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『モダンファミリー』シーズン4第18話のクレアとキャメロンは、家の改装を一緒に進める仲間です。ところが2人とも、相手を自分の思う方向へ動かすための作戦をこっそり持っています。
作戦がばれたとき、人はどう責め、どうとぼけるのか。作戦を言い当てる言葉と、とぼけてかわす言葉の応酬は、英語の言い回しを観察するのに格好の材料です。2人のやりとりを、作戦の中身から順にたどっていきます。
「The key is」と、それぞれの作戦
キャメロンは、自分のやり方をこう明かします。
Cameron: The key is, I let Claire think she’s in charge.
(コツはね、クレアに自分が仕切ってると思わせること。)Cameron: I hide what I want in something bigger and more expensive.
(欲しいものを、もっと大きくて高い案の中に隠すんだ。)Cameron: Then when she rejects that, we “compromise” on what I wanted all along.
(それを彼女が却下したら、最初から欲しかったものに「妥協」して決まり。)Cameron: I call my method “the Trojan horse.
(僕はこのやり方を「トロイの木馬」って呼んでる。)Modern Family Season4 Episode18 (The Wow Factor)
The key is, ~ は「肝心なのは〜」と、秘訣を明かすときの前置きです。let someone think ~ で「〜と思わせておく」、hide A in B で「AをBの中に隠す」。compromise に引用符が付いているのは、本当の妥協ではなく見せかけの妥協だという合図です。I call my method ~ と名前まで付けているのが、自信の表れと言えます。
「大きな案を先に出して断らせ、本命を通す」という順番そのものが作戦で、キャメロンはそれを compromise(妥協)と呼んでいます。後半では、クレアがこの中身をそのまま言い当てます。
- A: What’s your secret?
(秘訣は何?) - B: The key is, I let him think it was his idea.
(コツはね、彼に自分の考えだと思わせることだよ。)
一方のクレアには、数字を次々に並べるやり方があります。
Claire: By the way, we couldn’t get the powder room fixtures you wanted.
(ところで、あなたが欲しがってた化粧室の設備、手に入らなかったの。)Cameron: What? Why?
(え? なんで?)Claire: Well, they’re 23%, or $982, over the budget.
(だって、予算を23%、982ドルもオーバーしてるのよ。)Claire: Keeping in mind, that space is only 12% of 1,462 square feet.
(しかも覚えておいて、あの空間は1,462平方フィートのたった12%なんだから。)Modern Family Season4 Episode18 (The Wow Factor)
By the way で軽く切り出し、理由を聞かれると百分率と金額を重ねて返します。数字の多さで相手に考える余地を与えない作戦で、キャメロンはこのあと it’s fine と引き下がります。クレア自身、うっかり存在しない数を口にしたと明かしています。
Keeping in mind は「念頭に置いておくと」という分詞の前置きで、相手に反論の材料を考えさせる前に、次の数字を差し出す働きをしています。説得の場面で数字を出すときは、このように一言添えて段階を踏むと、話の筋が追いやすくなります。
「You do this all the time」と、言い当てる言葉
裏庭の噴水をめぐる話し合いで、キャメロンはついにクレアの作戦に気づきます。
Cameron: I’m sorry– Did you just say 40-12 percent?
(ちょっと待って、今「40-12パーセント」って言った?)Claire: Mm, no, I didn’t.
(うーん、言ってない。)Cameron: Yes, you did.
(言ったよ。)Cameron: You do this all the time.
(いつもこうなんだから。)Modern Family Season4 Episode18 (The Wow Factor)
Did you just say ~? は、相手の言葉を聞きとがめるときの定番の聞き返しです。just が「たった今」を強め、聞き逃していないぞという圧になります。You do this all the time. は一度の失言ではなく、繰り返しのパターンだと指摘する言い方です。続けてキャメロンが責め、クレアも言い返します。
- A: Did you just roll your eyes?
