海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
待ち合わせの相手がなかなか来なくて、ようやく姿を見せた瞬間に「やっとね!」と、安堵と軽い文句が混ざった一言を口にした経験はありませんか。
そんなときにぴったりの「it’s about time」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン3第17話の冒頭、空腹で食事を待っていたペニーが、遅れて帰ってきた男たちに思わずこぼすシーンから、一緒に見ていきましょう。
「it’s about time」の意味とニュアンス
it’s about time
意味:やっとだ、いい加減に〜してほしい
待ち望んでいた物事がついに実現したときに使う表現です。日本語の「やっと」「ようやく」に近いのですが、ただ実現を喜ぶだけでなく、「遅すぎ」「待ちくたびれた」という軽い非難やいらだちが混ざるところに特徴があります。
この about は「〜について」ではなく、「およそ・付近」を指しています。時刻そのものを言うのではなく、「そろそろその頃合いだ」という時間の幅をとらえる感覚から、「待った末のようやく」という気持ちが生まれます。It’s about time you got here.(やっと来たね)のように後ろに節を続けると、誰の・どんな行動を待っていたのかをはっきり示せます。
【ここがポイント!】
- 核は「待ち望んだ物事がついに起きた」という安堵の一言
- 「やっと」の喜びに「遅すぎ」という軽い非難がにじむのが持ち味
- 口調次第で温度が変わるので、相手との距離感を見て使うのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S03E17のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
中華料理を買いに出たはずのレナードたちの帰りが遅く、ペニーは部屋で空腹を抱えて待っていました。ようやく聞こえた物音に、待ちかねた気持ちがそのまま声になって飛び出します。
Penny: Oh, it’s about time, I’m starving.
(ああ、やっとね。お腹ぺこぺこなんだから)Leonard: Uh, well, we didn’t actually get Chinese food.
(えっと、実は中華は買ってこなかったんだ)The Big Bang Theory Season3 Episode17(The Precious Fragmentation)
シーン解説と心理考察
ペニーの it’s about time には、待たされた末の安堵と「遅すぎ」という軽い責めが同居しています。長く待った相手がやっと現れた瞬間の、張りつめていた気持ちがゆるむ感覚がにじむ場面です。ところが直後に告げられるのは「中華は買ってこなかった」という肩透かしの一言。ようやく報われると思った期待が、すぐにくつがえされる落差がこのやり取りの可笑しさを生んでいます。親しい間柄だからこそ口に出せる、遠慮のない催促の温度が伝わってきます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
腕時計を何度もちらちら見ながら「まだかな」とそわそわ待っている自分を思い描いてみてください。針がじりじり進み、ようやく相手が現れた瞬間に、指で時計をさして「ほら、もう『その頃合い』になっちゃったよ」とつぶやく——その動きが it’s about time の感覚そのものです。ペニーが空腹でドアを見つめ続け、やっと帰ってきた瞬間に放つ一言と重ねれば、「待たされた末のようやく」という気持ちごと体で覚えられます。
例文で覚える「it’s about time」
待った末の「ようやく」を表すこのフレーズは、安堵と軽い非難の両方を運べます。場面を変えて3つ見てみましょう。
It’s about time they fixed that broken elevator.
(あの壊れたエレベーター、やっと直してくれたか)
長く放置されていた問題がようやく解決した場面です。「ずっと待たされた」という含みが自然に出ます。
After three delays, it’s about time the project got approved.
(3度の延期の末、プロジェクトがやっと承認された)
ビジネスで長引いた案件がついに前へ進んだ場面で使えます。delays(延期)と並べることで「待たされ感」が際立ちます。
A: Dinner’s ready.
B: Well, it’s about time! I’m starving.
(A:夕飯できたよ)
(B:やれやれ、やっとか! お腹ぺこぺこだよ)
待ちわびたものが来たときの反応として単独でも使えます。ペニーのセリフとほぼ同じ、くだけた家庭内の温度感です。
あわせて覚えたい関連表現
finally
(ついに、やっと)
「ついに実現した」という事実をまっすぐ述べる語です。it’s about time のような遅さへの非難はほとんど含まず、純粋な達成感寄りになります。
at last
(ようやく)
待ち望んだものが叶った安堵を表します。ポジティブな響きが強く、いらだちの成分は薄いところが it’s about time との違いです。
high time
(とっくにすべき頃合い)
It’s high time you did 〜 の形で「もうとっくにやっているべきだ」と強めに促します。仮定法過去を伴う点と、非難の度合いがより強い点が異なります。
Note|about が運ぶ「おおよその頃合い」という時間感覚
it’s about time の about を、なんとなく「〜について」と思っていると、この表現の手ざわりが少し見えにくくなります。
about には「〜について」のほかに「およそ・付近・あたり」という意味があります。about ten o’clock(10時頃)や about here(このあたり)のように、ぴったり一点ではなく幅をもって何かを指す働きです。it’s about time の about もこちらの系統で、「ちょうどこの時刻だ」ではなく「そろそろその頃合いだ」という時間の幅をさしているとされます。待っているあいだ、人は時間を点ではなく「まだかな、そろそろかな」という幅で感じています。その「そろそろ」の感覚がいよいよ満ちたとき、it’s about time という一言になる、という流れです。時刻を点で示す at ではなく、幅を示す about が選ばれているところに、待つ気持ちの時間感覚がよく表れています。
この成り立ちを知っておくと、it’s about time が単なる「やっと」ではなく、「待ち続けた時間の幅がついに満ちた」という含みを持つことが腑に落ちます。
待つ時間の長さが、そのまま一言の重みになる表現です。
まとめ|ペニーの催促から学ぶ「やっと」の温度
it’s about time は、待ち望んだ物事がついに起きたときの「ようやく」を、安堵と軽い非難をひとまとめにして伝える一言です。
finally や at last が事実や安堵を素直に述べるのに対し、このフレーズは「遅すぎ」という気持ちまで一緒に運べます。だからこそ、遅れて来た相手への軽い催促や、長く待った物事の実現に、ぴったりはまります。
待たされた末の正直な気持ちをやわらかく伝える一言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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