海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
うまくいった出来事の裏側を細かく指摘されて、褒められているのか探られているのかわからなくなった。そんな居心地の悪さを味わったことはありませんか。相手の言葉をどう受け取るかで、こちらの立場まで決まってしまう場面があります。
そんなときに効いてくるtake credit for somethingを、『メンタリスト』シーズン5第4話のラスト、内部調査を担当するラロシュがジェーンに真意を問うシーンから、一緒に見ていきましょう。
「take credit for something」の意味とニュアンス
take credit for something
意味:〜を自分の手柄にする
credit は「功績・称賛」を指す語です。take credit for は、その功績を自分の側へ引き寄せる動きを表します。骨格は単純ですが、引き寄せる行為が正当かどうかまでは語自体が決めていない、という点がこの表現の要になります。
そのため、同じ形が二つの方向に働きます。She deserves to take credit for のように使えば正当な評価になり、He takes credit for work he didn’t do のように使えば横取りの非難になります。どちらに転ぶかを決めるのは、目的語と文脈です。語そのものは価値判断を持たない中立的な器だと考えると、使い分けの感覚がつかめます。
否定形の I can’t take credit for that は、謙遜の定番として広く使われます。事実として関与を否定しているのか、それとも功績だけを辞退しているのか。両方に読める曖昧さがあるため、返答としての含みが生まれます。報道の文脈では「犯行を認める」という意味で使われることもあり、対象によって表情が大きく変わる表現です。
【ここがポイント!】
- 功績を自分の側へ引き寄せる、という動きだけを表す中立的な形
- 正当な評価にも横取りの非難にもなり、方向を決めるのは文脈
- 否定形は謙遜の定番で、事実の否定とも辞退とも読める含みを持つ
『メンタリスト』S05E04のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
事件が決着したあと、内部調査を担当するラロシュがジェーンとリズボンに報告内容を伝える場面です。立件はできないと自ら認めたうえで、ラロシュはジェーンが会合の場所を選び、相手が逃げざるをえない状況を組み立てたのではないかと、一つずつ言葉にして並べていきます。褒めているのか告発しているのか判別できない口調のまま、返答を待つ空気が続きます。
Laroche: Good work. You got away with it. Well, I can’t make a case, but you chose a remote location for the meeting, you set up a situation where he had to flee.
(見事だ。うまく逃げおおせたな。立件はできない。だが会合の場所を選んだのも、彼が逃げざるをえない状況を作ったのも君だ)Jane: Well, I’m… I’m flattered. You flatter me, but I can’t take credit for that.
(光栄だね。買いかぶりすぎだよ。でも、それは僕の手柄じゃない)Lisbon: Moss didn’t have to run. I would’ve brought him in.
(モスは逃げる必要はなかった。私なら連行していた)The Mentalist Season5 Episode4(Blood Feud)
シーン解説と心理考察
ラロシュが差し出したのは、褒め言葉とも告発ともつかない言い回しでした。立件できないと先に明かしているぶん、追及ではなく確認に近い響きになっています。それでも並べられた内容は、そのまま認めれば不利になるものばかりです。
ジェーンの返し方が巧みなのは、まず flattered という語を選んだところです。褒め言葉として受け取ったふりをすることで、告発としての鋭さを一段和らげています。そのうえで I can’t take credit for that と続け、功績という札だけを静かに押し返しました。
注目したいのは、ジェーンが事実関係そのものではなく、手柄の帰属だけを否定している点です。その直後にリズボンが、モスは逃げる必要がなかったと割って入り、チームとしての立場を補います。ジェーンが話題の枠組みをずらし、リズボンが捜査上の正当性を支える。この役割分担が、3人の短いやり取りに表れています。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
credit を、誰の名前が載るかを決める一枚の札だと考えてみましょう。映画の最後に流れるクレジットのように、場に置かれた札を誰が手に取るかだけが問題になります。take はその札を自分の手元へ引き寄せる動作にあたります。
札そのものは善悪を持ちません。だからこそ、正当に受け取る場合にも、取るべきでない札を取る場合にも同じ形が使われます。劇中では、ラロシュが差し出した札を、ジェーンがやんわりと押し返しました。取れる札をあえて取らない人がいる一方で、取れない札に手を伸ばす人もいる。両方の絵をセットで思い浮かべておくと、この表現が持つ幅がそのまま身につきます。
例文で覚える「take credit for something」
謙遜から批判まで守備範囲の広い表現です。方向の違う三つの場面で確認してみましょう。
I can’t take credit for this — it was Maria’s idea.
