海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン11 第3話から、Just a reminderという前置きの二つの顔を取り上げます。仕事帰りの予定を伝えるバーナデットと、同じ前置きで返すハワードの会話は、短い一言が言い方ひとつで親切にも釘刺しにもなることを示しています。
後半では、バーナデットが付け足しの一言で皮肉を添える場面も見ていきます。短いフレーズに込められた温度差に注目です。
「Just a reminder」を投げ返すと釘刺しになる
夫婦の会話で、バーナデットが仕事のあとの予定を切り出します。
Bernadette: Hey, just a reminder— I’m going out for drinks after work.
(ねえ、念のため言っとくけど、仕事のあと飲みに行くから。)Howard: Oh. Great. Just a reminder— you’re pregnant.
(へえ。そりゃいい。念のため言っとくけど、妊娠中だぞ。)Bernadette: I’m not drinking, just taking a new coworker out.
(飲まないわよ。新しい同僚を連れて行くだけ。)Howard: Oh. Just a reminder— you’re married.
(ああ。念のため言っとくけど、結婚してるんだぞ。)Bernadette: Female coworker. She’s new in town, and I want to make her feel welcome. And let her know the office is full of liars before everyone tells her I’m mean.
(女性の同僚よ。この街に来たばかりだから、歓迎されてるって感じてほしいの。それに、みんなに私が意地悪だって吹き込まれる前に、職場は嘘つきだらけだって教えておきたいし。)TBBT Season11 Episode03
Just a reminder は「念のためお伝えすると」という前置きで、予定や締め切り、約束を相手に思い出させるときに使われます。メールでも Just a reminder that the meeting starts at 10. のように、角を立てずに確認を促す書き出しとして見かける形です。
バーナデットの一言は、まさにこの本来の使い方です。ところがハワードは同じ前置きを借りて、妊娠中であること、結婚していることという、相手が知らないはずのない事実を続けます。分かりきったことをわざわざ「念のため」と言うことで、軽いからかいを込めた釘刺しに変わっているのがポイントです。
同じ型を2回繰り返すことで、言い返しのリズムが生まれているのも見どころです。リマインドの形を借りた言い返しは、親しい間柄なら冗談として通じますが、職場などで使うと嫌味に受け取られかねない点には注意が必要です。
バーナデットの最後の発言にある make someone feel welcome は「歓迎されていると感じてもらう」という言い方です。新しく来た人を気遣う場面で、そのまま使える表現と言えます。
付け足しの一言で皮肉を添える
続く会話で、ハワードがその同僚は独身かと尋ねると、バーナデットは set someone up with ~(〜に人を紹介して引き合わせる)を使い、ラージとくっつける気はないと先回りして断ります。独身かどうかを聞かれただけなのに、ラージの名前を自分から出して断っているのが面白いところです。
バーで同僚のルチと話していると、ラージとスチュアートが現れます。すごい偶然だという一言に、バーナデットはこう返します。
Bernadette: Yeah, seren-frickin’-dipity.
(ええ、ほんっとセレンディピティね。)TBBT Season11 Episode03
serendipity(思いがけない幸運な出会い)の途中に、強い俗語をやわらげた強調語 frickin’ を挟んだ言い方です。単語の間に強調語を割り込ませると、「よくもまあ」という皮肉な響きが加わります。
2人と挨拶を交わしたあと、バーナデットはルチを紹介しつつ、こう付け加えます。
Bernadette: Ruchi is my coworker. But that was probably in your briefing packet.
(ルチは私の同僚。でもそれ、たぶん事前資料に書いてあったわよね。)TBBT Season11 Episode03
briefing packet は会議の前などに配られる説明資料のことです。「どうせ下調べ済みでしょう」という含みを後半の一文に込め、偶然ではないと見ていることがにじむ一言と読み取れます。
同じバーの場面の後半、ラージがスチュアートに向かって「彼女と住んでいる」と言うと、バーナデットは誤解を解いたうえで、さらに一言足します。
Bernadette: Oh, it’s not like that. He rents a room from me and my husband. Who, by the way, is no prize, either.
(あら、そういうのじゃないの。彼は私と夫から部屋を借りてるだけ。ちなみに、その夫もたいした掘り出し物じゃないけどね。)TBBT Season11 Episode03
no prize は「たいしたものではない」という意味で、by the way(ちなみに)と組み合わせることで、本題のあとに軽口をすべり込ませています。説明の文に一言を足すだけで皮肉が生まれるという、付け足しの型が分かります。
まとめ|前置きと付け足しの温度差
今回は、確認を促すJust a reminder、それを投げ返す釘刺しの使い方、make someone feel welcome、set someone up with、そしてbriefing packetやby the wayで添える皮肉を見てきました。同じフレーズでも、続く内容と言い方で響きが変わることが分かります。
夫婦や友人同士の軽口に耳を傾けると、英語の温度感が少しずつ見えてきます。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事も、あわせて読むと会話の流れがつかみやすくなります。


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