「the ability to say no without guilt」——断ってばかりいると、頼まれなくなる?「頼む・頼まない」の英語|『モダンファミリー』S08E19で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 「the ability to say no without guilt」——断ってばかりいると、頼まれなくなる?「頼む・頼まない」の英語|『モダンファミリー』S08E19で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『モダンファミリー』シーズン8第19話で、ジェイは「気兼ねなく断れること」を年を重ねた特権として楽しんでいます。ところが家族は、ジェイに頼む前から「頼まないから」と口にするようになっていきます。

頼みごとを断る言い方は学ぶ機会が多い一方で、「頼まない」と先に宣言する側の英語は意外と目にしません。この回では、断る側と頼まない側の両方の言い方が、ひとつの流れの中で出てきます。

目次

「the ability to say no without guilt」——断る特権を語るジェイ

来年70歳になると前置きしたうえで、ジェイは断ることについて次のように語ります。

Jay: One of the few perks of getting up there is the ability to say no without guilt.
(年を重ねて数少ない得のひとつが、気兼ねなくノーと言えることだ。)

Jay: “Can I have a ride to the airport?” No.
(「空港まで送ってくれる?」ノー。)

Jay: Do I want to see your niece’s recital? Nuh-unh.
(お前の姪の発表会を見たいかって? いや。)

Jay: “Want to do a walk-a-thon to end global” I’m gonna stop you right there.
(「地球規模の〜をなくすチャリティーウォークに——」そこでストップだ。)

Modern Family Season8 Episode19 (Frank’s Wedding)

say no without guilt は「罪悪感なしにノーと言う」で、without guilt が「後ろめたさを感じずに」を表します。perk は「特典、役得」という口語寄りの語で、One of the few perks of ~ は「〜の数少ない良い点のひとつ」という言い回しです。

例として挙げられる頼みごとは、ジェイが口まねで並べたものです。Nuh-unh. は首を横に振るような「いや」を音で表した短い否定で、I’m gonna stop you right there. は相手の話を最後まで聞かずにさえぎる決まり文句です。頼みの中身によって断り方の長さを変えているのが面白いところです。

どの断り方にも理由や謝罪が付いていない点も、「気兼ねなく」という言葉どおりと言えます。実際の会話では No. だけだと強く響くため、I’m afraid I can’t. や I’ll have to pass. のように、ひと言添えた断り方が無難とされます。

ガレージの手伝いを頼まれたマニーは、すかさずこの理屈を自分にも当てはめようとします。

Jay: Manny, help me out in the garage.
(マニー、ガレージを手伝ってくれ。)

Manny: Do I get to say no to things I don’t want to do?
(僕も、やりたくないことには「ノー」と言っていいの?)

Jay: No, at your age, it’s unlikable.
(だめだ。お前の年でそれをやると嫌われる。)

Jay: At my age, it’s delightful.
(俺の年だと、愛嬌になる。)

Modern Family Season8 Episode19 (Frank’s Wedding)

Do I get to ~? は「〜させてもらえるの?」と、許可や権利があるかを尋ねる言い方です。say no to ~ の後ろに断る対象を置くと、「〜を断る」という意味になります。ジェイの返事は No で始まり、マニーの「断っていい?」という問いそのものを断っている点がとぼけた味わいを生んでいます。

「I’m not gonna ask you to help」——先回りの「頼まない」宣言

断る特権を楽しむジェイに対し、家族のほうも手を打っています。ソースの急ぎの注文を抱えたグロリアとの会話です。

Jay: What the hell is all this?
(何なんだ、これは?)

