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今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第8話に登場する、アメリカのカジュアルなチェーンレストラン文化です。ハワードが留守番電話に夕食の誘いを残す背後で、ハワードの母が外食先をめぐって割り込んでくる場面から、家族の外食先の決め方や店選びの温度感が垣間見えます。この短いやり取りに、アメリカの家庭でよく知られたレストランチェーンが2つ登場します。
新聞のクーポンを手にした母の一言から、少しずつ順番に見ていきます。
クーポン片手に外食先を決める、母親主導のやり取り
ステファニーの留守番電話に、ハワードが夕食の誘いを残している最中、電話の背後からハワードの母の声が割り込んできます。息子の会話に構わず、外食先を一方的に決めようとする一言です。
Howard’s Mother: Tell her we’re going to the Olive Garden! I have a coupon from the paper.
(ステファニーに伝えてちょうだい、オリーブガーデンに行くって。新聞のクーポンがあるのよ。)Howard: We’re not going to the Olive Garden, Mom!
(オリーブガーデンには行かないよ、ママ!)Howard’s Mother: Oh, Mr. Bigshot with his Red Lobster.
(あら、レッドロブスターがお望みの大物気取りさんね。)TBBT Season2 Episode8 (The Lizard-Spock Expansion)
Olive Garden(オリーブガーデン)は、イタリア料理を中心に展開するアメリカ全土のカジュアルダイニングチェーンで、Red Lobster(レッドロブスター)はシーフードを中心に展開する同様のチェーンです。どちらも、ファストフード店より少し腰を落ち着けて食事ができる、いわゆるカジュアルダイニング(casual dining)と呼ばれる価格帯の店で、郊外のショッピングモール周辺やハイウェイ沿いなどに数多くの店舗を構え、家族連れが日常的に利用する定番の外食先として広く知られています。日本の感覚で言えば、街道沿いに数多く出店しているファミリーレストランのチェーン店に近い位置づけと考えると、イメージがつかみやすくなります。
I have a coupon from the paper. という一言からも分かるとおり、新聞に折り込まれたクーポン券を使って外食先を決めるという生活習慣が、こうしたチェーンレストランの利用と結びついていたことがうかがえます。newspaper coupon(新聞のクーポン)は、割引券や特典が印刷された紙片を新聞の折り込みから切り取って持参する仕組みで、家計を預かる立場の人がこうしたクーポンを活用しながら外食先を選ぶという場面は、アメリカのホームコメディでもたびたび描かれてきました。母親が息子の予定を確認する前に、電話越しに外食先を一方的に決めてしまう強引さも、この場面らしいところです。
「Mr. Bigshot with his Red Lobster」に見るチェーン店の位置づけ
ハワードの母は、レッドロブスターを希望する息子を Mr. Bigshot とからかいます。bigshot(大物気取りの人)は、実際にはさほどの身分でもない相手を「お偉いさん気取り」と皮肉る語で、with his Red Lobster と続けることで、「レッドロブスターごときで気取って」というニュアンスをこの一言に込めています。オリーブガーデンとレッドロブスターは、いずれも全国規模のカジュアルダイニングチェーンという点では共通しており、実際の価格帯や格式にどれほどの差があるかは一律には言えません。それでもこの場面では、値段そのものよりも、”母が薦める店”と”本人が食べたい店”という選択の対比自体が、からかいの種として描かれています。
このように、アメリカのホームコメディでは、外食先を巡る家族間の小さな言い合いが、日常の距離感を映すやり取りとして繰り返し登場します。実家の母親が成人した息子の外食先にまで口を出す構図自体、家族間の距離の近さをコメディとして誇張した描き方と言えます。ちなみに、このやり取りが交わされているのは、ハワードがステファニーに残している留守番電話の背後であり、恋人候補への夕食の誘いに、母親の口出しが割り込んでくるという構図そのものも、この場面のおかしさを支えています。チェーンレストランの名前とその位置づけを知っておくと、こうした場面の温度感がより具体的に伝わってきます。放送当時からアメリカ各地で見られたこうしたチェーン店の分布や、コスト意識の程度は地域や時代によっても異なるため、この場面をアメリカ全体に一律に当てはめすぎない見方も大切です。
まとめ|クーポンとチェーン店に見る、家族の外食文化
新聞のクーポンを手に外食先を決めるやり取りには、アメリカの家庭に根づいたチェーンレストラン文化が垣間見えます。オリーブガーデンとレッドロブスター、その名前とMr. Bigshotという一言だけでも、この一家の会話の温度が伝わってきます。
『ビッグバン★セオリー』の日常には、こうした生活文化が随所に息づいています。
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