海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
友人のピンチを聞いて、いてもたってもいられず、大急ぎで駆けつけた——そんな経験、ありませんか。
そんな勢いを表す「high-tail it」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン4第16話の後半、失恋したと思い込んだペニーを慰めようと、エイミーが勢いよく駆けつけてくるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「high-tail it」の意味とニュアンス
high-tail it
意味:大急ぎで駆けつける、すっ飛んでいく、一目散に向かう
驚いた動物が尻尾を高く上げて一目散に逃げる様子に由来するとされる表現です。「全速力でその場へ向かう」あるいは「全速力でその場から去る」ことを表し、勢いとスピード感を伴うカジュアルな言い回しです。
向かう先へ急ぐ場合と、その場から急いで離れる場合の両方に使えるのが特徴です。it を伴って high-tail it という決まった形で使い、後ろに to + 場所、over to + 場所、out of + 場所などを続けます。「ゆっくり移動する」のではなく、「とにかく急いで体を動かす」という躍動感がこもるため、緊急の知らせを聞いて駆けつける場面や、慌ててその場を立ち去る場面によく合います。
【ここがポイント!】
- 驚いた動物が尻尾を高く上げて逃げる様子に由来するとされる勢いの表現
- 「急いで向かう」「急いで去る」どちらにも使える躍動感が魅力
- high-tail it の形で固定、後ろに to / over to / out of などを続ける
『ビッグバン★セオリー』S04E16のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。レナードがプリヤと付き合い始めたと聞いたエイミーは、ペニーが傷ついていると思い込みます。親友を慰めなければと、勢いよくペニーの部屋に飛び込んでくるのがこの場面です。
Penny: Okay. Why?
(そう。どうして来たの?)Amy: Sheldon told me about Leonard dating Rajesh’s sister. So I high-tailed it over here to pick up the pieces of your broken heart.
(シェルドンから、レナードがラージの妹と付き合ってるって聞いたの。だから、傷ついたあなたの心を立て直しに、すっ飛んで来たのよ。)The Big Bang Theory Season4 Episode16 (The Cohabitation Formulation)
シーン解説と心理考察
友情を学び始めたばかりのエイミーが、「親友のピンチには駆けつけるもの」という型を、やや過剰なほど忠実に実行している場面です。”I high-tailed it over here” という勢いのある言い方に、いてもたってもいられず飛んできた、というエイミーの前のめりな善意が表れています。
おかしみが生まれるのは、当のペニーがまったく落ち込んでおらず、平然としている点です。慰めようと意気込んで駆けつけたエイミーの空回りが、high-tail it という躍動感のある表現によって際立っています。友情というものを頭で理解し、教科書どおりに行動しようとするエイミーらしさが、この一言ににじむ場面です。勢いよく駆けてきた姿と、肩透かしを食らう展開のギャップが、会話の温度をやわらかく見せています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
high-tail it は、驚いた鹿やウサギが、尻尾(tail)をピンと高く(high)上げて、全速力で走り去る姿を思い浮かべると覚えやすい表現です。「尻尾を高く立てて一目散」——その動物の逃げ足の絵が、そのまま「急いで移動する」の意味になります。
劇中のエイミーが、親友のピンチと聞いてペニーの部屋へ飛び込んできた様子も、まさに尻尾を立てて駆けてくる小動物のようでした。彼女の勢い余った登場を思い出しながら、ピンと立った尻尾のイメージを重ねると、high-tail it という少し変わった形の言い回しも、絵として記憶に残ります。
例文で覚える「high-tail it」
high-tail it は、後ろに向かう先や去る場所を続けて使います。3つの例文で、「駆けつける」と「逃げ出す」両方の使い方を見てみましょう。
As soon as I heard the news, I high-tailed it to the hospital.
(その知らせを聞くやいなや、病院へすっ飛んで行った。)
緊急の知らせを受けて駆けつける場面です。high-tail it to + 場所 で「〜へ急いで向かう」の典型形になります。
When the alarm went off, everyone high-tailed it out of the building.
(警報が鳴ると、全員が建物から一目散に逃げ出した。)
その場から急いで去る使い方です。out of + 場所 を続けると、「〜から慌てて離れる」方向に意味が向きます。
A: You’re back already? I thought you were at the party.
B: I was, but it got so boring I high-tailed it home.
(A:もう帰ってきたの? パーティに行ってたんじゃ?)
(B:行ったよ。でも退屈すぎて、急いで帰ってきた。)
つまらない場から早々に引き上げた、という会話です。home は前置詞なしで続く点に注意すると、より自然に使えます。
あわせて覚えたい関連表現
rush over
(急いで駆けつける)
中立的で、フォーマルな場でも使える表現です。high-tail it のような砕けた勢いや躍動感の含みは薄く、落ち着いた場面でも使えます。
dash off
(急いで飛び出す)
「その場を慌てて去る」方向に焦点が寄る表現です。high-tail it が向かう・去る両方に使えるのに対し、dash off は立ち去る動きを表すことが多くなります。
make a run for it
(一目散に逃げ出す、走って向かう)
「逃走」のニュアンスが強く、危機や困った状況から脱する場面で使われやすい表現です。high-tail it より切迫した「逃げ」の色が濃く出ます。
Note|動物の尻尾に由来する high-tail
high-tail it という少し変わった言い回しは、いったいどこから来たのでしょうか。その由来を知ると、この表現が持つ躍動感の正体が見えてきます。
high-tail it は、鹿やウサギ、馬といった動物が、危険を察知すると尻尾を高く上げて一目散に逃げ出す習性に由来するとされています。19世紀のアメリカ西部の口語から広まったと説明されることが多く、馬や牛を追う牧畜文化のなかで生まれた表現とも語られます。広大な土地で、驚いた家畜が尻尾を立てて駆け去っていく——その光景が、「全速力でその場を離れる、あるいは向かう」という人間の行動に重ねられたわけです。英語には、こうした動物や開拓時代の生活に根ざした口語が数多く残っており、buck up(元気を出せ)や hold your horses(落ち着け)なども同じ系譜の表現として挙げられます。
劇中のエイミーが「すっ飛んで来た」と語るとき、この表現の奥には、尻尾を立てて駆ける動物の姿が隠れています。それを知っておくと、high-tail it が単なる「急ぐ」以上に、勢いと躍動感をまとった言い方だと実感できます。
言葉の由来をたどると、開拓時代の大地の風景がよみがえってきます。
まとめ|エイミーの空回りから学ぶ「すっ飛んでいく」の一言
high-tail it は、尻尾を高く立てて駆ける動物の姿に由来するとされる、勢いとスピード感のこもった表現でした。向かうにも去るにも使える躍動感が、この言い方の持ち味です。
この表現を知っておくと、誰かのもとへ急いで駆けつける場面も、慌ててその場を離れる場面も、生き生きと描けるようになります。rush over や make a run for it との違いも意識しながら、表現の幅を広げてみてください。
親友のピンチと聞いて尻尾を立てた小動物のように飛び込んできた、エイミーの愛すべき空回りを思い出しながら、自分が使ってみたい場面を思い浮かべてみてください。


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