「know better than to」の意味と使い方|『モダンファミリー』S08E19で学ぶ英会話

「know better than to」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

以前に痛い目に遭った相手には、もう頼まない。経験から先に結論を出して、その手は使わないと決めることがあります。

頼まないと決めたその判断を表す「know better than to」を、『モダンファミリー』シーズン8第19話の序盤、グロリアがジェイにきっぱり告げる一言から、一緒に見ていきましょう。

目次

「know better than to」の意味とニュアンス

know better than to
意味:〜するほど愚かではない、〜しないだけの分別がある

know better than to + 動詞は、「そんなことをすればどうなるか分かっているから、しない」という意味の表現です。経験や常識がブレーキになって、軽率な行動を選ばない、という判断を表します。

直訳すると「〜するよりも、もっとよく知っている」です。better は good の比較級で、「〜することより、もっと良い判断を知っている」という発想がもとになっています。そのため、この表現が言っているのは「やり方を知っている」ではなく、「やらないほうがいいと分かっている」です。

主語が I なら、「その手は使わない」「頼まない」「乗らない」といった賢明さの表明になります。主語が you で、You should know better than to … の形なら、「分別があるはずなのに」という非難や、たしなめの言い方に変わります。同じ形でも、誰が誰に言うかで向きが逆になる点に注意が必要です。

過去の話なら knew better than to … です。後ろには動詞の原形を置き、to の後ろに名詞は来ません。I know better than to argue. のように、してはいけない行動を動詞で示します。

【ここがポイント!】

  • 「know better than to」の核は、経験から「やらないほうがいい」と分かっているということ
  • 後ろには動詞の原形が来て、I なら賢明さ、you の should なら非難になる
  • 「〜のやり方をよく知っている」と訳すと意味が逆になるので注意する

『モダンファミリー』S08E19のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ジェイが、目に入った様子に驚いてグロリアに尋ねる場面です。グロリアが事情を話すと、ジェイは体の不調をほのめかすような一言を口にします。それを聞いたグロリアが、先回りして話を打ち切ります。「know better than to」は、グロリアが断る言葉の中に入っています。

Jay: What the hell is all this?
(いったい何なんだ、これは。)

Gloria: I got a rush order for my sauce, and the kitchen that I usually use was booked, so I have to do everything myself.
(私のソースに急ぎの注文が入ったの。いつも使ってる厨房が予約でふさがってたから、全部自分でやらなきゃいけないのよ。)

Jay: You know, I think I slept funny last night.
(なあ、昨日の夜、変な寝方をしたみたいでな。)

Gloria: No, don’t. I know better than to ask for your help.
(だめ、やめて。あなたに手伝いを頼むようなまねはしないわよ。)

Jay: Ah, good, ‘cause I have a tee time.
(ああ、そりゃよかった。ゴルフの予約が入ってるんだ。)

Modern Family Season8 Episode19 (Frank’s Wedding)

シーン解説と心理考察

グロリアの I got a rush order for my sauce は、「ソースに急ぎの注文が入った」という事情の説明です。rush order は「急ぎの注文」、booked は「予約でふさがっている」で、いつもの厨房が使えないから全部自分でやるしかない、と続きます。ジェイの What the hell is all this? に、順を追って答えた形です。

ところがジェイは、You know, I think I slept funny last night. と返します。slept funny は「寝方がおかしかった」、つまり寝違えたような体の不調をほのめかす言い方です。グロリアが手伝いを頼む前に、ジェイのほうが先に体の具合に触れています。

グロリアはそれを No, don’t. と止めます。don’t は、その先を言わないで、という制止です。続く I know better than to ask for your help. は、頼んでもあてにならないと見切った言葉で、「あなたに頼むようなまねはしない」という意味になります。ここでは怒りをぶつけるというより、あきらめと、先回りの牽制が混ざっています。

ジェイの Ah, good, ‘cause I have a tee time. は、頼まれないことを都合がよいと受け取る返事です。’cause は because の短縮形で、tee time はゴルフの開始予約時刻です。グロリアが頼む前に結論を出し、ジェイがそれをそのまま受け止める。夫婦のやり取りの呼吸が、短い台詞の中にあります。

