海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン10第18話では、フィルがルーク、ディラン、ビルを招き、格闘技の試合を一緒に観る「ファイトナイト」を開きます。ところが試合は観られず、フィルは代わりに映画を見せることになります。
尊敬される側の言葉と、尊敬する相手に届かないと感じる側の言葉では、英語の向きが変わります。look up to と measure up を軸に、フィルと若者たちの会話から、表現の言い分けを順に見ていきます。
「role model」と「look up to」で手本になりたい気持ちを表す
フィルは、ファイトナイトのねらいを次のように語ります。
Phil: I want to be a role model to this family’s next generation of men.
(この家の次の世代の男たちの手本になりたいんだ。)
Phil: So, I’m hosting a fight night with, uh, Luke, Dylan, and Alex’s boyfriend, Bill, where I will begin the process of inspiring them and imparting wisdom.
(だから、ルークとディラン、それにアレックスの彼氏のビルを呼んでファイトナイトを開く。そこで3人を刺激して、知恵を授ける第一歩を踏み出すんだ。)
Phil: I figure they have to listen to me.
(あいつらも俺の話を聞かないわけにはいかないだろうしね。)
Modern Family Season10 Episode18 (Stand by Your Man)
role model は「お手本となる人」で、be a role model to ~ の形で「〜にとっての手本になる」と言えます。impart wisdom は「知恵を授ける」というかしこまった言い方で、普段の会話ではやや大げさに響きます。フィルはその大げさな語で、意気込みを表しています。I figure ~ は「〜だろうと踏んでいる」というくだけた推量です。
映画の上映のあと、ビルは「映画をからかったから怒っているのか」と尋ね、ディランも別の推測を口にします。それを受けたフィルの言葉がこちらです。
Phil: It’s ridiculous to say this out loud, but I guess I just wanted to feel like someone you guys could look up to.
(口に出すとばかみたいなんだけど、たぶん俺は、お前たちが尊敬できる相手だって感じたかっただけなんだ。)
Modern Family Season10 Episode18 (Stand by Your Man)
look up to ~ は「〜を尊敬する、手本として仰ぐ」という句動詞です。文字どおりには「見上げる」で、相手を自分より上に置く気持ちが込められています。反対の向きは look down on ~(〜を見下す)です。someone you could look up to のように、「尊敬できる人」を名詞のかたまりで言える点も便利です。前置きの It’s ridiculous to say this out loud, but は「口に出すと恥ずかしいけど」と、本音を切り出す前のクッションとして働いています。
「compete with」と「measure up」で届かない気持ちを伝える
フィルの打ち明けを聞いて、ビルは自分の側の悩みを話し始めます。
Bill: The hardest thing about dating Alex well, besides all the big words is just knowing she grew up with a perfect guy in her life.
(アレックスと付き合っていちばんきついのは……まあ、難しい言葉ばっかりなのは別として、あいつが完璧な男のそばで育ったって分かってることなんだよな。)
Bill: It’s pretty hard to compete with.
(張り合うのはかなりきついよ。)
Modern Family Season10 Episode18 (Stand by Your Man)
ここでの「完璧な男」はアレックスの父親であるフィルを指します。compete with ~ は「〜と張り合う、競う」で、hard to compete with は「比べられたら太刀打ちできない」という降参の気持ちを表します。前半の big words は「難しい言葉」のくだけた言い方で、ビルは冗談まじりにアレックスの語彙の多さにも触れています。ディランも続けて、自分は fall short(届かない)だろうと不安を口にします。そしてルークの言葉が続きます。
Luke: Try being his son, knowing you’ll never measure up.
(この人の息子をやってみなよ。絶対に肩を並べられないって分かったうえでさ。)
Luke: It’s no picnic.
(楽じゃないよ。)
Luke: Which is ironic, because we go on a lot of picnics.
(皮肉だよね、ピクニックにはしょっちゅう行ってるのに。)
Modern Family Season10 Episode18 (Stand by Your Man)
measure up は「(基準や相手に)見合う、肩を並べる」で、measure up to ~ の形でも使われます。look up to と並べると、向きの違いが分かります。
| 表現 | 視点 | 意味 |
|---|---|---|
| look up to ~ | 相手を仰ぐ | 〜を尊敬する |
| measure up (to ~) | 自分を測る | 〜に見合う |
| compete with ~ | 横に並べる | 〜と張り合う |
look up to は相手への気持ちを、measure up は自分が基準に届くかどうかを語る表現です。It’s no picnic. は「楽なことではない」という決まった言い方で、ルークはそれを文字どおりのピクニックに結びつけて冗談にしています。
「pass on」で学んだことを次へ渡す
3人がフィルの得意なことを次々に挙げたあと、フィルはこう話します。
Phil: I just love you guys, and I want to pass on some of the things that I’ve learned.
(とにかく、お前たちが大好きなんだ。だから、俺が学んできたことをいくつか伝えたいんだよ。)
Modern Family Season10 Episode18 (Stand by Your Man)
pass on ~ は「(知識や経験を)次の人へ伝える」という句動詞で、pass on ~ to the next generation のように渡す相手も添えられます。同じ形の I’ll pass. は「やめておく、遠慮する」の意味になるので、目的語に「伝えるもの」が来ているかどうかで見分けます。フィルの文では some of the things that I’ve learned が目的語で、学んだことを渡す意味だと分かります。
このあとフィルが伝える教えは、テニスボールとアライグマの冗談から始まり、「どの瞬間にも楽しみを見つける」「どの人にも良いところを見つける」といった言葉へ移っていきます。冒頭で imparting wisdom と大げさに構えていたフィルが、最後には I just love you guys という飾らない一言から話し始めています。手本になりたい側も、手本に届かないと感じる側も、気持ちを言葉にすることで距離が縮まる流れが読み取れます。
まとめ|尊敬と比べる気持ちを言い分ける英語
相手を仰ぐ look up to、自分を基準に測る measure up、張り合う compete with、そして経験を次へ渡す pass on を見てきました。尊敬する気持ちと、届かないと感じる気持ちを分けて伝えられるようになります。
フィルと若者たちのやりとりを観ながら、表現の向きの違いを確かめるのも『モダンファミリー』の楽しみ方です。
同じ回のほかのコラムでは、褒め言葉が悪口に聞こえたときの聞き返し方や、電話で保留にされたときの英語も取り上げています。


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