海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
友人同士でお店を決めようとしたのに、どちらも譲らないまま時間ばかりが過ぎてしまった経験はありませんか。
そんな行き詰まりに決着をつけたいときの「break the tie」を、『モダンファミリー』シーズン4第18話の中盤、キャメロンがクレアとの膠着状態について語るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「break the tie」の意味とニュアンス
break the tie
意味:決着をつける、膠着状態を打ち破る
break the tieは、勝敗や意見が並んで動かない状態に決着をつけて、どちらかに決める表現です。tieは「結ばれたもの」という語感を持ち、名詞では「同点」「同数」「引き分け」を指します。breakは「破る」「断ち切る」という動詞で、拮抗している状態を断ち切って動かす動作を表します。
スポーツの同点決着はもちろん、賛成と反対が同数に割れた投票や、意見が真っ二つに割れて進まない話し合いにも使えます。同点や同数のような数の上での引き分けだけでなく、「どちらにも決められない」という膠着した状況そのものにも広く当てはまる表現です。
使い方の型としては、break the tieが動作をそのまま表し、help break the tieのように、決着をつける手伝いをする形にも展開できます。今回のシーンのto help break the tieは、決着をつけるために、誰かの力を借りるという使い方です。helpのあとには、to不定詞のtoを付けなくても動詞の原形を続けられます。目的や手助けを添えた形で、「決着をつけるために」「決着をつける手伝いを」と組み立てられる点を押さえておくと、応用が利きます。
【ここがポイント!】
- 「break the tie」の核は、両側から引き合って動かない結び目を断ち切るイメージ
- スポーツの同点だけでなく、投票の同数や意見の膠着にも使える幅のある表現
- 「to help break the tie」のように、決着をつける目的や手伝いを添えた形でも使える
『モダンファミリー』S04E18のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
キャメロンが、水を使った演出をめぐるクレアとの膠着状態と、それに決着をつけるために呼んだ人物について語る場面です。break the tieは、キャメロンの2つ目の言葉に出てきます。
Cameron: Claire and I were at a stalemate on the water feature.
(水を使った演出(ウォーターフィーチャー)をめぐって、クレアと僕は膠着状態になっていたんだ。)Cameron: So I brought in an experienced professional to help break the tie.
(それで、決着をつける手伝いをしてもらおうと、経験豊富なプロに来てもらったのさ。)Cameron: Pam also happens to be a friend and a fellow gay parent at Lily’s school.
(パムはたまたま友人で、リリーの学校の同じくゲイの親でもあるんだ。)Cameron: Am I trying to stack the deck against Claire here? No.
(これはクレアに不利になるよう仕組んでるのかって? まさか。)Cameron: I would never be so genius.
(僕がそんな……天才的な真似をするわけないだろ。)Modern Family Season4 Episode18 (The Wow Factor)
シーン解説と心理考察
キャメロンの語りの入口にあるのは、「stalemate」という言葉です。stalemateは、どちらも動けない膠着状態を指す語で、ここで並んで語られるbreak the tieと、意味の上で対になっています。膠着した状況(stalemate)と、それを断ち切る動作(break the tie)が、続けて2つの発言に置かれている点が見どころです。
決着をつける役として呼ばれたのは、経験豊富なプロです。キャメロンは、その人物がパムであることを、友人でありリリーの学校の親でもあるという説明とともに明かします。パムは請負業者で、プロとして呼ばれた人物です。
そのあとの流れが、この語りの特徴です。キャメロンは、自分からクレアに不利になるよう仕組んでいるのかと問いかけ、すぐに「まさか」と否定します。続く「そんな天才的な真似をするわけない」は、「genius」という褒め言葉を、自分に向けた否定の中で使っています。本来なら「ずるい」のような言葉が来そうなところにgeniusを置いているため、否定の形をとりながら、どこか得意げな響きが残ります。自分の行動を、問いかけと否定の形で言い表す組み立てが、キャメロンの語りに動きを与えています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
綱引きで、両側から同じ力で引っ張り合って、綱がぴんと張ったまま動かない場面を思い浮かべてみましょう。この張りつめた状態が、tieです。break the tieは、その綱をぷつりと断ち切る動きにあたります。引き合って動かなかったものが、片方に決まって動き出す、という流れです。
キャメロンの語りでは、まず「stalemate」で、動かない状態が語られていました。そのあとに「break the tie」で、動かない状態を断ち切る手が語られます。「動かない状態(stalemate)」と「断ち切る動作(break the tie)」を、ひと組の絵にして覚えておくと、フレーズを使う場面も思い浮かべやすくなります。名詞のtieだけでなく、breakとセットで動きごと覚えるのがコツです。同数に割れた投票、勝負がつかない試合、意見が真っ二つに分かれた話し合いなど、綱が張りつめている場面を見つけたら、break the tieの出番です。
例文で覚える「break the tie」
拮抗した状況に決着をつける場面で使えるbreak the tieを、3つの例文で見ていきましょう。
We’re split three to three, so someone has to break the tie.
