海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
相手の意見を尊重したいのに、どう伝えれば「好きに決めていいよ」という気持ちが伝わるのか、迷った経験はありませんか。
そんな気持ちにぴったりの「be up to you」を、『モダンファミリー』シーズン5第4話の前半、息子のルークに今日の試合の行き方を切り出すクレアとフィルの一言から、一緒に見ていきましょう。
「be up to you」の意味とニュアンス
be up to you
意味:あなた次第だ、あなたが決めていい
be up to youは、何かを決める権利や判断が相手の側にあることを表す表現です。選択肢を相手に委ねて、「どちらにするかは、そちらで決めてほしい」と伝える場面で使います。主語には、決める内容にあたる語が入ります。It’s up to you.のように、決める内容をitで受ける形が基本です。
up toは「〜の側にある」という感覚で、決定の番がyouに回っているイメージです。totallyやentirelyを添えると「完全にそちらの自由だ」という強調になり、相手の判断を尊重する気持ちがはっきり出ます。
日本語の「あなた次第」は、状況によっては突き放した響きにもなります。一方で、be up to youは、決める人を指名する事実そのものを伝える言い方です。口調や添える言葉によって、思いやりのある一言にも、投げやりな一言にもなります。前後の言葉と一緒に受け取ることが、意味を取り違えないコツです。
【ここがポイント!】
- 「be up to you」の核は、決める番が相手の側にあるというイメージ
- totallyを添えると、相手の自由を強く尊重する響きになる表現
- 前後の言葉しだいで、思いやりにも突き放しにも聞こえるのがコツ
『モダンファミリー』S05E04のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
クレアとフィルが、ルークに向かって、今日の試合には親抜きで行ってもかまわないと切り出す場面です。決める権利を渡すフィルの一言と、そのあとの言葉の並べ方が、会話の流れの中でどう働くかに注目です。
Claire: Say, listen, your dad and I were just talking about you maybe wanting to go to the game without us today.
(ねえ、ちょっと聞いて。お父さんと今ちょうど、今日の試合は私たち抜きで行きたいかもしれないって話をしてたのよ。)Luke: Oh.
(ああ。)Phil: But it’s totally up to you. Whatever you want because we love you very much.
(でも、完全にお前が決めていいんだぞ。お前の好きにしていいんだ。俺たちはお前のことが大好きなんだからな。)Claire: Right. You can either ride with some of your teammates, like the L.A. Kings, or you can ride with us, like Gloria and Grandpa take Joe to play-dates. Professional athlete, little poopy baby — your call.
(そうよ。チームメイトの何人かと一緒に行ってもいいわ、LAキングスの選手みたいにね。それとも私たちと行く? グロリアとおじいちゃんがジョーを遊びの約束に連れていくみたいに。プロのアスリートか、うんちをする赤ちゃんか、あなたが決めて。)Luke: I’ll get a ride with Max.
(マックスと一緒に乗せてもらうよ。)Modern Family Season5 Episode4 (Farm Strong)
シーン解説と心理考察
クレアは、ルークに向かって、今日の試合はルークが親抜きで行きたいかもしれないと二人で話していたと切り出します。ルークが「ああ」と短く返すと、フィルがすぐに言葉をつなぎ、「完全にお前が決めていい」と伝えます。
フィルの言葉は、決める権利を渡すだけで終わりません。「お前の好きにしていい」と言い直したうえで、「俺たちはお前のことが大好きなんだから」と理由を添えています。
続くクレアは、チームメイトと行く道と、親と行く道を並べます。親と行く方を「うんちをする赤ちゃん」に、チームメイトと行く方を「プロのアスリート」にたとえる言い方です。親と行く道を幼く見せ、親抜きで行く道を格好よく見せることで、ルークが親抜きの方を選びやすい並べ方になっています。
最後のクレアの「your call」は、フィルのbe up to youと同じく、決める権利を相手に渡す言い方です。同じ意味の言葉を違う形で重ねることで、選ぶのはルーク本人だという建て前がはっきりと際立ちます。ルークは「マックスと一緒に乗せてもらう」と短く答え、場面は次へ進みます。
この場面の面白さは、選ぶのはルークだと言いながら、言葉の並べ方で親抜きで行く方へ誘っている点です。be up to youは決める権利を渡す表現ですが、ここでは表向きの言い方として使われ、実際の会話は親抜きの方へ向かっています。同じ表現でも、前後の言葉によって働きが変わることがよくわかります。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
テニスのラリーで、打ち返すボールが自分のコートに来ている場面を思い浮かべてみましょう。次に打つのは自分だ、というあの状態が、be up to youの感覚です。決める番が相手の側にある、という向きをイメージすると、意味がつかめます。
フィルの「完全にお前が決めていい」は、ボールをルークのコートに送り、次に打つ番をゆだねる一言でした。totallyは、そのボールを送るときの勢いを強めて「完全に」と示す語です。
クレアが最後に添えたyour callも、ボールを相手のコートに返す動作の別の言い方です。be up to youとyour callは、同じ動作を別の言葉で言い表したものとして、セットで覚えておくと使い分けの幅が広がります。
例文で覚える「be up to you」
決める権利を相手に渡す場面で使えるbe up to youを、3つの例文で確認していきましょう。
Where we eat tonight is up to you.
