海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
親しい友人のはずなのに、ふとしたきっかけで気まずい空気が生まれてしまったことを、誰かに打ち明けたくなる場面があります。一人で抱え込むには重すぎて、つい別の誰かに事情をこぼしてしまうこともあるでしょう。
そんな場面にぴったりの「have a falling out with someone」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン11第10話の後半、不機嫌なハワードがスチュアートに事情を明かすシーンから、一緒に見ていきましょう。
「have a falling out with someone」の意味とニュアンス
have a falling out with someone
意味:人と仲違いする、誰かと気まずい関係になる
have a falling out with someone は、友人や家族などの親しい間柄の人と、口論や誤解などをきっかけに関係が悪化することを表す口語表現です。fall out という動詞句には「(関係が)こじれる」という意味があり、それを名詞化した falling out で、仲違いという出来事・状態そのものを指します。
単に喧嘩をしたというより、しばらく気まずさが続くような関係の悪化を表すニュアンスがあり、長年の付き合いのある友人同士や家族間の不和を説明する場面でよく使われます。
have を伴うことで、仲違いが一つの出来事として話題に出された状態を表しており、現在進行中の喧嘩そのものというより、すでに関係がこじれてしまった事実を振り返って語るときに使われることが多い表現です。
【ここがポイント!】
- 「have a falling out with someone」の核は、関係が急に崩れて気まずくなること
- 一時的な喧嘩よりも、しばらく続く関係の悪化を指すニュアンス
- 友人・家族など、長く付き合いのある相手との不和を説明する場面で使われる
『ビッグバン★セオリー』S11E10のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
不機嫌なハワードにスチュアートが声をかけると、ハワードは問われるまま事情を打ち明けます。からかいすぎたという自覚がにじむその告白と、スチュアートの突き放した返しに注目です。普段は軽口をたたくスチュアートが聞き役に回る様子も、この場面の見どころの一つです。
Howard: I could ask you the same question.
(こっちも同じことを聞きたいね。)Stuart: Wow, this conversation got mean fast.
(うわ、この会話、急に意地悪になったな。)Howard: Sorry. I’m just in a bad mood.
(ごめん。ちょっと機嫌が悪いだけなんだ。)Stuart: Yeah? What’s going on?
(そうなの? 何があったんだ?)Howard: I had a falling out with Raj. He said I make fun of him too much and it’s wrecked his confidence.
(ラージと仲違いしたんだ。彼は、僕が彼をからかいすぎて自信を失わせたって言うんだよ。)Stuart: Please, confidence is like red blood cells– it’s nice if you got some, but you don’t need ‘em.
(頼むよ、自信なんて赤血球みたいなもんさ――あればいいけど、なくても困らないんだから。)The Big Bang Theory Season11 Episode10 (The Confidence Erosion)
シーン解説と心理考察
スチュアートに突っかかるハワードの態度には、自分自身の不機嫌さを持て余している様子が表れています。「この会話、急に意地悪になったな」と指摘されてすぐに謝る姿からも、本人なりの戸惑いがうかがえます。
問われて初めてハワードは「ラージと仲違いしたんだ」と事情を明かし、からかいすぎて自信を失わせたと非難されたことへの動揺を口にします。普段は自信家として振る舞うハワードが、友人からの言葉をそれだけ重く受け止めていたことが、この短い告白から伝わってきます。
スチュアートの「自信なんて赤血球みたいなもんさ」という返しは、深刻になりすぎたハワードをあえて茶化しながらも、結果的に気持ちを軽くしてあげる独特の距離感を見せています。二人のこのやり取りは、E10で描かれる範囲の中でハワードが抱える戸惑いを映す場面として見どころです。
相談相手として選ばれたのがラージ本人ではなくスチュアートだった点にも、気まずさの渦中にいる当事者には話しにくい事情があることがうかがえます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
have a falling out with someone を覚えるコツは、それまで並んで歩いていた二人が、ある出来事をきっかけに別の方向へ落ちるように離れていく様子を思い浮かべることです。fall という単語が持つ「崩れる・落ちる」というイメージが、関係の急な悪化を表しています。
ハワードが問われるまで黙っていたように、仲違いは本人にとっても重く、すぐには言葉にしづらいものでもあります。関係が崩れていく様子とセットで覚えておくと、友人や家族の不和を説明する場面で使いやすくなります。並んで歩く二人のうち一方が足を止めてしまうような、静かな崩れ方を思い浮かべると、喧嘩そのものよりも落ち着いた響きのこの表現が覚えやすくなります。
例文で覚える「have a falling out with someone」
長年の友人関係から仕事の場面まで、have a falling out with someone を3つの例文で確認していきましょう。すでに時間が経った出来事を振り返って語る場面で使いやすい表現です。
They had a falling out over money years ago and haven’t spoken since.
