海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン8第21話では、ひとりの時間を過ごしに出かけたミッチェルが、出かけた先で父親のジェイと鉢合わせします。同じ場所にいながら、お互いに邪魔をしないための言葉が次々に飛び交う回です。
「それぞれ好きにしよう」と「口を出さないで」は、どちらも相手と距離をとる言い方ですが、英語でも響きはかなり違います。二人のやり取りを追いながら、その温度差を整理していきます。
「You do your thing, I’ll do mine」で居場所を分ける
ミッチェルが来ないと思っていたジェイと、ひとりになるつもりだったミッチェル。同じ場所で顔を合わせた二人は、こんな言葉を交わします。
Jay: You said Cam wouldn’t let you come.
(キャムが来させてくれないって言ってたじゃないか。)Jay: I thought it was safe.
(だから安全だと思ったんだ。)Mitchell: Safe to what, steal my special day?
(安全って何が? 僕の特別な日を横取りするのに?)Modern Family Season8 Episode21 (Alone Time)
ジェイの言い分は、ミッチェルが来られないと聞いたから安心して来た、というものです。ミッチェルの steal my special day の steal は、楽しみにしていた日を「横取りする」という大げさな言い方で、抗議の気持ちがよく表れています。Safe to what, ~? は、相手の言葉 safe をそのまま拾って問い返す形です。ジェイはこう続けます。
Jay: Well, you made it sound so good! The pool, the steak, no one to talk to.
(だって、お前があんまり良さそうに話すからさ! プールにステーキ、話しかけてくる相手もいない。)Mitchell: Well, now we have someone to talk to.
(まあ、これで話し相手ができたね。)Mitchell: Thanks a lot.
(どうもありがとう。)Jay: Look, the place is gigantic.
(いいか、ここはばかでかいんだ。)Jay: You do your thing, I’ll do mine.
(お前はお前で好きにやれ、俺は俺でやる。)Modern Family Season8 Episode21 (Alone Time)
do one’s thing は「自分のやりたいことをする」というくだけた表現です。You do your thing, I’ll do mine. と対にすると、「それぞれ別々に過ごそう」という提案になります。相手を追い払うのではなく、同じ場所にいることは認めたうえで行動を分けようとしている点がポイントです。日常でも、相部屋や在宅勤務のように同じ空間で過ごすときに、You do your thing, and I’ll do mine. と言えば角を立てずに線を引けます。
ミッチェルの Thanks a lot. は、言葉どおりの感謝ではなく皮肉として働いています。直前の「話し相手ができた」と合わせると、ひとりの時間を邪魔されたという不満が伝わってきます。英語の Thanks a lot. は、言い方や場面しだいで正反対の意味にもなります。
「Mind your own business」と「Knock it off」
ところが、ジェイが持ってきたのはミッチェルが読んでいるのと同じ本でした。
Mitchell: Dad, you even stole the book that I’m reading.
(父さん、僕が読んでる本まで盗んだの。)Jay: When you were over at the house, I peeked at the jacket.
(お前がうちに来たとき、カバーをちらっと見たんだ。)Modern Family Season8 Episode21 (Alone Time)
ここでも steal が出てきます。peek at ~ は「〜をちらっとのぞく」です。別の場面では、同じ本を読み進める二人の間で、短い言葉の応酬が起きます。
Mitchell: Oh, my God.
(うわ、なんてこと。)Jay: Knock it off!
(やめろ!)Mitchell: Mind your own business!
(人のことはほっといてよ!)Jay: I would love to.
(そうしたいのは山々だ。)Jay: But now I’m wondering if all that gasping is about something I’ve already read or something coming up!
(だが今度は、そのハッと息をのむのが、俺がもう読んだところの話なのか、これから出てくる話なのか気になってしょうがない!)Modern Family Season8 Episode21 (Alone Time)
Knock it off! は「やめて」「いいかげんにして」と、相手の行動をやめさせる一言です。Mind your own business! は「自分のことだけ気にしていて」、つまり「口を出さないで」という突き放した一言で、場面によっては失礼に響くとされます。ジェイの I would love to. は「そうしたいのは山々だ」と受けておいて、続く But で「でも無理だ」と返す組み立てです。
ジェイの台詞の something coming up は「これから出てくること」、all that gasping は「さっきからのハッとする声」です。ミッチェルの反応が気になって本に集中できないという理屈で、ほうっておけない理由として持ち出しているのが面白いところです。Mind your own business! を親しい間柄以外で使うと角が立ちやすいので、仕事の場などでは I’d rather not talk about it.(その話はしたくない)のように、自分の希望として伝える言い方に置き換えると穏やかになります。
| 表現 | おおよその意味 | 響き |
|---|---|---|
| You do your thing, I’ll do mine. | それぞれ好きにしよう | 提案。穏やか |
| Knock it off! | それ、やめて | 行動を止める |
| Mind your own business! | 口を出さないで | 突き放す。強め |
「A little less distance」で歩み寄る
終盤の場面で、ジェイとミッチェルは、相手が自分に似てきたとお互いに言い合います。そのやり取りの後で、ジェイがこう切り出します。
Jay: Ah, I guess it’s possible that we both moved to the center a little.
(まあ、二人とも少し真ん中に寄ったってこともあり得るな。)Mitchell: Yeah, well, it makes sense.
(うん、まあ、それなら納得だね。)Mitchell: It definitely makes things easier between us.
(おかげで僕たちの間は確かに楽になるよ。)Jay: A little less distance.
(距離が少し縮まったな。)Modern Family Season8 Episode21 (Alone Time)
move to the center は、立場の違う二人がそれぞれ中央に寄ってくる、つまり歩み寄るイメージの表現です。I guess it’s possible that ~ は「〜ということもあり得るかな」と、断定を避けて遠回しに認める言い方です。make things easier between us は「私たちの関係を楽にする」で、関係がぎくしゃくしていないことを伝えるときに使えます。
締めの A little less distance. は「距離が少し減った」という短い一言です。冒頭の You do your thing, I’ll do mine. で距離を確保しようとした二人が、最後には距離が縮まったことを確かめ合う流れになっているのが見どころです。
同じ回の食事の場面では、店員に料理を分け合ってはどうかと勧められ、ミッチェルがきっぱり断る一幕もあります。ミッチェルはそこで、ひとりの時間を過ごしに来たのに父親にまねをされたと、copycat を動詞にして説明しています。alone time という言い方そのものは、同じ回のフレーズ記事で詳しく取り上げています。
まとめ|距離のとり方を表す英語
穏やかに行動を分ける You do your thing, I’ll do mine.、行動を止める Knock it off!、突き放す Mind your own business!、そして歩み寄りを確かめる A little less distance.。同じ「距離」の話でも、言い方ひとつで温度が大きく変わることが分かります。
親子の会話の温度差に耳を澄ませながら、これからも『モダンファミリー』で英語を楽しんでいきましょう。
家出のようなドライブに出たダンフィー夫妻の話は同じ回のほかのコラムで、個々の表現はフレーズ記事でも扱っています。


コメント