海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
相手の気持ちをわざと乱して、冷静に考えにくくさせる。その働きかけを、英語は「頭」を使った短い言い回しで言い表します。
そんなときに使える「mess with your head」を、『モダンファミリー』シーズン8第15話の後半、ミッチェルがルイーズに向けて、その狙いを指摘する場面から、一緒に見ていきましょう。
「mess with your head」の意味とニュアンス
mess with your head
意味:(わざと)人の頭を混乱させる、心をかき乱す
mess with someone’s head は、相手を惑わせたり不安にさせたりして、冷静に考えにくくさせることを表します。mess は「散らかす、いじる」、head は「頭」です。頭の中を引っかき回して散らかす、という文字どおりの意味が、そのまま「混乱させる」という意味につながっています。
見出しの mess with your head は、your の位置に、頭の持ち主を表す語が入る形です。シーンでは、ミッチェルが過去形で messed with his head と言っていて、mess が messed に、your が his に変わっています。持ち主が誰かに合わせて、my、your、his、her、their と入れ替えます。
人がわざと仕向けるときだけでなく、長い待ち時間のような状況が人の気持ちを乱すときにも使えます。どちらの場合も、「頭の中が落ち着かなくなる」という結果が、表現の中心です。主語に人を置けば「その人が混乱させた」、状況を置けば「その状況が混乱させた」という文になり、混乱させる側が誰なのか、何なのかを、主語で言い分けられます。
【ここがポイント!】
- 「mess with your head」の核は、相手の頭の中をかき乱して、冷静に考えにくくさせること
- your の位置には持ち主を表す語が入り、シーンでは過去形の messed with his head になる
- 「頭をいじる」と直訳せず、「かき乱す、混乱させる」と訳す
『モダンファミリー』S08E15のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
キャメロンがルイーズに理由を問いただし、ルイーズが答えたあと、最後にミッチェルがルイーズに向けて指摘を重ねます。ミッチェルが最後に述べる指摘の中身に、注目です。
Cameron: Why would you do this?
(どうしてこんなことをしたんだ?)Louise: Because you bug me.
(あなたにイライラするからよ。)Cameron: That’s it?
(それだけ?)Louise: You picked the team name, you designed the shirts, you take all the credit. Everything’s about you.
(チーム名を決めたのもあなた、シャツをデザインしたのもあなた、手柄は全部あなたのもの。何でもかんでもあなたが中心なのよ。)Mitchell: You messed with his head so he’d lose us the team championship. Yeah, opening the door for for you to be captain.
(君は彼の頭をかき乱して、僕たちがチーム選手権で負けるようにしたんだ。そう、君がキャプテンになる道を開くためにね。)Modern Family Season8 Episode15 (Finding Fizbo)
シーン解説と心理考察
キャメロンの Why would you do this? は、「どうしてこんなことをしたんだ?」と、理由を問う形です。ルイーズは Because you bug me. と答えます。bug は「いらだたせる」という意味の動詞で、キャメロンにいらだつから、という、短い理由です。
キャメロンは、That’s it? と、理由はそれだけなのかと問い返します。ルイーズは、You picked the team name, you designed the shirts, you take all the credit. と、キャメロンのしたことを三つ並べ、Everything’s about you. と締めます。チーム名、シャツ、手柄と、具体的な例を挙げてから、「何でもかんでもキャメロンが中心だ」とまとめる流れです。
そこでミッチェルが、ルイーズに向けて、You messed with his head so he’d lose us the team championship. と指摘します。his はキャメロン、you はルイーズのことです。so he’d lose us the team championship の so は「〜するように」と目的を表し、lose us the team championship は「僕たちにチーム選手権を負けさせる」という形です。ミッチェルは、キャメロンの頭をかき乱す目的が、負けさせることにあった、と言っています。
続く Yeah, opening the door for for you to be captain. は、「そう、君がキャプテンになる道を開くためにね」という意味です。open the door for は、「〜に道を開く、機会をつくる」という言い方です。ミッチェルは、頭をかき乱す行為の先に、ルイーズがキャプテンになる道がある、という筋書きを述べています。ここまでが、ミッチェルによる指摘の中身です。
ミッチェルの文では、messed with his head のあとに so he’d lose us the team championship が続きます。mess with someone’s head は、混乱させる行為そのものを指し、そのあとに続く so … が、その行為の目的を述べる形になっています。行為と目的を、一文の中で順に言い切る組み立てです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
きちんと整理された机の上を、誰かがごそごそと引っかき回して、書類をぐちゃぐちゃにする。そんな頭の中の様子を、一枚の絵として頭に置きます。mess が散らかすこと、head が頭で、with のあとに、引っかき回される頭が来ます。
頭の持ち主は、his や your に入れ替えられます。ミッチェルが mess with your head の your を his に替えて言ったのも、同じ絵の持ち主だけを替えたものです。引っかき回された机の持ち主が誰かを言い分けられる、と覚えておくと、人称が変わっても同じ表現だと気づけます。
例文で覚える「mess with your head」
混乱させる側が人か状況かに注目しながら、3つの例文を見ていきます。
Stop messing with my head. Just tell me the truth.
