「know the drill」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E19で学ぶ英会話

「know the drill」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

毎回やっている作業を人に頼むとき、手順を一から説明するのも大げさな気がして、短く一言で済ませたくなることはありませんか。

そんなときに使える「know the drill」を、『メンタリスト』シーズン2第19話の冒頭、検事が撃たれた事件現場で、捜査に総力を挙げる理由をリズボンがジェーンに告げる場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「know the drill」の意味とニュアンス

know the drill
意味:手順は分かっている、勝手は心得ている

drill には「訓練」という意味があります。避難訓練を fire drill と呼ぶように、同じ動きを繰り返して身につけさせるのが drill です。そこから、繰り返されてきた決まった手順そのものを指すようになりました。know the drill は、その手順をすでに分かっている状態を表します。

実際の会話では、You know the drill. の形で使われることが圧倒的に多くなります。説明を始めようとして、相手が経験者だと気づいたときに出る一言で、いちいち言わなくても分かるよね、という省略の合図として働きます。裏を返せば、話し手と聞き手のあいだに共通の経験があることを前提にした言い方です。初対面の相手や、明らかに不慣れな人には使えません。

否定形の doesn’t know the drill にすれば「まだ勝手が分かっていない」となり、新人を指す短い言い方になります。仕事の場面に限らず、病院の受付でも空港の手荷物検査でも、繰り返し通っている場所ならどこでも使えます。

【ここがポイント!】

  • 核は「何度も繰り返して体が覚えた手順」というイメージ
  • 説明を省いていいと合図する、共通の経験ありきの一言
  • 初対面や不慣れな相手には使えない点に気をつけたいところ

『メンタリスト』S02E19のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

物語はCBIの担当検事ケリー・フラワーが射殺された現場から始まります。被害者が司法側の人間だと分かった時点で、チームは残業も人員も惜しまない体制に入ります。それを当然のこととして告げるリズボンに、ジェーンだけが素朴な疑問を返します。決まりきった手順を、決まりきったまま通そうとしない彼らしいやり取りです。

Lisbon: Kelly’s one of us. Hightower’s already approved the overtime. You know the drill.
(ケリーは身内なの。ハイタワーはもう残業を承認してるわ。勝手は分かってるでしょう)

Jane: Why is that the drill? I mean, for everyone else, we work the case.
(なぜそれが決まりなんだい。ほかの人のときは、普通に事件を追うだけじゃないか)

Lisbon: It sends out a message–nobody gets away with killing a cop, a judge or a D.A.
(メッセージになるのよ。警官も判事も検事も、殺してただで済む人間はいないって)

The Mentalist Season2 Episode19(Blood Money)

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シーン解説と心理考察

リズボンにとって、身内が殺されたときに総力を挙げるのは組織として当然の判断であり、理屈を並べるようなことではありません。だからこそ説明ではなく、勝手は分かってるでしょう、の一言で済ませています。手順が手順として通っている限り、そこに疑問符を打つ必要はないという構えが伝わってきます。

一方のジェーンは、その言わなくても分かることを、あえて言葉にさせにいきます。彼が引っかかったのは残業の可否ではなく、身内かどうかで扱いが変わるという前提そのものでした。抑止のメッセージだと説明するリズボンに、彼は復讐ではないかと切り返します。

開始2分で二人の立ち位置の違いが提示されるのが、この場面の見どころです。know the drill は、共有された前提を確認する言葉であると同時に、その前提を疑わせないための言葉でもあります。ジェーンが drill という単語をそのまま拾って問い返したところに、彼の視点の置き方がよく表れていると言えます。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

避難訓練で、同じ経路を何度も歩かされた記憶がある人は多いはずです。考えなくても足が動くようになるまで繰り返す。それが drill という語の中身です。工具のドリルが同じ場所を回り続けて穴をあけるのと、発想は同じところにあります。

