海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第4話に登場する、褒め言葉のような形をとりながら実は本音や苛立ちをにじませる言い回しです。People誌の「30 under 30」に選ばれて浮かれるラージを前に、レナードたちの言葉には字面と本音のずれが色濃く表れています。
Are you proud of yourself?という一言から見ていきます。
「Are you proud of yourself?」に込められた皮肉の問いかけ
中華料理を囲む食事会で、ラージがPeople誌「30 under 30」に選ばれたことを報告すると、シェルドンは選考基準やメンバーの経歴をひとつひとつ問いただし始めます。埒が明かないやり取りにしびれを切らしたレナードが放つのが、この一言です。
Leonard: Are you proud of yourself?
(満足したか?)Sheldon: In general, yes.
(概ね、満足している。)TBBT Season2 Episode4 (The Griffin Equivalency)
Are you proud of yourself? は文字どおりなら「誇りに思うか」と尋ねる問いですが、ここでのレナードは執拗な追及にうんざりし、「いい加減にしろ」という非難を疑問文の形に包んで放っています。相手を咎めたいときに、命令ではなく皮肉な問いかけを借りる言い方です。
面白いのは、皮肉を理解しないシェルドンがこの問いを字義どおりに受け取り、In general, yes. と大真面目に答えてしまう点です。この噛み合わなさが、表現の裏表を際立たせています。
「I beg to differ」と「by far」に見る、大げさな自己弁護
シェルドンの研究室では、レナードとハワードがラージへの態度を反省し、謝りに行こうと持ちかけます。前夜、協力的でなかったと指摘されたシェルドンは、自分こそが一番の理解者だったのだと言い張り始めます。
Sheldon: Oh! No, I beg to differ. Of the three of us, I was by far the most supportive.
(いや、それは違う。3人の中で、僕が誰よりも協力的だったんだから。)Leonard: Really, do tell.
(へえ、それはぜひ聞かせてもらいたいね。)TBBT Season2 Episode4 (The Griffin Equivalency)
I beg to differ. は「異議を唱えさせてもらう」という、丁寧だが譲らない反論の定型表現です。相手の意見にやんわりと、しかしきっぱり異を唱えたいときに使えます。
続く by far は「群を抜いて」と比較の差を強調する言い方で、シェルドンはこの語で自分の貢献度を実際以上に誇張しています。それを受けたレナードの Really, do tell. は、続きを促すふりをした皮肉な相槌です。
「let’s show Raj that we’re happy for him」―喜ぶふりをする言い方
研究室を出た3人は、ラージの部屋の前で気持ちを立て直そうとします。ここでも本音と建前のずれが続きます。
Leonard: And when we go in there, let’s show Raj that we’re happy for him.
(中に入ったら、ラージのために喜んでいる態度を見せよう。)Sheldon: But I’m not.
(でも、僕は喜んでいない。)Howard: Well then fake it. Look at me, I could be grinding on the fact that without my stabilizing telescope mount he never would have found that stupid little clump of cosmic schmutz, but I’m bigger than that.
(それなら演技すればいい。俺を見てみろ、俺の望遠鏡マウントがなきゃラージはあんなくだらない宇宙のゴミくずを見つけられなかったって根に持つことだってできるんだぜ。でも俺はそんなちっぽけな男じゃないんだ。)TBBT Season2 Episode4 (The Griffin Equivalency)
let’s show Raj that we’re happy for him は「喜んでいる姿を見せよう」と、感情そのものではなく見せ方を提案する言い方です。シェルドンの But I’m not. は取り繕わない率直な返しですが、ハワードは fake it(演技しろ)で押し切ります。grinding on the fact that …(〜を根に持つ)という言い回しからは、ハワード自身も功績を認めてほしい思いを抱えていることがうかがえます。喜ぶふりを提案する側にも、実は妬みが透けて見える場面です。
まとめ|言葉の表と裏を読み分ける
Are you proud of yourself?、I beg to differ、by far、fake it。字面だけを追うと素直な問いかけや前向きな提案に見えても、状況によっては皮肉や嫉妬、体裁づくろいが隠れていることが分かります。表面の言葉と本音のずれを意識すると、会話の温度差がより鮮明に読み取れるようになります。
次回も『ビッグバン★セオリー』の掛け合いを通して、英語表現の裏側を見ていきましょう。
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