(私を混乱させるのはやめて。本当のことを言って。)
遠回しな言い方に振り回されて困っている場面です。Stop のあとに -ing 形の messing を置き、いまやっている行為をやめるよう求めています。Just tell me the truth. と続けると、遠回しな言い方をやめて、はっきり言ってほしいという要望まで伝わります。
A: Why did you say that?
B: I wasn’t trying to mess with your head. I was just joking.
(A:どうしてそんなことを言ったの?)
(B:君を混乱させるつもりはなかったよ。ただの冗談だったんだ。)
冗談が誤解された場面です。wasn’t trying to のあとに原形の mess を置いて、わざとではなかったことを伝えています。
Don’t let the long wait mess with your head.
(長い待ち時間に気持ちを乱されないで。)
待たされて落ち着かなくなりそうな人を励ます場面です。let のあとに原形の mess を置き、主語の the long wait が状況であることを示しています。your head で聞き手の気持ちを指しています。
あわせて覚えたい関連表現
get in someone’s head
((人)の頭の中に入り込む、気持ちを乱す)
get in someone’s head は、相手の考えの中に入り込んで影響を与える、という言い方です。mess with someone’s head は、混乱させるという結果に重点があります。
play mind games
(心理戦をしかける)
play mind games は、計画的に相手を揺さぶる行為を表します。mess with someone’s head は、計画的な場合にも、成り行きで混乱させる場合にも使えます。
throw someone off
((人)を惑わせる、調子を狂わせる)
throw someone off は、ペースを乱す、調子を狂わせる、という動きに焦点があります。mess with someone’s head は、気持ちや考えそのものをかき乱す言い方です。
Note|mess with 人 と mess with 人の head。with のあとに置く語で変わる意味
mess with は、with のあとに何を置くかで、意味の中心が変わります。シーンの英文を手がかりに、形と訳し方を整理します。
まず、with のあとに人そのものを置く形です。mess with someone は、「(人)にちょっかいを出す、手を出す」という意味になります。これに対して、with のあとに人の head を置く mess with someone’s head は、「(人)の頭を混乱させる」という意味で、働きかけの対象が、人そのものではなく、その人の頭の中、つまり気持ちや考えに絞られます。
次に、形の変化です。someone’s の位置には、my、your、his、her、their のような所有格が入ります。時制は、messed with his head のように動詞 mess の部分で変えます。シーンのミッチェルは、すでに起きたことを指摘しているので、過去形の messed を使っています。Stop messing with my head. のように、-ing 形にもできます。
日本語にするときは、head を「頭」とだけ訳さないよう注意します。「頭をいじる」と直訳すると、何をしたのかが伝わりにくくなります。「気持ちをかき乱す」「混乱させる」と訳すと、意味が合います。シーンのミッチェルの一言は、「彼の頭をかき乱して」と、元の語を少し残した訳でも、意味は通ります。
mess with を使う文を読むときは、with のあとに人が来ているのか、人の head が来ているのかを、先に確かめます。head が付いていれば、働きかけの対象は頭の中、と読めます。
まとめ|相手の頭の中を引っかき回す、という言い方
mess with your head は、相手の頭の中をかき乱して、冷静に考えにくくさせることを表す表現です。your の位置には持ち主を表す語が入り、時制は mess の部分で変えます。
with のあとに人を置いた mess with someone は、「ちょっかいを出す」という別の意味になります。head が付くかどうかで、働きかけの対象が変わります。
ルイーズが不満を述べたあと、ミッチェルが最後に口にしたのは、messed with his head を使って、その狙いを指摘する一言でした。


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