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『モダンファミリー』シーズン7第4話では、フィルが見つけたアヒルの卵が何週間たってもかえりません。家族の多くが卵を疑うなか、フィルはそれでも、アヒルのための「村」づくりを進めようとします。
周りが疑っているとき、信じる側はどんな言葉で踏みとどまるのでしょうか。疑う側の遠回しな言い方と、信じる側のまっすぐな言い方を、家族の会話の場面ごとに見ていきます。
「Should you prepare yourself for the possibility」——疑う側の言い方
卵の話題は、キッチンでの家族の会話から始まります。
Claire: Honey, you found those eggs weeks ago, and they still haven’t hatched.
(ねえ、あの卵を見つけたのは何週間も前でしょ。なのにまだかえってない。)Claire: Should you prepare yourself for the possibility that they might be
(覚悟しておいたほうがいいんじゃない? もしかしたら、あの卵は)Phil: Alligators?
(ワニかもって?)Haley: Dead.
(死んでる。)Modern Family Season7 Episode4 (She Crazy)
フィルはすぐにルークへ話を振ります。
Phil: What?! Can you believe your sister?
(何だって?! 姉さんの言うこと、信じられるか?)Luke: Yeah, I do.
(うん、信じる。)Luke: They’re dead.
(死んでるよ。)Phil: The only thing that’s dead in this kitchen is your childlike sense of wonder.
(このキッチンで死んでるのは、お前の子どもらしいワクワクする心だけだ。)Modern Family Season7 Episode4 (She Crazy)
クレアの Should you prepare yourself for the possibility that ~ は「〜の可能性に備えておいたほうがいいんじゃない?」という言い方です。悪い知らせを直接告げず、相手に心の準備を促す形で切り出す言い方と言えます。その言葉の終わりを待たずにフィルが Alligators? とかぶせ、続きをヘイリーが Dead. の一語で言ってしまう流れです。
フィルの Can you believe your sister? は本来「信じられるか?」と同意を求める問いかけですが、ルークは Yeah, I do. と文字どおり「信じる」と答えます。問いかけの意図と答えがすれ違うところに、この家族らしいやりとりが見えます。
最後の sense of wonder は「物事に驚き、わくわくする心」で、childlike を添えると「子どものような」純粋さが強調されます。childish(子どもっぽい、幼稚な)とは違い、childlike は肯定的に使われることが多い語です。
「Anyone can be a doubter」で信じる側に立つ
村づくりを手伝うリリーに、フィルはこう声をかけます。
Phil: You’ve got your whole life to roll your eyes.
(目をぐるっと回すのは、この先いくらでもできるさ。)Phil: Today isn’t just about building a duck village.
(今日はアヒルの村を作るだけの日じゃない。)Phil: It’s about building your smile.
(君の笑顔を作る日なんだ。)Phil: Don’t fight it.
(我慢しないで。)Phil: There it is.
(ほら、出た。)Modern Family Season7 Episode4 (She Crazy)
You’ve got your whole life to ~ は「〜するのはこの先いつでもできる」と、今はやめておこうと促す言い方です。roll one’s eyes は目をぐるりと回してあきれを示すしぐさを表す表現で、冷めた態度の代名詞のように使われます。Don’t fight it. は「(笑いたい気持ちに)逆らわないで」、There it is. は待っていたものが出たときの「ほら、それ」です。
別の場面では、卵のそばを離れているフィルとリリーの間で、こんな会話が交わされます。
Phil: Oh, I hope those eggs are doing okay.
(ああ、卵たち、大丈夫かな。)Phil: I feel bad leaving them alone.
(置いてきちゃって、なんだか悪いな。)Lily: Probably safer that way.
(たぶんそのほうが安全。)Modern Family Season7 Episode4 (She Crazy)
Phil: It’s just more fun believing even when no one else does.
(誰も信じてなくても、信じてるほうが楽しいんだよ。)Phil: Anyone can be a doubter.
(疑うだけなら誰にでもできる。)Modern Family Season7 Episode4 (She Crazy)
リリーの Probably safer that way. は、フィルがいないほうが卵には安全だという皮肉と読み取れます。それでもフィルは揺らぎません。believing even when no one else does の no one else does は「ほかの誰も信じていない」で、does は believes を言い換えたものです。
Anyone can be a doubter. の doubter は「疑う人」です。anyone can ~ は「誰にでもできる」、つまり特別なことではないという含みを持ちます。疑うのは簡単で、信じ続けるほうにこそ意味がある、というフィルの考え方がこの短い一文に表れていると言えます。
前向きでいられなくなったときと、その後
一日がんばったクレアにも、限界が来ます。
Claire: No, Phil, I can’t.
(ううん、フィル、無理。)Claire: I can’t.
(無理よ。)Claire: I am tired, and I am sweaty, and as much as I have tried to stay positive like you all day, I think sometimes we need to just face certain facts like corporate people are not creative, and ducks that haven’t hatched in a month might never.
(疲れたし、汗だくだし、一日じゅうあなたみたいに前向きでいようとがんばったけど、時には現実を受け入れなきゃいけないと思うの。会社の人間はクリエイティブじゃないとか、1か月かえらなかったアヒルの卵はもうかえらないかもしれないとか。)Lily: Just turn the eggs, lady!
(いいから卵を回してよ、おばさん!)Modern Family Season7 Episode4 (She Crazy)
卵の向きを変えてほしいと頼むフィルに、クレアは断りを入れます。as much as I have tried to ~ は「〜しようとがんばってはきたけれど」という譲歩の言い方で、stay positive は「前向きでいる」です。後半の言い回しはフレーズ記事で扱っているので、ここでは「努力を認めてから本音を言う」組み立てとして押さえておきます。
その後、卵はかえります。どんな結末だったかは、フィルの次の言葉から分かります。
Phil: The ducks imprinted on Claire.
(アヒルたちはクレアを親だと思いこんだ。)Phil: It’s n-not a big deal.
(べ、別にたいしたことじゃない。)Modern Family Season7 Episode4 (She Crazy)
imprint on ~ は、生まれたばかりの鳥などが最初に見た相手を親だと覚え込むことを指すと言われます。卵を疑っていたクレアに、アヒルが懐いてしまう皮肉が見どころです。
続く It’s n-not a big deal. は「たいしたことじゃない」と平静を装う決まり文句で、口ごもった言い方が、言葉の内容とは裏腹な響きを生んでいます。信じ続けた本人ではなく、疑っていた側が卵の「親」になる結末に、この回らしいユーモアがのぞきます。
まとめ|疑う言葉と信じる言葉
疑う側の Should you prepare yourself for the possibility that ~、信じる側の Anyone can be a doubter. や believing even when no one else does。卵をめぐる会話から、同じ出来事を前にした言葉の選び方の違いが見えてきます。
信じる人と疑う人がそろう家族の会話を、これからも『モダンファミリー』で追いかけていきましょう。
ジェイとクレアの会話や、ミッチェルとキャメロンの本音をめぐる英語は、同じ回のほかのコラムで、ひとつひとつの表現はフレーズ記事で紹介しています。


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