海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
頼まれごとや約束を一つずつ受けているうちに、気づけば予定がぎっしり埋まっていて、「さすがに抱え込みすぎたかも」と立ち止まる瞬間があります。
そんなときに口をついて出る「take on too much」を、『モダンファミリー』シーズン4第9話の前半、公園の木が切られると知ったキャメロンとミッチェルのやり取りから、一緒に見ていきましょう。
「take on too much」の意味とニュアンス
take on too much
意味:引き受けすぎる、抱え込みすぎる
take on too muchは、仕事・責任・約束などを、自分の許容量を超えて引き受けてしまうことを表す表現です。take onは「引き受ける」「担う」の意味で、そこにtoo much(多すぎるもの)が続くと、「引き受けた量が多すぎた」という反省や、手が回らなくなった自覚のニュアンスが加わります。
too muchは目的語の位置に直接置かれていますが、「take on too much work」のように、あとに名詞を続ける形にもできます。何を引き受けたのかをはっきり示したいときは名詞を添え、「とにかく多かった」と全体を言い表したいときはtoo muchだけで言い切ります。
時制にも特徴があります。I’ve taken on too muchのように現在完了形にすると、これまで積み重ねてきた結果が「今」に響いているという感覚が出ます。took on too muchと過去形にした場合は、過去に引き受けすぎた出来事として語る形になります。愚痴や反省を口にするときの自然な言い方として、どちらの形も覚えておくと便利です。時制を変えるだけで、語りたい時間の幅を切り替えられる点も、この表現の使いやすさです。
【ここがポイント!】
- 「take on」は仕事や責任を引き受ける動作、「too much」で自分の許容量を超えたという反省が加わる
- too muchだけで言い切る形と、take on too much workのように名詞を添える形がある
- I’ve taken on too muchのように現在完了形にすると、今の状態への自覚が出る
『モダンファミリー』S04E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
公園の木が切られるという話を受けて、キャメロンがミッチェルに「何とかしなきゃ」と訴えかける場面です。自分を責める言葉の中でこのフレーズが飛び出し、ミッチェルの問い返しに、キャメロンが具体例を次々と挙げていきます。
Cameron: We have to do something.
(何とかしなきゃ。)Mitchell: Well, if we knew earlier, we could.
(もっと早く知っていれば、できたんだけどね。)Cameron: I blame myself. I’ve taken on too much.
(自分が悪いんだ。いろいろ引き受けすぎたよ。)Mitchell: What exactly have you taken on?
(いったい何を引き受けたっていうんだい?)Cameron: Are you kidding me? Teaching music? This dresser handle project? My role in the musical?
(冗談だろ? 音楽を教えること、このタンスの取っ手のプロジェクト、それにミュージカルの役もあるじゃないか。)Mitchell: Oh, that.
(ああ、それか。)Modern Family Season4 Episode9 (When a Tree Falls)
シーン解説と心理考察
「何とかしなきゃ」というキャメロンの訴えに対して、ミッチェルは「もっと早く知っていれば」と、過去の仮定を使って返します。
そこでキャメロンは「自分が悪いんだ」と続け、その言葉に「いろいろ引き受けすぎた」を重ねます。take on too muchは、自責の言葉に具体的な内容を与える役割を担っています。ミッチェルが「いったい何を引き受けたっていうんだい」と尋ねると、キャメロンは「冗談だろ?」と前置きしてから、三つの例を挙げます。音楽を教えること、タンスの取っ手のプロジェクト、ミュージカルの役です。
挙げられた三つは、どれもキャメロン自身が抱えている用事です。抽象的だった「引き受けすぎた」が、具体的な項目の列に置き換わることで、どれほどの量を指しているのかが会話の中で見えてきます。三つの例を並べる勢いのある言い方から、用事の多さを一つずつ数え上げていく口調が伝わってきます。最後にミッチェルが「ああ、それか」と短く受けて、このやり取りは締めくくられます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
両腕に荷物を次々と積み上げていって、これ以上は持てなくなる場面を思い浮かべてみましょう。「take on(引き受ける)」で荷物が一つずつ増えていき、「too much(多すぎ)」の一言で、腕からこぼれ落ちそうになる様子が見えてきます。
キャメロンが挙げた音楽の授業、タンスの取っ手、ミュージカルの役は、そのまま両腕に乗っている荷物の内訳です。「引き受けすぎた」と言う前に、抱えている荷物を指折り数える姿を重ねて覚えると、take on too muchの感覚がぐっと身近になります。
例文で覚える「take on too much」
自分の許容量を超えて引き受けてしまった場面で使う、take on too muchの例文を3つ見ていきましょう。
I think I’ve taken on too much this month, so I need to slow down.