『モダンファミリー』流・覚え方のコツ

better を「より良く」と読むと、この表現は覚えやすくなります。「より良い判断を知っている」から、その行動を選ばない。知識が、行動の手前でブレーキを踏んでくれるわけです。

グロリアの場合、ブレーキを踏んだのは、手伝いを頼むという行動です。ask for your help の手前で知識が働いて、頼まないほうを選んでいます。後ろの動詞が「選ばなかった行動」を示す、と読むと形が頭に入ります。

過去の話にするときは、knew better than to … です。She knew better than to reply while she was angry. なら、「彼女は、怒っている間に返信するほど愚かではなかった」と、そのときの判断を振り返る文になります。

もう一つの覚え方は、言い換えです。I know better than to ask. を、I’m not stupid enough to ask. と読み替えてみます。「頼むほど愚かではない」という日本語に、そのまま重なります。ただし、愚かという語が強く出すぎるので、会話では know better than to のほうが、角が立たない言い方になります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「know better than to」

日常の判断、会話での断り、たしなめの3つで、形の使い分けを確かめます。

I know better than to argue with him when he’s tired.
(彼が疲れているときに言い合うほど、私は愚かじゃないよ。)
経験から避けている行動を説明する場面です。when 以下で、避ける条件を添えています。

A: Want to try the spicy challenge?
B: No, thanks. I know better than to say yes to that.
(A:激辛チャレンジやってみる?)
(B:いや、遠慮しとく。それに乗るほど愚かじゃないから。)
軽く誘いをかわす会話です。say yes to that の部分が、選ばなかった行動です。

You should know better than to touch a hot stove.
(熱いコンロに触ったらどうなるか、分かっているはずでしょう。)
子どもをたしなめる場面です。主語が you で should が付くと、非難の向きになります。

あわせて覚えたい関連表現

be smart enough not to
(〜しないだけの賢さがある)
be smart enough not to は、賢さをそのまま述べる言い方です。know better than to は、経験や常識から分かっている、という含みが加わります。

learn one’s lesson
(痛い目に遭って学ぶ)
learn one’s lesson は、失敗から学んだという過去の経緯に重点があります。know better than to は、学んだ結果として避ける、現在の態度を表します。

think twice
(よく考え直す、ためらう)
think twice は、行動する前にためらう動きを指します。know better than to は、ためらうまでもなく選ばない、という判断です。

Note|「頼み方を知っている」ではない。know better than to の和訳のずれ

know better than to を字面どおりに訳すと、意味がずれます。

know は「知っている」、better は「より良く」なので、I know better than to ask for your help. を「あなたに助けを頼む、より良い方法を知っている」と読んでしまいがちです。しかし、この文が言っているのは、頼み方の話ではありません。頼むという行動そのものを選ばない、という意味です。

ずれが起きるのは、better の後ろに than to が続くからです。「〜するよりも良く知っている」と読むと、「〜する」の部分が、知っていることの内容ではなく、比べる相手になります。つまり、頼むことよりも賢い判断を知っている、という構造で、頼む行動のほうは選ばれません。

訳すときは、「〜するほど愚かではない」「〜するようなまねはしない」とすると、意味の向きが正しく出ます。主語が you の should know better は、「分別があるはずなのに」と、相手の軽率さをたしなめる訳になります。

なお、後ろの than to … を省いて、He should know better. とだけ言う形もあります。何をするべきではないかが前の文脈から明らかなときに使い、「彼なら分別があるはずなのに」という意味になります。than to の後ろがあってもなくても、「分かっているのだから、そうはしない(はずだ)」という中心の意味は変わりません。

まとめ|知っているのは、やり方ではなく、やらないという判断

know better than to は、経験や常識から、軽率な行動を選ばないと言い切る表現です。後ろには動詞の原形を置き、I なら賢明さ、you の should なら非難になります。

グロリアは、頼んでもあてにならないと分かっているから頼まない、という意味でこの言葉を使いました。ジェイは頼まれずに済んだことを、そのまま受け止めています。

字面の「よく知っている」にとらわれず、「やらないと分かっている」と読む。その読み方が、この表現を使いこなす近道です。

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