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『モダンファミリー』シーズン3第13話では、地元の討論会に臨むクレアと、娘のアレックスの会話が二度描かれます。一度目は討論会の直前でアレックスが励ます側に回り、二度目は討論会を終えたあとで、今度はクレアのほうが自分を責める言葉を口にします。
今回は、その二つの会話から、相手の自己否定を短い No で打ち消すやり取りと、自分の好きなことを thing で言い表す口語を見ていきます。
討論会の前の「Based on what?」と「That’s more like it!」
討論会の会場で、フィルが家族に席に着こうと声をかけたあと、アレックスがクレアに話しかけます。
Alex: Okay.
(よし。)Alex: Mom, just be confident.
(ママ、とにかく自信を持って。)Claire: Mm-hmm? Based on what? I just lost a debate in my living room, and people think I’m unlikable.
(ふうん? 何を根拠に? リビングでの討論にすら負けたし、みんな私を感じが悪いと思ってるのよ。)Modern Family Season3 Episode13 (Little Bo Bleep)
Based on what? は「何を根拠に?」と、励ましの言葉に裏付けを求める返し方です。ここでは、リビングでの模擬討論で負けたことと、自分を「感じが悪い」と見る人がいるという調査結果を挙げて、自信の持ちようがないと訴えています。直前のアレックスの just be confident の just は「とにかく」「ただ〜すればいい」と、あれこれ考えずにそうするよう促す働きをしています。
アレックスは「ほかのことは全部忘れて」と言い、クレアは How did you get so smart? と感心します。そのあとの二人のやり取りです。
Alex: Hey.
(ちょっと。)Alex: Hey.
(ちょっと。)Alex: No kisses! Proud and powerful.
(キスはなし! 誇り高く、力強く。)Claire: Sorry.
(ごめん。)Alex: And no apologizing.
(謝るのもなし。)Claire: Yes! Shut up and get in there!
(よし! 黙って乗り込め!)Alex: That’s more like it!
(その調子!)Claire: Uh-huh!
(そうよ!)Modern Family Season3 Episode13 (Little Bo Bleep)
Sorry. と言ったクレアに、アレックスは no apologizing と、no + 動名詞で「謝るのも禁止」と言い切ります。勢いのある言葉が返ってくると、That’s more like it! で受けます。「そのほうがずっといい」という意味で、相手の言い方や態度が望む方向に変わったときの合いの手です。
No kisses! や no apologizing のように、no を名詞や動名詞の前に置くと、短く言い切る禁止の形になります。謝る言葉まで封じることで、強気で臨むよう後押ししていると読み取れます。
「No, I did.」で打ち消しを打ち消す
討論会が終わったあと、クレアとアレックスは別の会場でもう一度言葉を交わします。
Claire: You know what the worst part of today was?
(今日いちばん最悪だったこと、何だか分かる?)Alex: I imagine it’s hard to choose.
(ありすぎて選べないんじゃない?)Claire: When everything was melting down, I realized I had an answer to your question, why I was running.
(何もかもめちゃくちゃになってたとき、あなたの質問の答えが分かったの。なんで出馬するのかっていう。)Claire: I wanted to make my family proud, and I did the exact opposite.
(家族に誇りに思ってほしかったのに、正反対のことをしちゃった。)Alex: No.
(そんなことないよ。)Claire: No, I did.
(ううん、したのよ。)Claire: I totally embarrassed you.
(あなたたちに恥ずかしい思いをさせちゃった。)Alex: No.
(そんなことない。)Modern Family Season3 Episode13 (Little Bo Bleep)
アレックスの I imagine it’s hard to choose. は、「最悪だったこと」がいくつもありすぎて一つに絞れないだろう、という辛口の返しです。クレアの言う「あなたの質問」は、模擬討論でアレックスが最初に聞いた「なぜ出馬するのか」を指しています。
注目したいのは No の往復です。アレックスの No. は、クレアの「正反対のことをした」という言葉を打ち消しています。するとクレアは No, I did. と返します。この No は「あなたの否定は違う」という意味で、そのあとの I did で「本当にそうしてしまった」と言い直しています。日本語なら「ううん、したのよ」に近く、相手の打ち消しをさらに打ち消す形です。
英語の No は「その内容は違う」と相手の言葉を退ける語なので、否定が続いても、誰の何を打ち消しているかを順に追えば意味がつかめます。the exact opposite は「まさに正反対」と、期待と結果のずれを強調する言い方です。
「that’s kind of my thing」で好きなことを言い表す
アレックスの二度目の No. のあと、会話はこう続きます。
Alex: No, dad embarrassed me.
(違うよ、恥ずかしかったのはパパのほう。)Alex: I was proud of you.
(ママのことは誇らしかったよ。)Alex: I think it’s cool you’re running for local office.
(地元の選挙に出るなんて、かっこいいと思う。)Alex: I mean, it’s totally nerdy, and that’s kind of my thing.
(まあ、すごくオタクっぽいけど、そういうのってちょっと私の得意分野だし。)Claire: Hmm.
(うーん。)Claire: Maybe it’s kind of our thing.
(もしかしたら、私たち二人の得意分野なのかもね。)Modern Family Season3 Episode13 (Little Bo Bleep)
No, dad embarrassed me. は、クレアの「恥ずかしい思いをさせた」を、恥ずかしかった理由は別にあると言い換えて打ち消す形です。そのうえで I was proud of you. と、クレアが望んでいた proud という言葉を返しています。
that’s kind of my thing の thing は、「好きなこと、得意なこと、自分らしいこと」を指す口語です。kind of を入れることで「ちょっとした」という照れが加わり、自慢に聞こえにくくなります。否定形の It’s not my thing.(それは私の好みじゃない)も同じ thing の使い方で、興味のなさを角を立てずに伝える言い方です。
クレアはこれを受けて my を our に替え、Maybe it’s kind of our thing. と返します。一語を入れ替えるだけで、娘の好みが母と娘の共通点に変わる流れが印象的です。
| 表現 | 意味・働き |
|---|---|
| Based on what? | 何を根拠に?(励ましに裏付けを求める) |
| That’s more like it! | その調子!(望む方向に変わったときの合いの手) |
| No, I did. | ううん、したのよ(相手の打ち消しをさらに打ち消す) |
| That’s kind of my thing. | それってちょっと私の好きなこと・得意なこと |
まとめ|打ち消し合う No と、共通点になる thing
討論会の前の Based on what? と That’s more like it!、終わったあとの No, I did. と No, dad embarrassed me.、そして kind of my thing が kind of our thing に変わる一言。短い言葉の往復で、落ち込む相手に寄り添う様子が描かれています。
『モダンファミリー』の家族の会話には、何気ない一語に気持ちが込められた場面がこれからも続きます。
このエピソードのほかのコラムやフレーズ記事でも、同じ一日の別の場面の英語を取り上げています。


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