(今月は引き受けすぎたと思うから、ペースを落とさなきゃ。)
忙しさを見直して、自分に言い聞かせる場面です。現在完了形のI’ve taken on too muchが、今の状態を振り返る響きを出しています。
She took on too much at work and ended up missing the deadline.
(彼女は仕事を抱え込みすぎて、結局締め切りに間に合わなかった。)
同僚の状況を第三者として説明する場面です。ended up ~ingで、引き受けすぎた結果どうなったかまで続けています。
A: You look exhausted.
B: I know. I took on too much when I said yes to both projects.
(A:すごく疲れて見えるよ。)
(B:そうなの。両方のプロジェクトを引き受けたのが多すぎたのよ。)
疲れている理由を同僚に聞かれて答える会話です。when I said yes to ~のように、引き受けた場面を添えると、原因がはっきり伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
bite off more than one can chew
(身の程以上のことに手を出す)
「噛める量より多く口に入れる」という比喩で、力量を超えた挑戦に手を出すことを指します。take on too muchが仕事や責任の量に焦点を置くのに対し、こちらは自分の力量との差に焦点があります。
have too much on one’s plate
(抱えている仕事が多すぎる)
すでに多くを抱えている「今の状態」を表す言い方です。take on too muchは「引き受けた」という動作と、その結果に焦点があります。
spread oneself too thin
(手を広げすぎて力が分散する)
あれこれ手を出して、一つひとつに十分な力を注げない状態を表します。take on too muchは量の多さ、こちらは力の薄まりに焦点があります。
Note|「引き受けすぎる」と「抱え込みすぎる」、日本語に置き換えるとどう変わるか
take on too muchを日本語にするとき、「引き受けすぎる」と「抱え込みすぎる」のどちらを選ぶかで、文の焦点が少し変わります。
「引き受けすぎる」は、頼まれごとや役目を受けるという行為に焦点があります。誰かからの依頼に応じた結果、量が増えたというニュアンスで、受ける側の判断が話題の中心です。一方の「抱え込みすぎる」は、引き受けた結果として一人で背負っている状態に焦点があります。誰にも任せず、自分のところに仕事や責任を集めてしまう様子まで含みます。
英語のtake onは、「引き受ける」という動作を表す動詞句です。ただ、too muchが加わると、その結果として抱えている状態まで見通せる形になります。そのため、文脈によって「引き受けすぎた」とも「抱え込みすぎた」とも訳せます。今回の和訳は「いろいろ引き受けすぎたよ」で、キャメロンが挙げていく具体例が「引き受けた用事」の列であることと合っています。
訳語で迷ったときは、その場面で話し手が見ているのが、頼まれた場面なのか、抱えている今の状態なのかを確かめてみてください。焦点が決まれば、take on too muchの訳し分けが見えてきます。
まとめ|引き受けた荷物を、指折り数える一言
take on too muchは、仕事や責任、約束を自分の許容量を超えて引き受けてしまったことを表す表現です。
too muchだけで言い切る形も、take on too much workのように名詞を添える形も、現在完了形も過去形も、場面に合わせて使い分けられます。忙しさを見直すひと言としても、同僚の状況を説明するときにも役立つ、幅の広い言い方です。
キャメロンが「いろいろ引き受けすぎた」と言ったあとに、音楽の授業、タンスの取っ手、ミュージカルの役と具体例を挙げていく場面では、抽象的な言葉が具体的な荷物の列に変わっていく様子が描かれていました。自分の抱えている荷物を言葉にしたいときの選択肢として、表現の引き出しに加えてみてください。


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