海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
はっきり言葉にはしないけれど、それとなく気持ちをほのめかされていると感じた経験はありませんか。
そんな場面にぴったりの「hint around」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン12第11話の中盤、同棲の話をそれとなくほのめかされたというスチュアートに、バーナデットとラージが反応する場面から、一緒に見ていきましょう。
「hint around」の意味とニュアンス
hint around
意味:それとなくほのめかす、遠回しに示唆する
hint aroundは、直接的な言葉を避けながら遠回しに本題を伝えようとする様子を表す口語表現です。hintは「ヒントを与える、ほのめかす」という動詞ですが、そこにaroundが加わることで「本題の周りをぐるぐる回る」ようなイメージが加わり、はっきり言い切らずに相手の反応をうかがう態度がより強く表れます。
相手が自分から気づいてくれることを期待して、あえて核心には触れない話し方をするときに使われる表現で、婚約や結婚、同居など、いきなり切り出しにくい話題を少しずつ匂わせるような場面でよく登場します。似た形のhint atがピンポイントで対象を示すのに対し、hint aroundは本題そのものを避けながら周辺から遠回しに示唆する分、相手にとってはより察しにくい、ぼんやりとした伝え方になりやすい点が特徴です。何度も繰り返し話題の周りをうろつくようなニュアンスが含まれるため、一度きりの示唆よりも、じわじわと相手に気づかせようとする継続的な働きかけを表すことが多い表現でもあります。
【ここがポイント!】
- 「hint around」の核は、本題の周りを回るように遠回しに伝えるイメージ
- 相手が自分で察してくれることを期待する、控えめな伝え方
- 言い出しにくい話題を少しずつ匂わせる場面で使うのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S12E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
デニースから同棲を持ちかけられたらしいスチュアートに、バーナデットが驚いた様子で事情を尋ねる場面です。スチュアートは余裕ありげに答えますが、その場に居合わせたラージがすかさず本当の様子を暴露する流れに注目です。
Bernadette: Really? She asked you to move in with her?
(ほんとに?彼女、同棲しようって誘ってきたの?)Stuart: Yeah, she was hinting around about it, but I think I handled it pretty well.
(ああ、それとなくほのめかされてたんだけど、僕はうまく対応できたと思うよ。)Raj: “Pretty well”? You ran out of there so fast, if it was a cartoon, there would have been a Stuart-shaped hole in the wall.
(『うまく』だって?あんな勢いで逃げ出したら、アニメだったら壁にスチュアートの形の穴が空いてたよ。)Bernadette: Was she mad?
(彼女、怒ってた?)The Big Bang Theory Season12 Episode11 (The Paintball Scattering)
シーン解説と心理考察
バーナデットの「ほんとに?彼女、同棲しようって誘ってきたの?」という問いかけに、スチュアートは「それとなくほのめかされてたんだけど、僕はうまく対応できたと思うよ」と、どこか誇らしげに答えます。自分の振る舞いを前向きな言葉で言い換えようとするあたりに、彼らしい自己弁護の癖がのぞきます。
ところが直後にラージが「あんな勢いで逃げ出したら、アニメだったら壁にスチュアートの形の穴が空いてた」と容赦なく茶化し、実際には対応どころかその場から逃げ出しただけだったことを暴露してしまいます。取り繕おうとした直後に友人からすぐさま真実を突きつけられるという展開には、スチュアートの根っこにある自信のなさと、遠慮のない仲間同士の距離の近さの両方が表れています。バーナデットが続けて「怒ってた?」と尋ねる様子からも、この話題への興味が収まっていない空気が伝わってきます。表向きは軽い雑談のようでいて、実は誰もがスチュアートの恋愛模様を気にかけているという、仲間内らしい温度感がこの短いやり取りの端々ににじんでいます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
本題(中心)には踏み込まず、その周り(around)をぐるぐる回りながら、ヒント(hint)だけをぽつぽつと落としていく様子を思い浮かべてみましょう。中心にはあえて踏み込まず、周辺から少しずつ気づかせようとする態度が、aroundという単語にそのまま表れています。
デニースがスチュアートに同棲の話をそれとなくほのめかしたという今回のシーンも、はっきり切り出すのではなく、相手の反応を見ながら周りから少しずつ本題に近づいていく様子そのものでした。核心を避けて回り道をするイメージで覚えておくと、似たような場面で自然に言葉が出てくるようになります。
例文で覚える「hint around」
言い出しにくい話題を遠回しに伝える場面で使われることが多いhint aroundを、3つの例文で確認していきましょう。
She kept hinting around about wanting a promotion, but never asked directly.