(今、あきれた顔した?) - B: No, I didn’t.
(してないよ。)
Cameron: And here I thought we were working so well together, and you’re just being manipulative.
(せっかくいいコンビだと思ってたのに、僕を手玉に取ってただけなんだね。)Claire: What about you, Cam? Pitching these crazy, over-the-top ideas just so you can slip in what you really want.
(あなたはどうなの、キャム? とんでもなく大げさな案を出して、本当に欲しいものをこっそり通そうとしてるじゃない。)Cameron: Oh, how dare you accuse me of Trojan horsing you.
(まあ、私がトロイの木馬を仕掛けてるなんて、よくも言えたわね。)Claire: You have a name for it?
(名前までつけてるの?)Cameron: No, I mean– You know what? I will not stand here and be accused by the likes of you.
(いや、つまり……もういいわ。あなたみたいな人に、ここで責められる筋合いはないわ。)Cameron: And if there was a door here, missy, I would slam it your face.
(それにね、お嬢さん、ここにドアがあったら、あなたの目の前でバタンと閉めてやるところよ。)Modern Family Season4 Episode18 (The Wow Factor)
be being manipulative は「今まさに人を操ろうとしている」という非難です。What about you? は矛先を相手に返す決まり文句で、クレアの slip in は「こっそり滑り込ませる」。how dare you accuse me of ~ と怒ってみせたキャメロンは、自分で付けた呼び名を口にしてしまい、You have a name for it? と突かれます。打ち消しきれずに by the likes of you(あなたのような人に)と話をすり替える流れが、語るに落ちる場面として見どころです。
「stack the deck」と「objective」
キャメロンは噴水の件を at a stalemate(行き詰まり)と表し、経験のある施工業者を呼びます。そのうえで、こう語ります。
Cameron: Am I trying to stack the deck against Claire here? No.
(僕がここでクレアに不利になるよう仕込んでるかって? まさか。)Cameron: I would never be so genius.
(そんな天才的なこと、僕がするわけないじゃないか。)Modern Family Season4 Episode18 (The Wow Factor)
stack the deck はトランプの山札を自分に有利な順に仕込むことから、「あらかじめ有利な状況を作る」という意味で使われます。against を続けると、誰に不利なのかを示せます。I would never be so ~ は本来「そんなに〜なことはしない」と否定する形ですが、入る語が genius なので、否定しながら自分の作戦を誇っているのが面白いところです。
Cameron: Pam is a licensed contractor.
(パムは資格を持つ施工業者なんだ。)Cameron: Done a lot of houses.
(家もたくさん手がけてる。)Claire: Uh-huh?
(ふうん?)Cameron: I thought it’d be nice to bring in a third party that’s objective, to help settle the fountain dispute.
(客観的な第三者に入ってもらえば、噴水の件も決着がつくと思ってさ。)Claire: Oh.
(あら。)Claire: Objective, right.
(客観的、ね。)Modern Family Season4 Episode18 (The Wow Factor)
a third party は利害のない「第三者」、settle a dispute は「争いに決着をつける」。クレアは相手の言葉 objective をそのまま繰り返し、right を添えます。こうした繰り返しは「それ、本当に?」という疑いを示す返し方になります。パムがキャメロン自身の呼んだ相手である以上、客観性を素直には受け取れないという含みが読み取れます。
- A: I brought in a third party that’s objective.
(客観的な第三者を呼んだよ。) - B: Objective, right.
(客観的、ね。)
まとめ|作戦がばれたときの英語
let someone think や hide A in B で作戦を語る言葉、You do this all the time. や What about you? で言い当てて返す言葉、stack the deck を否定しながら本音がのぞく言葉。同じ場面に、責める側ととぼける側の英語がそろっています。
次回も『モダンファミリー』の会話から、英語表現を一緒に読み解いていきましょう。
予算の話そのものやフィルの家の修理の英語は、同じ回のほかのコラムやフレーズ記事で扱っています。


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