劇中のリズボンは、事件現場で足を止めることなく指示を出し続けていました。彼女にとっての手順は、まさに何度も回して体に刻まれたものです。説明しなくても手が動く、あの状態を思い浮かべると、know the drill が「もう言わなくていいよね」の合図として使われる理由がつかめます。

例文で覚える「know the drill」

know the drill は、相手が経験者だと分かっているときにこそ生きる一言です。省略の合図としてどう働くか、三つの場面で見ていきましょう。

You know the drill — badge in, phone off, then take a seat.
(勝手は分かってるよね。カードを通して、電話を切って、それから座って)
何度も出入りしている来訪者を受付で迎える場面です。一言置いてから手順を並べる形が、この表現の最も自然な使い方になります。

She doesn’t know the drill yet, so walk her through it.
(彼女はまだ勝手が分からないから、一通り教えてあげて)
新しく入ったメンバーの指導を同僚に頼む場面です。否定形にすると不慣れな人を短く言い表せて、責める響きも出ません。

A: Sorry, do I need to fill out the form again?
B: Third visit this month. You know the drill.
(A:すみません、また用紙に記入するんでしたっけ)
(B:今月三回目ですよ。勝手は分かってますよね)
クリニックの受付でのやり取りです。軽い冗談を含ませながら、説明を省く合図として使えます。

あわせて覚えたい関連表現

know the ropes
(こつを心得ている)
一連の手順ではなく、仕事全体に慣れている状態を指します。know the drill が今から行う作業の段取りなのに対し、こちらは習得までの時間の積み重ねを含みます。

you know how it goes
(どうなるかは分かるよね)
手順ではなく、成り行きや結末を共有する言い方です。相手の共感を引き出す働きが強く、愚痴や事情説明の場面でよく使われます。

same as always
(いつもどおり)
状況が変わっていないことだけを述べる表現です。相手が手順を理解している前提には触れないため、know the drill より当たりが柔らかくなります。

Note|訓練の drill と、穴をあける drill

know the drill の drill は、工具のドリルと同じ語です。穴をあける道具と、体に覚えさせる訓練。まったく別のものに見えるこの二つが、なぜ一つの単語に収まっているのでしょうか。

どちらの drill にも共通しているのは、同じ動きを繰り返して食い込ませるという発想だとされています。工具のドリルは、刃を回し続けることで硬い材料に穴を通します。教練としての drill も、同じ動作を何度も反復させて、考える前に体が動く状態を作ります。回転か反復かの違いはあっても、繰り返しによって深く入り込ませる点は変わりません。

この語が訓練の意味で広く使われるようになったのは、軍隊の教練を通じてだと説明されることが多くあります。号令に対して隊列が同じ動きを返す訓練が drill と呼ばれ、そこから消防や学校にも広がりました。日本語で言う避難訓練が fire drill と呼ばれるのは、その名残とされています。

さらに、訓練された動きは決まった順番を持ちます。そこから drill は訓練そのものだけでなく、決まりきった手順を指す言い方にもなりました。know the drill が成立するのは、この最後の一歩があったからです。

だからこの表現には、一度や二度ではないという含みが必ずついてまわります。相手がその手順を何回もくぐってきたことを前提にして、説明を省く。劇中のリズボンが一言で切り上げられたのも、CBIにとってそれが繰り返されてきた段取りだったからです。

言葉の奥には、何度も回された刃の跡が残っています。

まとめ|ジェーンが drill と問い返した理由

know the drill は、手順を説明する言葉ではなく、説明を省くための言葉です。相手がすでに知っていることを確認して、そこから先に進む。短いぶんだけ、話し手と聞き手のあいだにある共通の経験が前面に出ます。

会話に入れると、毎回の説明を丸ごと省けるようになります。受付でも職場でも、繰り返し通う場所ならどこでも使えて、相手を経験者として扱う敬意もさりげなく伝わります。

劇中のジェーンは、その一言をそのまま受け取らず、drill という単語を拾って問い返しました。決まりきった手順ほど、なぜそうなのかは語られないままになりがちです。共有された前提を短く確認する一言として、会話のレパートリーに加えてみてください。

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