海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
出かけたい予定があるのに、家族から「寂しくなるな」「待っているのに」と言われて、断りにくくなってしまう場面があります。
そんな状況にぴったりの「guilt-trip someone」を、『モダンファミリー』シーズン8第7話の中盤、カボへの旅行を父に止められそうだと、アレックスに不満をぶつけるヘイリーの一言から、一緒に見ていきましょう。
「guilt-trip someone」の意味とニュアンス
guilt-trip someone
意味:(人)に罪悪感を抱かせて、思いどおりに動かそうとする
guilt-trip someone は、相手に「申し訳ない」という気持ちを持たせることで、その人の行動を変えさせようとする口語表現です。guilt は「罪悪感」、trip は「旅」ですが、動詞として使うときは、全体で「罪悪感を抱かせて動かす」というひとかたまりの意味になります。
単に罪悪感を持たせるだけでなく、「その結果、相手に何かをさせる、あるいはやめさせる」狙いが含まれている点が特徴です。親が子に「一人だと寂しい」と訴えて予定を変えさせる場面や、友人に「来てくれないの?」と迫る場面が、典型的な使いどころです。
文の形は、guilt-trip + 人 + into / out of + 動名詞が基本です。into を使えば「〜するように仕向ける」、out of を使えば「〜しないように仕向ける」という意味になります。名詞の a guilt trip を使い、lay a guilt trip on someone と言うこともできます。
「罪悪感を抱かせて動かそうとする」「申し訳ない気持ちにさせて、思いどおりにしようとする」のように訳せます。「罪悪感を持たせる」だけで終わらせず、「それによって〜させようとする」まで訳すと、原文の狙いが伝わります。
【ここがポイント!】
- 「guilt-trip someone」の核は、罪悪感を道具にして相手を動かそうとすること
- 「人 + into / out of + 動名詞」と続けて、動かす方向を示す形が基本
- 罪悪感を持たせるだけで終わらず、行動を変えさせる狙いまで含む表現
『モダンファミリー』S08E07のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ヘイリーがアレックスに向かって、父に対する不満を一気に話し始める場面です。話題はカボへの旅行で、父のフィルが自分に罪悪感を持たせて行かせまいとしている、というのがヘイリーの言い分です。それを聞いたアレックスがどう返し、ヘイリーがどう受けるのかが、この場面の流れです。
Haley: Ugh! Dad is killing me. He’s trying to guilt trip me out of going to Cabo. When is he gonna let me live my own life?
(もう、パパのせいで死にそう。私がカボに行かないように、罪悪感を持たせようとしてくるの。いつになったら私の人生を好きに生きさせてくれるわけ?)Alex: Maybe when you stop living out of his basement and eating all of his food.
(たぶん、パパの地下室で暮らして、パパの食べ物を全部食べるのをやめたらじゃない?)Haley: You’re right. I am a victim.
(そのとおりね。私は被害者だわ。)Modern Family Season8 Episode7 (Thanksgiving Jamboree)
シーン解説と心理考察
ヘイリーの発言は、Ugh! という声から始まります。Dad is killing me. の killing は、実際に命を奪うという意味ではなく、「参ってしまう」「たまらない」という大げさな言い方です。父親に対する不満を、強い言葉で切り出していることが分かります。
続く He’s trying to guilt trip me out of going to Cabo. が、ヘイリー自身の見方です。父は自分に罪悪感を持たせて、カボに行くのをやめさせようとしている、という説明になっています。そのうえで When is he gonna let me live my own life? と、自分の人生を好きに生きさせてほしいという気持ちを重ねます。この一連の流れの中で、guilt trip は、不満の中心にある言葉として置かれています。
アレックスの返しは、Maybe when you stop… と、ヘイリーの問いに条件で答える形です。いつ好きに生きさせてくれるのか、という問いに対して、暮らしと食べ物の面を挙げて切り返しています。ヘイリーの大げさな訴えと、アレックスの端的な指摘が、短いやり取りの中で対照をなしています。
最後のヘイリーの You’re right. I am a victim. は、アレックスの指摘にいったん同意しながら、自分を被害者だと言う言葉です。この一言を本気と読むか、冗談と読むかは、発言だけからは決められません。ヘイリーが自分のことを victim と言い表したところまでを押さえておくと、やり取りの流れがつかめます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
guilt は罪悪感、trip は旅です。罪悪感という名前の旅行に、相手を連れ出す絵が、そのまま意味になります。申し訳なさに押されて、行きたい道とは別の方向へ連れていかれる様子が、「罪悪感を抱かせて動かす」という意味に重なります。
ヘイリーの台詞では、連れていかれる先が「行かない」という方向でした。out of going to Cabo は、カボへ行く道から外へ連れ出される絵として覚えておくと、前置詞の向きも一緒に頭に入ります。into なら道の中へ、out of なら道の外へ、という動きです。
例文で覚える「guilt-trip someone」
罪悪感を道具にして動かす場面で使う guilt-trip を、3つの例文で使い方を見ていきます。
Stop trying to guilt trip me into staying home.