(彼女は昇進をほのめかし続けたが、直接頼むことはなかった)
職場でのやんわりとした自己アピールを語るビジネスシーンです。keptを添えることで、一度きりではなく繰り返しほのめかしていた継続性が伝わります。
My mom hints around about grandkids every time we talk.
(母は話すたびに孫についてそれとなくほのめかす)
親からのプレッシャーを笑い話として語る日常会話です。every time we talkという頻度の表現が、繰り返し感を強めています。
A: Did he ask you out?
B: Not exactly, he was just hinting around.
(A:彼、デートに誘ってきた?)
(B:はっきりとは。ただそれとなくほのめかしてただけ。)
恋愛の駆け引きを友人に話す会話です。Not exactlyという返し方が、はっきりしない状況をやわらかく伝えています。
あわせて覚えたい関連表現
hint at something
(何かをほのめかす)
hint aroundが本題を避けながら周辺から遠回しに示唆するのに対し、hint atは特定の対象をピンポイントで示唆する表現です。
beat around the bush
(遠回しに言う、要点を避ける)
hint aroundがヒントを出しつつ本題を避けるのに対し、beat around the bushは本題そのものに触れずに話し続けるニュアンスがより強く出る表現です。
drop a hint
(ヒントを一つ落とす)
hint aroundが継続的に遠回しに示唆し続ける様子を表すのに対し、drop a hintは一回きりの行為を指す表現です。
Note|hint at・hint around・beat around the bush、遠回しな伝え方の使い分け
遠回しに何かを伝える英語表現には、hint around以外にもいくつかの言い方があります。
hint atは対象がはっきりしていて、何について匂わせているのかが比較的分かりやすい表現です。それに対してbeat around the bushは、本題そのものへの言及をとことん避け続ける態度を表し、聞いている側からすると「結局何が言いたいのか分からない」ともどかしく感じられやすい言い方になります。hint aroundはちょうどこの中間に位置し、ヒントは出しつつも直接的な言葉は使わないという、程よい遠回しさを持った表現です。話し手の遠慮がちな性格や、相手の反応をうかがいながら少しずつ本音に近づいていく会話の呼吸が、この一語には詰まっています。
今回のシーンでデニースがスチュアートに使ったのもこのhint aroundにあたる遠回しさで、直接「一緒に住もう」とは言わずに、それとなく気持ちを匂わせていたことがうかがえます。3つの表現を並べてみると、遠回しさの度合いにも段階があることが見えてきます。どの表現を選ぶかによって、相手にどこまで察してほしいかという期待の強さまで変わってくる点が興味深いところです。
はっきり言わない伝え方にも、その分だけ細やかな段階があるのですね。
まとめ|本題の周りから少しずつ近づく伝え方
hint aroundは、本題そのものには触れずに、その周りから少しずつ気づかせようとする遠回しな伝え方を表す表現です。
同棲や結婚のように言い出しにくい話題を、相手の反応を見ながら匂わせる場面で使える一言として、会話に自然と馴染みます。
自分では「うまく対応できた」と思っていたスチュアートの様子をラージが即座に暴露するやり取りには、遠慮のない仲間同士だからこそ成り立つ軽妙な空気が漂っていました。遠回しな伝え方の機微を、表現の引き出しに加えてみてください。


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