(彼らは何年も前にお金のことで仲違いして、それ以来話していない)
長年の友人関係の断絶を語る日常会話の場面です。over money を添えることで、何が原因だったのかが明確になります。
I don’t want to have a falling out with my sister over something this small.
(こんな小さなことで姉と仲違いしたくない)
家族との衝突を避けたい気持ちを語る場面です。something this small を添えることで、原因の小ささと関係の大切さの対比が伝わります。
A: Why did you stop working with him?
B: We had a falling out last year.
(A:なぜ彼との仕事をやめたの?)
(B:去年、仲違いしたんだ。)
仕事上の関係の終わりを説明するビジネスの場面です。last year を添えることで、すでに時間が経った出来事として距離を置いて語っている様子が伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
fall out with someone
(誰かと仲違いする)
have a falling out with someone は名詞化した「仲違いという出来事・状態」を指しますが、fall out with someone は動詞としてそのプロセス自体を表します。
have a falling out over something
(何かをめぐって仲違いする)
with someone が「誰と」を示すのに対し、over を使うと「何が原因で」仲違いしたのかを示せます。
be on the outs with someone
(誰かとの関係がこじれている)
have a falling out with someone は仲違いという出来事そのものを指しますが、be on the outs with someone はその結果として続く気まずい状態を表します。
Note|fall out / fall apart / fall through に見る「fall」系表現の広がり
fall という動詞は、物理的に「落ちる」という意味だけでなく、関係や計画の崩壊を表す比喩として英語の中で広く使われています。
have a falling out with someone の fall out もその一例ですが、似た構造を持つ表現は他にもあります。fall apart は、関係や物事が「ばらばらに崩れる」様子を表し、人間関係だけでなく組織や計画にも使われる表現です。fall through は、進んでいた計画や約束が「実現せずに流れてしまう」ことを指し、人間関係の話というよりも予定や取引の不成立に使われることが多い表現です。これらはいずれも、順調に進んでいたものが途中で崩れるという共通のイメージを fall という一語で共有しています。
have a falling out with someone を覚えるときに、この fall 系表現の広がりを一緒に押さえておくと、関係の崩壊を表す fall out だけでなく、計画の崩壊を表す fall apart や fall through にも自然に意味の橋をかけられるようになります。対象が人間関係なのか、組織や計画なのかによって、同じ fall の比喩がどこまで広がるかを整理しておくと、初めて見る fall 系の表現に出会ったときも意味を推測しやすくなります。
fall という一語が持つ「崩れる」イメージを軸に、関連する表現も合わせて整理しておくと、関係や計画の変化を語る場面で言葉の選択肢が広がります。
まとめ|問われて初めて明かされる本音
have a falling out with someone は、親しい間柄の相手と、口論や誤解をきっかけに関係が悪化することを表す表現です。fall という単語の「崩れる」イメージが、関係の急な変化を映し出しています。
問われるまで事情を明かさなかったハワードの姿のように、仲違いは本人にとって簡単には言葉にしづらいものでもあります。友人や家族との気まずさを誰かに相談するときには、この一言が状況を端的に伝える助けになるでしょう。誰かに打ち明けることで、抱え込んでいた気持ちが少し軽くなることもあります。
親しい相手との関係の揺れを説明する一言として、表現の幅を広げるために加えてみてください。


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