海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン4 第6話に登場する、頼みごとを渋る相手をたとえ話で説得する言い方です。車の中で、昨夜のことを黙っていてほしいと頼むレナードに対し、シェルドンは「秘密は守れない」と突っぱねます。そこでレナードが繰り出すのが、相手の好きな世界観を借りたたとえ話です。
「You can if you try.」という、短い言葉でまず背中を押す一言から見ていきます。
「You can if you try.」ー短い後押しと、相手の世界観を借りたたとえ話
「秘密を守ってほしい」と頼まれたシェルドンは、開口一番「僕には無理だ」と返します。それに対するレナードのやりとりが、次の場面です。
Sheldon: You mean, you want me to keep a secret.
(つまり、僕に秘密を守ってほしいってことか。)Leonard: Yes.
(そうだよ。)Sheldon: You know I can’t keep a secret.
(僕が秘密を守れないのは知ってるだろう。)Leonard: You can if you try. Think about it this way, if I were Batman and you were Alfred, you’d keep that secret. Right?
(tryすればできるさ。こう考えてみてよ。僕がバットマンで君がアルフレッドだったら、その秘密は守るだろう?)TBBT Season4 Episode6 (The Irish Pub Formulation)
You can if you try. は、「無理だ」と決めつける相手に対して、「やってみればできる」と一言で押し返す表現です。理由を並べて説得するのではなく、まず短く言い切ることで、相手の思い込みそのものに揺さぶりをかけています。
その直後にレナードが使う Think about it this way も便利な言い回しです。話の見方を変えて捉え直してほしいときの前置きとして機能し、ここでは相手が親しんでいる世界観(コミックのヒーロー関係)を持ち出す合図になっています。バットマンとアルフレッドという、シェルドンが好んで語る主従関係に自分たちを重ね、その関係の中で結論に同意させようとする流れです。
相手が持ち出したたとえ話に、そのまま乗って切り返す
このたとえ話に対してシェルドンが返す一言も見どころです。
Sheldon: Well Alfred has secrets too.
(でもアルフレッドにだって秘密はあるさ。)Leonard: Like what?
(例えば?)Sheldon: Alfred knows that Barbara Gordon is Batgirl. Which I’ve now just told to Batman. See, I can’t keep a secret.
(アルフレッドはバーバラ・ゴードンがバットガールだと知っている。それを今、僕はバットマンに話してしまった。ほら、僕には秘密は守れない。)TBBT Season4 Episode6 (The Irish Pub Formulation)
Well, X has Y too. という切り返し方に注目です。シェルドンはレナードが持ち出したたとえ話そのものは否定せず、その枠組みに乗ったまま「アルフレッドにも秘密がある」と付け加えています。相手のたとえ話を土台ごと崩すのではなく、同じ土台の上で話を展開し直す切り返し方です。
そのうえで、具体例を明かした瞬間、話し相手に対して現に秘密を漏らしてしまうという構図が生まれています。たとえ話の中で自分の正しさを証明しようとした結果、たとえ話の外でも同じ失敗を繰り返してしまう、という一連の流れがこのやりとりの見どころです。
まとめ|たとえ話に乗せる説得と、その先の切り返し
「You can if you try.」の一言による後押し、相手の世界観を借りたたとえ話、そしてそのたとえ話の枠組みをそのまま使った切り返し。この一連の会話には、理屈で押し切るのではなく、相手の好むフレームの中で結論に導く説得の技術が詰まっています。誰かを説得したいとき、相手が親しんでいる話に乗せてみるという発想は、日常の会話でも応用できそうです。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、英語表現の型を見ていきましょう。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。


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