が乗った言い回しです。「とんでもない話」「信じられないような出来事」というニュアンスで、良い意味にも悪い意味にも、驚きの表明として使われます。保安官がまず口にした一言を、リズボンがそっくりそのまま繰り返しているのも面白いところです。相手の言葉をなぞって返す相槌は、話を促す自然な受け答えとして機能しています。
続く for cryin’ out loud は「for God’s sake」よりもやわらかい響きを持つ、呆れや驚きの決まり文句です。ここでは怒りというより、思い出しながら「ああ、そういえば」と間を取るような使われ方をしていて、保安官の朴訥な語り口をよく表しています。
「not to speak of」— そっけない返事に見える、ぼかしの効いた謙遜
場面はシャンド・クリークの現場に移り、リズボンが森の捜索状況を尋ねます。
Lisbon: Have these woods been checked?
(この森は捜索済みですか?)Sheriff McAllister: Not to speak of.
(大したことは、まあ。)The Mentalist Season1 Episode2 (Red Hair and Silver Tape)
not to speak of は「nothing to speak of(取り立てて言うほどのことはない)」を短く切り詰めた返し方で、「大してやっていない」「ほとんど何も」という控えめな否定を表します。「No」と言い切るよりも角が立たず、手が回っていない事情をやんわりぼかす効果があります。保安官の口から出ると、謝るというより照れ隠しのようなニュアンスが伝わってきます。
こうした田舎町の保安官のぼやきは、決まり文句を型どおりに使うのではなく、状況に応じて驚きや言い訳を包み込む便利な道具として使われているのが見どころです。
まとめ|飾らない相槌が伝える人物像
「the damndest thing」で驚きを分かち合い、「for cryin’ out loud」で呆れを滲ませ、「not to speak of」で気まずさをぼかす。3つの表現はどれも、事実を淡々と述べるのではなく、話し手の感情や立場をそっと添える働きを持っています。捜査ドラマの緊張感の中にふと差し込まれる、こうした口語表現の呼吸に注目してみると、キャラクターの人物像がより立体的に見えてきます。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。
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