(3対3に割れているので、誰かが決着をつけないといけません。)
委員会などで意見が同数に割れた場面です。「three to three」のように数字で割れ方を示すと、決着が必要な理由が伝わりやすくなります。
The chairperson’s vote will break the tie.
(議長の一票が決着をつけます。)
投票が同数になったときの、フォーマルな場面です。主語に人ではなく「一票」を置くと、その票が決め手になる、という言い方になります。
A: Pizza or sushi?
B: I can’t decide.
A: Then let’s ask Mia to break the tie.
(A:ピザとお寿司、どっち?)
(B:決められないな。)
(A:じゃあミアに決めてもらおう。)
友人同士でお店を決める会話です。第三者に頼むときは、ask someone to break the tieの形が使えます。
あわせて覚えたい関連表現
cast the deciding vote
(決定票を投じる)
cast the deciding voteは、票決の場で決め手になる一票を入れる動作を指します。break the tieは、同数の状態を破るという結果に焦点があります。
settle a dispute
(争いを解決する)
settle a disputeは、対立の解決全般に使える広い言い方です。break the tieは、両者が同点・同数で並んだり、意見が拮抗して動かなくなったりした状態からの決着に焦点があります。
tiebreaker
(同点決着の手段、決め手)
tiebreakerは名詞で、決着をつける手段や、延長戦・決定戦そのものを指します。break the tieは動詞句で、決着をつける動作を表します。
Note|tieを「同点」と訳すか「膠着」と訳すか、場面で変わる日本語
break the tieを日本語にするとき、鍵になるのはtieの訳し方です。tieは場面によって、日本語では別の言葉に置き換わります。
試合の場面では、tieは「同点」です。break the tieは、「同点に決着をつける」「勝ち越す」のように訳せます。投票の場面では、tieは「同数」に置き換わります。今回のキャメロンの語りでは、意見が動かない状態が「stalemate」と言い換えられていて、tieは「同点」というより、意見が拮抗して動かない「膠着」にあたります。このため、和訳は「決着をつける」としています。ここで「同点を破る」と直訳してしまうと、数の上での引き分けのような印象が強くなります。「膠着を破る」「五分五分の状態に決着をつける」と訳せば、意見が対立して進まない場面にも当てはまります。
キャメロンの語りに戻ると、クレアと意見が割れて進まない水の演出の件は、数字で数えられる同点ではありません。それでも、tieという語は、拮抗して動かない状態を広く表せます。
tieを訳すときは、数で決まる場面なのか、意見が動かない場面なのかを見分けると、自然な日本語を選べます。
まとめ|動かない綱を、断ち切る一手
break the tieは、勝敗や意見が並んで動かない状態に、決着をつける表現です。
tieが同点や同数、膠着を表し、breakがそれを断ち切る動作を表します。スポーツの同点決着から、投票の同数、意見が割れた話し合いまで、拮抗した状態を動かす場面で役立ちます。help break the tieのように手伝いを添えれば、第三者に決着を託す言い方にもなります。
キャメロンが膠着状態(stalemate)と決着をつける手(break the tie)を並べて語る場面では、動かなくなった綱をどう断ち切るかという流れが描かれていました。話し合いが行き詰まった場面で使えるよう、表現の引き出しに加えてみてください。


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