「Okay, forget that. Go back one.」に見る、切り出し方を試してから言い直す言い方|『モダンファミリー』S01E10で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 「Okay, forget that. Go back one.」に見る、切り出し方を試してから言い直す言い方|『モダンファミリー』S01E10で学ぶ英会話

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『モダンファミリー』のシーズン1、第10話では、クリスマス中止を宣言したフィルとクレアが、子どもたちへの対応を話し合う場面があります。今回は、一度言葉を並べたあとに「今のは忘れよう」と言い直す、フィルらしいやり取りを取り上げます。

一度出した言葉を撤回して仕切り直す、その言い回しが実際のセリフとともに見えてきます。強気な理屈と、それをあっさり退ける一言の落差も見どころです。

目次

“Would it really be so bad to back down?” ― 引き下がる案を切り出す言い方

フィルがまず、クレアに歩み寄りを切り出します。

Phil: Honey?
(ハニー?)

Claire: Hmm?
(何?)

Phil: Would it really be so bad to back down?
(少し引き下がるくらい、そんなに悪いことかな?)

Claire: And have the kids never take any of our threats seriously again?
(それで、もう二度と私たちの脅し文句を本気にしなくなってもいいの?)

Phil: Yeah.
(だよな。)

Modern Family Season1 Episode10 (Undeck the Halls)

back down(引き下がる、譲歩する)は、対立や主張を続けずに一歩引くことを表す句動詞です。Would it really be so bad to ~?(〜って、そんなに悪いことかな?)という形は、思い切った提案をやわらかく切り出すときの言い方として使われます。クレアの take ~ seriously(〜を本気にする)という切り返しは、フィルの提案がすぐに却下される流れを作っています。

Would it really be so bad to ~? は、相手が反対しそうな提案を持ち出す前に、あらかじめ反論のハードルを下げておく言い方です。直接「〜しよう」と言い切るのではなく、疑問文の形を取ることで、相手の反応をうかがいながら切り出す柔らかさが出ています。フィルの Yeah. という短い相づちには、クレアの反論を受けて早々に旗色が悪いと感じている様子がうかがえ、次の言い方を探る流れへとつながっていきます。

“Which would, in a way, be the greatest gift that we could ever give them.” ― 譲歩を”贈り物”に言い換える言い方

短い相づちだけで終わらせるクレアの反応を受けて、フィルはあきらめずにさらに別の言い方を試みます。

Claire: Mmm.
(うーん。)

Phil: Or the kids could realize that we’re making a supreme sacrifice by giving up our power to save their Christmas.
(それか、子どもたちのクリスマスを守るために、俺たちが自分の権限を手放すという大きな犠牲を払ったんだって、あの子たちが気づくかもしれない。)

Claire: Which would, in a way, be the greatest gift that we could ever give them.
(それって、ある意味、私たちが子どもたちにあげられる最高の贈り物になるわね。)

Phil: And which would paradoxically make them respect us even more.
(それに、逆説的に、あの子たちが俺たちをもっと尊敬するようになるかもしれないぜ。)

Modern Family Season1 Episode10 (Undeck the Halls)

make a sacrifice(犠牲を払う)と give up power(権限を手放す)を組み合わせることで、単なる「引き下がる」行為が「子どものための贈り物」という前向きな枠組みに言い換えられています。in a way(ある意味)は断定を和らげる働きをする挿入句で、paradoxically(逆説的に)は一見矛盾する結果を示すときに使う副詞です。都合のいい理屈を積み重ねていく2人のやり取りに、思考の飛躍が表れています。

supreme sacrifice(この上ない犠牲)のように、名詞の前に強調の形容詞を置くことで、行為の重みを大きく見せる言い方もこの場面の特徴です。greatest gift(最高の贈り物)という表現も同様に、最上級を使って「引き下がること」の価値を持ち上げています。

クレアとフィルが交互に理屈を積み増していく構成そのものが、都合のいい結論に向かって言葉を重ねていく様子を映し出しています。could realize(気づくかもしれない)という控えめな仮定の形も、まだ確信に至っていない理屈であることを、それとなく示しています。

“Okay, forget that. Go back one.” ― 案を却下してやり直す言い方

一連の言い回しを並べたあと、フィルはそれまでの理屈をいったん取り下げて、次のように続けます。

Phil: Okay, forget that.
(よし、今のは忘れよう。)

Phil: Go back one.
(1つ前に戻ろう。)

Modern Family Season1 Episode10 (Undeck the Halls)

forget that(今のは忘れて)は、直前の発言をなかったことにするときのくだけた言い方です。Go back one(1つ前に戻る)は、本来は録画や書類のページ送りのような操作を指す言い方ですが、ここでは会話そのものを「1つ前の状態」に巻き戻すような感覚で使われており、ひとつ前の案に戻ろうという合図になっています。組み立てた理屈を自分で却下し、仕切り直そうとするフィルの様子が伝わってきます。直訳すると「一つ前に戻ろう」で、それまでの流れを一段階だけ巻き戻すときに使えます。

forget it(気にしないで)という定型句はよく知られていますが、forget that はここでは直前の自分の発言を対象に指す形で使われています。it と that の違いは小さいものの、直前に出した具体的な内容を名指しで撤回する響きがあります。理屈を積み上げた末に自分で「今のはなし」と言い切る潔さが、この場面のおかしみを支えていると言えます。

まとめ|言葉を並べてみて、気に入らなければ言い直す

back down という一歩引く言い方、supreme sacrifice や in a way、paradoxically を重ねて理屈を組み立てる言い方、そして forget that や Go back one で仕切り直す言い方を見てきました。一度口にした言葉を自分で退けてやり直す、というやり取りの型が浮かび上がってきます。理屈を並べては自分で崩すという流れそのものが、フィルらしいユーモアの土台になっていると言えます。

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