(これは私の手柄じゃない。マリアのアイデアだ)
会議で成果をほめられ、実際の発案者に功績を戻している場面です。劇中のジェーンとほぼ同じ構文になります。否定形にダッシュで理由を続けると、謙遜が社交辞令に見えず、事実の訂正として伝わります。
He always takes credit for work he didn’t do.
(あの人はいつも自分がやっていない仕事を手柄にする)
同僚への不満を打ち明けている場面です。批判の文脈では、この語順と現在形の組み合わせが定型になります。習慣を表す always が入ることで、一度きりの出来事ではないという含みが加わります。
A: This project turned out great.
B: She deserves to take credit for turning it around.
(A:このプロジェクト、うまくいったね)
(B:立て直した功績は彼女のものだよ)
人事評価や紹介の場面です。deserve と組み合わせると、横取りではなく正当な評価であることがはっきりします。第三者について語るときの言い方として覚えておくと便利です。
あわせて覚えたい関連表現
give someone credit for
(〜の功績を認める)
take が自分の側へ引き寄せるのに対し、give は相手へ渡します。同じ札の移動方向が逆になるだけの、きれいな対をなす表現です。二つを並べて覚えると、credit という語が「動かせるもの」として扱われている感覚がつかめます。
steal someone’s thunder
(人の手柄や見せ場を横取りする)
劇場で雷鳴の演出を盗まれた劇作家の逸話に由来する表現です。take credit for が功績の帰属そのものを扱うのに対し、こちらは注目や見せ場を先取りする行為に焦点があります。奪われるのが評価か視線かで使い分けられます。
own something
(自分のこととして引き受ける)
近年よく使われるようになった用法で、成果よりも失敗や責任を引き受ける場面に寄ります。take credit が称賛の側、own が責任の側という住み分けになりやすく、二つそろえると引き受ける対象の幅を言い分けられるようになります。
Note|手柄の話をどこまで書き言葉にできるか
take credit for something は、使う場面によってフォーマル度が大きく動く、めずらしいタイプの表現です。同じ組み合わせのまま、雑談から報道文まで通用します。
鍵になるのは、誰について語るかです。I can’t take credit for this という謙遜の型は、社内メールでも自然に収まります。自分を下げる方向の発言は、多少くだけていても角が立ちにくいためです。ところが He takes credit for other people’s work という批判形になると、同じ表現でも重さが変わります。特定の人物の行為を書面に残す形になるため、口頭でこぼす愚痴とは扱いが別のものになるからです。さらに報道の文脈では、no one has taken credit for the attack のように、犯行声明の有無を伝える定型としても使われます。ここでは謙遜も批判も消え、事実関係を述べる中立的な語として機能します。
このフォーマル度の幅を知っておくと、雑談のつもりで書いた一言が思いのほか強く響いてしまう、といった行き違いを避けられます。表現そのものより、目的語に誰を置くかで文の性格が決まるという点が、この語の扱いどころです。
手柄をめぐる言葉選びには、思っている以上に距離の感覚が求められます。
まとめ|札を受け取るか、押し返すか
take credit for something は、功績という札を自分の側へ引き寄せる動きだけを表す表現でした。その動きが正当かどうかは語の外側にあり、目的語と文脈が決めます。中立的な器だからこそ、謙遜にも批判にも使えるわけです。
覚えておくと、成果について語る場面での選択肢が増えます。自分の関与を控えめに伝えたいとき、他人の働きを正しく評価したいとき、あるいは納得のいかない帰属に触れたいとき。同じ表現の向きを変えるだけで、どの立場にも対応できます。
誰かの働きが話題にのぼったとき、この表現を会話の幅を広げる材料にしてみてください。


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