海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン11 第14話から、相手がいつになく親切で、かえって落ち着かないときの英語を取り上げます。元の部屋を作業場所として借りたシェルドンが、借り手として非の打ちどころなくふるまい、レナードの調子が狂っていきます。
困った人が急に模範的になったとき、その戸惑いをどう言葉にするのか。レナードの言い回しを、場面ごとに追っていきます。
「I’m really uncomfortable with ~」で落ち着かなさを打ち明ける
レナードとペニーの家の場面です。シェルドンは奥の元の自分の部屋で作業しています。レナードが切り出したのは、意外な悩みでした。
Leonard: Okay, I-I-I’m really uncomfortable with him back in that room.
(ねえ、ぼ、ぼ、僕、あいつがあの部屋に戻ってるのが本当に落ち着かないんだ。)Penny: Why? He hasn’t made a peep all day.
(なんで?一日中、物音ひとつ立ててないじゃない。)TBBT Season11 Episode14
I’m uncomfortable with ~ は「〜が落ち着かない、居心地が悪い」と、はっきりした不満ではない違和感を伝える言い方です。ペニーの not make a peep は「物音ひとつ立てない」で、否定の形で使われるのが一般的です。迷惑をかけていない相手に落ち着かないと言うのですから、ペニーが「なんで?」と返すのも自然な流れです。
レナードは、一緒に暮らしていた頃はずっと振り回されていたと説明します。それに続くやり取りがこちらです。
Penny: And now he’s not.
(で、今はそうじゃないのね。)Leonard: Exactly. D-Don’t look at me like that. It-it-it means he did it on purpose. It was a choice.
(そのとおり。そ、そんな目で見ないでよ。つ、つ、つまり、あいつはわざとやってたってことだ。選んでたんだよ。)TBBT Season11 Episode14
on purpose は「わざと」、It was a choice. は「本人の選択だった」と言い換えて念を押す一言です。迷惑をかけないこともできるのなら、これまでの迷惑はわざとだったことになる、という理屈が、レナードの落ち着かなさの正体として語られています。
この後レナードがシェルドンを呼ぶと、シェルドンは「うるさすぎたか?」と聞き返します。レナードが「完璧にしてるし、自分でも分かってるだろ」と答えると、シェルドンは「もっと気配りの足りない借り手になってほしいのか?」と重ねます。
Leonard: No. Yes. What…? Stop messing with me!
(いや。そうだ。何だって…?からかうのはやめてくれよ!)TBBT Season11 Episode14
Stop messing with me! は「からかわないで」「混乱させないで」という抗議です。No と Yes が続けて出てくるところに、自分でも何を望んでいるのか分からなくなった混乱が表れています。
「He’s being a dream」で戸惑いを人に説明する
別の場面で、レナードはシェルドンとエイミーの家を訪ねます。家を出てこずにはいられなかったと話すレナードに、エイミーは今度は彼が何をしたのかと尋ねます。
Leonard: Nothing. He’s being a dream. Don’t give me that look. That’s how Penny looked at me. I’m not crazy.
(何も。最高にいい子にしてるんだ。そんな目で見ないで。ペニーにもそういう目で見られた。僕はおかしくないよ。)TBBT Season11 Episode14
ここで使われている be being + 名詞・形容詞 は、その人の性格ではなく「今のふるまい」を言う形です。He’s a dream. なら「彼は理想的な人だ」という人物評ですが、He’s being a dream. は「今は理想的にふるまっている」となり、普段とは違うという含みが出ます。
Don’t give me that look. は「そんな目で見ないで」で、相手の表情からあきれや疑いを感じ取ったときの決まり文句です。先ほどのペニーの場面の Don’t look at me like that. と同じ働きをしています。レナードはさらに、こう続けます。
Leonard: I know how to deal with Sheldon being Sheldon, but Sheldon being a-a rational, thoughtful person? I’m clueless.
(いつもどおりのシェルドンなら扱い方は分かってる。でも、理性的で思いやりのあるシェルドン?お手上げだよ。)TBBT Season11 Episode14
Sheldon being Sheldon は「シェルドンがシェルドンらしくしていること」で、一緒に暮らしていた頃の手を焼かされる姿を指します。それを、理性的で思いやりのある姿と並べて対比しているのが分かります。I’m clueless. は「まったく見当がつかない、お手上げだ」と、対処法が分からないことを認める一言です。
エイミーから、シェルドンは自分の気持ちを考えて敬意を払おうとしていると聞くと、レナードは「僕にもそうしてるんだよ、the jerk(あいつめ)!」と返します。悪態の形をとりながら、文句の中身はほめ言葉という、この回らしいねじれが印象的です。
まとめ|戸惑いを言葉にする
今回は、I’m really uncomfortable with ~ で落ち着かなさを打ち明け、Stop messing with me! で混乱を訴え、He’s being a dream. や I’m clueless. で戸惑いを人に説明する流れを見てきました。普段と様子の違う相手への違和感も、こうした言い方があれば具体的に伝えられます。
親切にされるほど困ってしまうレナードの姿に、二人の長い付き合いが見えてきます。
同じ回のほかのコラムやフレーズ記事と読み比べると、シェルドンの変化を周りがどう受け止めたかがより鮮明になります。


コメント