海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
終わってしまってから、あのとき別のやり方を選んでいたらと、静かに悔やんだことはありませんか。
そんな振り返りの場面で働く「in hindsight」を、『モダンファミリー』シーズン8第21話の中盤、フィルとクレアのやり取りの流れで、ルークが自分の失敗を語る一言から、一緒に見ていきましょう。
「in hindsight」の意味とニュアンス
in hindsight
意味:今にして思えば、後から振り返ると
in hindsight は、出来事が済んだあとに手に入った知識や結果をもとに、過去を見直す表現です。hindsight は、hind(後ろの)と sight(見ること)が組み合わさった名詞で、後ろから見る視点がそのまま語に表れています。その場にいた時点では見えなかったことが、あとからなら見えるという感覚を含みます。
使われる場面は、失敗の原因が分かったあとに「こうすればよかった」と振り返るときが中心です。判断の誤りを認めるとき、結果を知ってから当時の選択を評価し直すときにも使えます。反省や後悔の色が出やすい一方で、あとから見れば筋が通っていた、と肯定的に振り返る文にも置けます。
形としては、文頭に置いて、コンマのあとに文を続ける形が基本です。シーンのように I should have + 過去分詞を続けると、「あのときこうすべきだった」という後悔が明確になります。冠詞は付けず、in hindsight のひとかたまりで使います。文末に置いて、The plan looks risky in hindsight. のように「あとから見ると」と添える形もあります。
訳語としては、「今にして思えば」「あとから振り返ると」「結果から見れば」が当てはまります。後悔の文には「今となっては」が自然に収まります。評価の文なら「結果から見れば」と訳すと、振り返る視点がはっきりします。
【ここがポイント!】
- 「in hindsight」の核は、済んだ出来事を後ろから見直す視点を持つ言い方
- 文頭に置き、I should have + 過去分詞を続けると後悔の形になる
- 反省だけでなく、結果を知ったうえでの評価にも使える表現
『モダンファミリー』S08E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ヘイリーがディランのことで涙し、アレックスが学校のことで取り乱している、とフィルが口にするところから始まる場面です。クレアの言葉遊びをはさんで、ルークが自分の失敗を振り返ります。ルークの一言に、フィルとクレアがどう返すのかにも目を向けてみましょう。
Phil: Haley crying about Dylan, Alex freaking out about school, this is like a big déjà vu.
(ヘイリーはディランのことで泣いてるし、アレックスは学校のことでパニックになってるし、まるで大きなデジャヴだな。)Claire: No, déjà vu is when you imagine that you’ve seen something before. This is just vu!
(違うわよ、デジャヴっていうのは、前に見たことがあると思い込むことよ。これはただの「ヴュ」よ!)Luke: In hindsight, I should have pulled my head out before I nailed the post back in.
(今にして思えば、支柱を打ち付け直す前に、頭を抜いておくべきだったよ。)Phil: Buddy
(なあ、相棒……。)Luke: Live and learn.
(人は経験から学ぶものさ。)Claire: If only you ever did.
(あなたが本当に学んでくれていたらね。)Modern Family Season8 Episode21 (Alone Time)
シーン解説と心理考察
フィルの Haley crying about Dylan, Alex freaking out about school は、娘たちの二つの騒ぎを並べて、「まるで大きなデジャヴだ」とまとめる一言です。デジャヴは、初めてなのに前に経験した気がする感覚を指す言葉なので、似た出来事が続く様子をそう呼んでいます。
クレアは、その言葉の使い方を言葉遊びで直します。déjà vu の vu は、フランス語で「見た」にあたる語です。「前に見たと思い込む」のがデジャヴで、これはただの vu だと言うことで、思い込みではなく実際に見てきた光景だ、という含みが出ます。フィルの発言をさらりと受け流しながら、現状を言い当てる返しです。
そこでルークが、In hindsight, I should have pulled my head out before I nailed the post back in. と自分の失敗を語ります。pulled my head out before I nailed the post back in の部分は、支柱を打ち付け直す作業の前にすべきだったことを述べる形で、in hindsight の「あとから見えた手順」が具体的に示されています。
フィルは Buddy と短く呼びかけ、ルークは Live and learn. と開き直ります。クレアの If only you ever did. は、「学べていたらいいのに」という、実際にはそうなっていない前提で言う仮定の形です。ルークの「学ぶ」という言葉を受けて、皮肉として響きます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
hindsight は「後ろ(hind)を見る(sight)」です。山道を登り切った地点で、ふり返って歩いてきた道全体を見下ろす姿を頭に描いてみましょう。歩いている最中には見えなかった分かれ道や落とし穴が、後ろからならはっきり見えます。
ルークの In hindsight も、支柱を打ち付け直す作業のあとから、自分の手順を後ろから眺め直した一言でした。前を向いているときには気づけなかったことが、振り返った視点では手に取るように見える、という景色が重なります。「ふり返る」動作と一緒に覚えると、文頭に置くこの形が自然に口に出ます。後ろを向いて景色を確かめる動きに、in hindsight の声を重ねる覚え方です。
例文で覚える「in hindsight」
後悔を述べる形と、後から見た評価を述べる形の二通りで、in hindsight の使い方を確かめます。
In hindsight, I should have checked the schedule before booking the flight.