(今夜どこで食べるかは、あなた次第だよ。)
食事の店選びを相手に任せる場面です。決める内容を主語にした形で、選択肢の幅を相手に広げて見せています。
The final decision is up to you, but I’m happy to help.
(最終的な決断はあなた次第だけれど、手伝いは喜んでするよ。)
部下や同僚の判断を尊重する職場の場面です。butのあとに手助けを申し出ると、突き放した印象がやわらぎます。
A: Should we go by train or by car?
B: It’s up to you.
(A:電車で行く、それとも車で行く?)
(B:君が決めていいよ。)
移動手段を相談する友人同士の会話です。二択を提示されたときの返事として、選ぶ役目を相手に戻す形になっています。
あわせて覚えたい関連表現
it’s your call
(あなたが決めることだ)
今回の場面でクレアが最後に言うyour callと同じ意味合いです。be up to youは選択を相手に任せる言い方で、your callは「最終判断は相手の役目だ」という響きが強まる点が違いです。
the choice is yours
(選ぶのはあなただ)
少し改まった言い回しです。be up to youは、友人や家族との会話でも使いやすい、くだけた形になります。
it depends
(場合による、状況次第だ)
be up to youは「決める権利が相手にある」という意味で、it dependsは「状況や条件によって答えが変わる」という意味です。決める人を言うか、条件で変わると言うかの違いがあります。
Note|up to youのあとにto不定詞が続くと変わる意味
be up to youは、to不定詞が続くと、意味の焦点が少し変わる表現です。
It’s up to you.は、決める権利が相手にあることを表します。ここにto不定詞を足して、It’s up to you to finish this.とすると、「これを終わらせるのはあなたの役目だ」という意味に広がります。前者は「選ぶ自由」、後者は「担うべき責任」に焦点があります。
もう一つ、whetherやifが続く形もあります。It’s totally up to you whether you join us.は、「私たちに加わるかどうかは、あなたが決めていい」という意味で、相手が決める内容がwhether以下に置かれます。この形なら、決める内容が文の中に入るぶん、何を委ねているのかがはっきりします。
同じup to youでも、あとに続く形で「自由」と「責任」の両方に読めるため、文全体を見て判断することが大切です。フィルのIt’s totally up to you.は、あとに続く言葉がなく、選ぶ自由を渡す一言として使われていました。
決める権利を渡すのか、役目を任せるのか。形をよく見ると、伝えたい内容を正確に選べます。自分が使うときも、あとに続く語を意識して組み立てると、意図とずれた受け取られ方を防げます。
まとめ|決める権利を渡す一言
be up to youは、決める権利や判断が相手の側にあることを伝える表現です。totallyを添えると自由の度合いが増し、your callと並べると、選ぶのは相手だという点がいっそう際立ちます。
フィルは「大好きだから」と理由を添えて決める権利をルークに渡しますが、会話の流れは親抜きで行く方へ向かっていました。表向きの言葉と、並べ方が生む向きの両方を見ると、この表現の使われ方がよくわかります。
たとえば、友人との食事の店選びや、旅行先の相談など、相手の意向を大切にしたい場面が思い浮かびます。そんなときにbe up to youを添えると、選ぶ自由を相手に渡す気持ちがまっすぐ伝わります。
決める権利を相手に渡したい場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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