(家にいるように罪悪感を持たせようとするのはやめて。)
出かけたい人が相手に抗議する場面です。into のあとに staying を置いて、「〜するように仕向ける」という向きを作っています。
She guilt-tripped her brother into lending her money.
(彼女は弟に罪悪感を持たせて、お金を貸してもらった。)
きょうだいのやり取りを語る場面です。過去形にすると、動かすことに成功した結果まで表せます。
A: Why did you cancel?
B: My mom kept guilt-tripping me about missing dinner.
(A:どうしてキャンセルしたの?)
(B:夕食に出られないことで、母にずっと罪悪感を持たされてたんだ。)
予定をやめた理由を説明する場面の会話です。kept のあとに -ing を置くと、繰り返し続いたことが分かります。
あわせて覚えたい関連表現
make someone feel guilty
(〜に罪悪感を抱かせる)
make someone feel guilty は、罪悪感を持たせることだけを表します。guilt-trip は、そのうえで相手の行動を変えさせようとする狙いが含まれる点が違います。
lay a guilt trip on someone
(〜に罪悪感を押しつける)
lay a guilt trip on someone は、名詞の a guilt trip を使った言い方で、guilt-trip someone とほぼ同じ意味です。動詞の形のほうが短く、into や out of を続けやすくなります。
pressure someone into
(〜に圧力をかけて〜させる)
pressure someone into は、罪悪感に限らず、圧力全般で相手を動かす言い方です。guilt-trip は、「申し訳なさ」を手段にするところが特徴です。
Note|into と out of で向きが変わる、guilt-trip の「人 + 前置詞 + -ing」
guilt-trip は、後ろに続ける前置詞によって、相手を動かす向きが変わる動詞です。ヘイリーの台詞は、その形がそのまま出ている例になっています。
into を使うと、「〜するように仕向ける」という意味になります。She guilt-tripped her brother into lending her money. なら、弟がお金を貸す方向へ動かされた、という意味です。into は「中へ」の向きを持つ前置詞なので、ある行動の中へ相手を入れ込むイメージが働きます。
一方で out of を使うと、「〜しないように仕向ける」、つまり「やめさせる」という意味になります。ヘイリーの guilt trip me out of going to Cabo は、行くという行動の外へ連れ出す、という組み立てです。out of は「外へ」の向きなので、ある行動から相手を引き離すイメージになります。
台詞では、人の位置にヘイリー自身の me が入っています。guilt trip me out of going という並びは、「私を、行くことから引き離す」という意味です。動詞のすぐあとに人を置き、そのあとに前置詞と動名詞を続ける、という順序になっています。
into か out of かを聞き取るだけで、相手が何をさせられようとしているのか、何をやめさせられようとしているのかが分かります。前置詞一つで、動かす向きが決まる動詞です。
まとめ|罪悪感を手段にした、動かし方の言い表し方
guilt-trip someone は、相手に罪悪感を抱かせて、行動を変えさせようとすることを表す表現です。into なら「〜させる」、out of なら「〜をやめさせる」と、前置詞が動かす向きを示します。
ヘイリーは、カボへの旅行をめぐる父への不満を、guilt trip me out of going という形でアレックスに話しました。罪悪感を手段にした働きかけを、一つの動詞で言い表せるところが、この表現の便利な点です。誰かに気持ちを押されて予定を変えた経験を、英語で話したくなったときの引き出しに加えてみてください。


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