(今にして思えば、航空券を予約する前に予定を確認すべきでした。)
予約の失敗を振り返る日常の場面です。should have + 過去分詞が、後悔の中身を受け持っています。
The decision looks obvious in hindsight, but it wasn’t clear at the time.
(その決断は後から見れば明らかですが、当時は分かりませんでした。)
過去の判断を説明する仕事の場面です。文末に in hindsight を置くと、「後から見れば」という条件が添わります。
A: Do you regret quitting that job?
B: In hindsight, maybe I should have waited a little longer.
(A:あの仕事を辞めたこと、後悔してる?)
(B:今にして思えば、もう少し待てばよかったかもしれない。)
転職を振り返る会話です。maybe を添えると、断定を避けたやわらかい後悔になります。
あわせて覚えたい関連表現
in retrospect
(振り返ってみると)
後から振り返る点では in hindsight とほぼ同じ意味です。in hindsight のほうが、「あのときこうすればよかった」という反省の色がやや強く出ます。
looking back
(振り返ってみると)
動作を表す言い方で、会話に気軽に混ぜられます。in hindsight は、名詞の hindsight を使う、やや固定した言い回しである点が違います。
with the benefit of hindsight
(後から分かった知識を踏まえて)
あとから得た情報を持っている強みを、はっきり言葉にした長い形です。in hindsight は、その短縮のように使えます。
Note|in hindsight のあとに続く形で、反省にも評価にもなる
in hindsight は、後ろにどんな文を置くかで、反省にも評価にもなります。シーンでは I should have pulled my head out のように、反省の形が続いていました。
続く形は大きく三つあります。一つ目は I should have + 過去分詞で、「こうすべきだった」という後悔です。In hindsight, I should have called her. のように使います。二つ目は過去形の評価文で、In hindsight, it was a mistake. なら「今にして思えば、あれは間違いだった」という判断の見直しになります。三つ目は現在形の気持ちで、In hindsight, I’m glad we waited. なら「今にして思えば、待ってよかった」と、肯定的な振り返りになります。
どの形でも、in hindsight が担うのは「あとから見ると」という視点の置き場所です。反省なのか評価なのか、肯定なのかは、後ろに続く文が決めます。位置は文頭が基本で、文頭に置くときはコンマで区切り、文末に置くときはコンマなしで添えるのが普通です。
ルークの一言は、一つ目の形でした。二つ目や三つ目の形でも、後ろに置く文を替えるだけで同じように使えます。済んだ作業を後ろから見て、すべきだった手順を述べる流れが、文の形にそのまま出ています。
まとめ|ルークの振り返りが映す、あとから見える景色
in hindsight は、済んだ出来事を後ろから見直す視点を、文頭に添えるだけで伝えられる表現です。後ろに should have の形を続ければ後悔に、過去形や現在形の文を続ければ評価や安堵になります。
ルークが自分の失敗を振り返り、フィルが呼びかけ、クレアが皮肉を返すこのやり取りは、一つの振り返りに、本人と両親がそれぞれ違う言葉を重ねる会話でした。in hindsight が入口になって、周りの返しを引き出しています。
過ぎたことを振り返って話す場面で、後悔の形と評価の形を、使い分けて口にできます。


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