Gloria: I got a rush order for my sauce, and the kitchen that I usually use was booked, so I have to do everything myself.
(ソースに急ぎの注文が入ったの。いつも使ってるキッチンが予約でいっぱいで、全部自分でやらなきゃいけないのよ。)

Jay: You know, I think I slept funny last night.
(なあ、どうも昨夜は寝違えたみたいでな。)

Gloria: No, don’t.
(いいの、言わないで。)

Gloria: I know better than to ask for your help.
(あなたに手伝いを頼むほど、私もばかじゃないわ。)

Jay: Ah, good, ‘cause I have a tee time.
(そりゃよかった。ゴルフの予約があるんでな。)

Modern Family Season8 Episode19 (Frank’s Wedding)

sleep funny は「変な姿勢で寝る」、つまり「寝違える」という口語です。ジェイは頼まれる前に体の不調をにおわせ、予防線を張っています。最後の tee time はゴルフのスタート時刻の予約で、予定を理由に断るときの典型的な口実と言えます。グロリアの I know better than to ~ は「〜するほど愚かではない」という意味で、この言い回しは同じ回のフレーズ記事でも取り上げています。ここでは、頼む前に「頼まない」と宣言する一例として見ておきます。

幼いジョーも、怪物の話を信じないジェイにこう返します。

Jay: Joe, there’s no such thing as monsters.
(ジョー、怪物なんてものはいない。)

Joe: Calm down.
(落ち着いて。)

Joe: I’m not gonna ask you to help.
(パパに手伝ってなんて言わないから。)

Modern Family Season8 Episode19 (Frank’s Wedding)

I’m not gonna ask you to ~ は「あなたに〜してとは頼まない」で、ask 人 to 動詞 の否定形です。相手が身構える前に負担がないことを伝えるため、断る口実を言わせないという働きもあります。グロリアの No, don’t. も、ジェイが言い訳を言い終える前に止める一言です。頼む側が先に引くことで、断る側の出番そのものがなくなっていく流れが分かります。

「people just stop asking」——頼まれなくなって気づくこと

その後もジェイは、断れば時間が空くと語ります。

Jay: Fortunately, when you say no to everything, it frees up time to concoct ingenious schemes.
(ありがたいことに、何でも断っていると、うまい計画を練る時間ができる。)

Modern Family Season8 Episode19 (Frank’s Wedding)

ところが、グロリアたちがジョーの部屋の壁を塗っている場面では、立場が変わります。

Gloria: Oh, nothing.
(あら、何でもないわ。)

Gloria: We’re painting Joe’s wall with monster repellent to protect him.
(ジョーを守るために、壁に怪物よけを塗ってるの。)

Jay: Looks like you’re having fun, huh?
(楽しそうだな。)

Gloria: Honey, don’t worry.
(あなた、心配しないで。)

Gloria: We’re not gonna ask you to do anything.
(あなたに何か頼んだりしないから。)

Jay: The trick to the corners is if you
(角のコツはだな、こう——)

Manny: Yeah, yeah, we got it.
(はいはい、分かってるって。)

Modern Family Season8 Episode19 (Frank’s Wedding)

グロリアの We’re not gonna ask you to do anything. は、ソースの場面でのひと言と同じ「頼まない」宣言です。ジェイが角の塗り方のコツを言いかけると、マニーの Yeah, yeah, we got it. にさえぎられます。Yeah, yeah と重ねる言い方は「はいはい」と話を切り上げたいときの返事で、言い方次第でそっけなく聞こえます。we got it は「もう分かっている」で、助言を受け取る必要がないことを伝えます。手伝いを断る側だったジェイが、口出しを断られる側に回っている構図が印象的です。

Jay: The thing about saying no you say it too much people just stop asking.
(ノーってのは、言いすぎると誰も頼んでこなくなるもんだ。)

Modern Family Season8 Episode19 (Frank’s Wedding)

stop asking は「頼むのをやめる」です。The thing about ~ is の形をくだけて使った The thing about saying no は「ノーと言うことの困ったところは」と、経験から得た教訓を切り出す言い方です。冒頭で語った特権の裏側に、ジェイ自身が気づく場面と読み取れます。

まとめ|断る英語と「頼まない」英語

say no without guilt や I’m gonna stop you right there. の断り方と、I’m not gonna ask you to help. のような先回りの「頼まない」宣言。両方を知っておくと、頼みごとをめぐる会話の駆け引きが聞き取りやすくなります。

ジェイの語りの変化を追いながら、これからも『モダンファミリー』の英語を楽しんでいきましょう。

家族の「やりすぎ」をめぐる言い方や結婚式の英語は同じ回のほかのコラムで、I know better than to の詳しい使い方はフレーズ記事で読めます。

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