海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン2第4話では、マッケンジーという女の子との電話をめぐって、ヘイリーが妹のアレックスに「人気者」の振る舞い方を教え込む姿が描かれます。教わる内容は、相手に合わせすぎず、わざとそっけなく応じる話し方です。
今回は、電話を短く切り上げる定番の言い方と、気のないふりをする言い回し、そしてそのふりがほころぶ瞬間を見ていきます。
「the former」と「the latter」、そして「I’m busy. Call me back later.」
アレックスがマッケンジーに電話をかけようとしているところに、ヘイリーが割って入ります。
Haley: Now shut up and let me help you.
(いいから黙って、私に手伝わせて。)Haley: The world is divided into two groups: Cool girls and girls like you.
(世の中は2種類に分かれてんの。イケてる女子と、あんたみたいな女子。)Haley: And you have been given a rare opportunity to move from the former to the latter.
(で、あんたは前者から後者に移れる、めったにないチャンスをもらったってわけ。)Alex: The latter to the former.
(後者から前者、でしょ。)Haley: Whatever.
(どうでもいいし。)Haley: Oh, my God, you’re such a geek.
(マジで、ほんとガリ勉なんだから。)Haley: Now, do you want to be smart, or do you want to be popular?
(で、頭のいい子になりたいの?それとも人気者になりたいの?)Modern Family Season2 Episode4 (Strangers on a Treadmill)
the former は「前者」、the latter は「後者」を表し、直前に挙げた2つのものを順番に指します。ここでは前者が Cool girls、後者が girls like you なので、ヘイリーの言い方では「イケてる女子から、あんたみたいな女子へ」と逆の意味になってしまいます。アレックスの The latter to the former. という訂正は、2語の意味を正確に押さえているからこそ出てくる一言です。
| 語 | 意味 | この場面で指すもの |
|---|---|---|
| the former | 前者 | Cool girls |
| the latter | 後者 | girls like you |
訂正されたヘイリーは Whatever.(どうでもいいし)と流し、do you want to be smart, or do you want to be popular? と二択を迫ります。A or B? の形で相手に選ばせる問いかけで、ヘイリーにとって「頭がいい」と「人気者」は両立しないものとして並べられているのが面白いところです。
その後、アレックスはマッケンジーとの電話でこう言います。
Alex: Hey, Mackenzie.
(もしもし、マッケンジー。)Alex: I’m busy.
(今忙しいの。)Alex: Call me back later.
(あとでかけ直して。)Alex: That was hard.
(今のはきつかった。)Haley: If it was easy, everyone would be popular.
(簡単だったら、みんな人気者になってるって。)Modern Family Season2 Episode4 (Strangers on a Treadmill)
I’m busy. Call me back later. は、用件を聞く前に会話を切り上げる定番の組み合わせです。call back は「電話をかけ直す、折り返す」という句動詞で、Can I call you back?(こちらからかけ直してもいい?)のように自分が折り返す側に回る言い方もよく使われます。Call me back later. と相手にかけ直しを求めると、主導権を自分の側に置いた、そっけない響きになります。
ヘイリーの If it was easy, everyone would be popular. は、事実と違う状況を仮定する形です。文法書では If it were easy と習うことが多い形ですが、会話では was もよく使われます。
「Who’s this?」「I’ll try and come.」に見る、気のないふりとそのほころび
後の場面で、マッケンジーから再び電話がかかってきます。パーティーへの誘いのメッセージが届いていたことを話した後、アレックスは自分で電話に出ます。
Haley: And then when she says
(で、あの子がこう言ったら)Alex: Haley, I got this.
(お姉ちゃん、大丈夫、分かってるから。)Alex: Hey.
(もしもし。)Alex: Who’s this?
(どちらさま?)Haley: Brilliant.
(天才じゃん。)Alex: No, I didn’t see it.
(ううん、見てない。)Alex: I get a lot of texts.
(メッセージいっぱい来るから。)Modern Family Season2 Episode4 (Strangers on a Treadmill)
I got this. は「任せて」「自分でできる」という意味の口語で、I’ve got this. とも言います。Who’s this? は電話口で「どちらさま?」と相手を尋ねる言い方で、横で聞いていたヘイリーは Brilliant. と反応します。I get a lot of texts. は、メッセージを気にかけていないように見せる一言として機能しています。
- A: Do you need help with that?
(それ、手伝おうか?) - B: No, I got this.
(ううん、大丈夫。自分でできるから。)
I got this. は、手助けを申し出られたときに断る返事としても使えます。
Alex: When’s the party? I’ll try and come.
(パーティーっていつ?行けたら行くよ。)Alex: You know, I’m kinda busy.
(ほら、私ちょっと忙しいし。)Alex: I have a life.
(私にも私の生活があるから。)Alex: You know, stuff.
(いろいろとね。)Alex: Homework.
(宿題とか。)Haley: Uh-oh.
(あーあ。)Alex: I mean not homework It’s not work if you love it.
(っていうか、宿題じゃなくて……好きでやってれば「ワーク」じゃないし。)Modern Family Season2 Episode4 (Strangers on a Treadmill)
I’ll try and come. は I’ll try to come. の口語的な形で、「行けるようにしてみる」という含みから、日本語の「行けたら行く」に近い距離感を出せます。I have a life. は「自分にもやることがある」と、暇ではないことを示す言い方です。
あいだに入る kinda は kind of のくだけた形で、「ちょっと」と言い切りを和らげる働きをします。You know, stuff. の stuff は「いろいろ」とぼかす語で、中身を具体的に言わずに忙しさだけをにおわせる場面と相性のよい一語です。
ところが、忙しさの中身として Homework. と口にしたところで、ヘイリーの Uh-oh. が入ります。アレックスは言い直そうとして It’s not work if you love it.(好きでやっているなら仕事じゃない)という決まり文句を持ち出し、homework の work を打ち消そうとします。そっけなさを装っていた話し方から、勉強好きな一面がのぞく流れが見どころです。
まとめ|そっけない英語と、隠しきれない本音
the former と the latter、I’m busy. Call me back later.、Who’s this?、I’ll try and come.、I have a life. を見てきました。気のないふりをする言い回しと、それがほころぶ一言を並べると、アレックスの素顔も見えてきます。
次回も『モダンファミリー』と一緒に、登場人物の英語を追いかけていきましょう。
このエピソードのフレーズ記事でも、同じ回の英語表現を扱っています。


コメント