海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
ちょっとしたきっかけのつもりが、気づけば思いもよらない結果になっていて、経緯を全部説明するのも面倒で「まあ、いろいろあって」とまとめてしまった——そんな経験はありませんか。
そんなときに便利な「one thing led to another」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン2第5話の後半、運転シミュレーターで大惨事を起こしたシェルドンが、その経緯を淡々と語るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「one thing led to another」の意味とニュアンス
one thing led to another
意味:なんやかんやで、そうこうするうちに、成り行きで
出来事が次々と連鎖して、気づけばこういう結果になっていた——そんなふうに、途中の経過をあえて省略するときに使う定型句です。直訳は「ひとつのことが別のことを引き起こした」で、その連鎖の中身を細かく語らずに、結果だけへ話を飛ばす働きをします。
細かい経緯を説明したくない、あるいはしきれないときに重宝します。恋愛のなれそめを「なんやかんやで付き合うことになった」とぼかしたり、長引いた事情を「気づけばこうなっていた」と軽く流したりと、含みを持たせる言い回しです。led は動詞 lead(導く)の過去形で、過去の出来事を振り返る形で使われます。and one thing led to another と、文の途中に差し込むのが典型的なパターンです。
【ここがポイント!】
- 出来事の連鎖をひとまとめにして、結果だけへ話を飛ばす定型句
- 細かい経緯を「あえて言わない」ぼかしの効果を持つ一言
- led は lead の過去形、過去を振り返る形で使うのが基本
『ビッグバン★セオリー』S02E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ハワードが用意した運転シミュレーターで、シェルドンは画面の中で次々と事故を起こし、ついにショッピングモールの2階に「到達」してしまいます。「どうやって2階に?」と尋ねるレナードに、シェルドンは経緯を並べたあと、最後をこの一言で締めくくります。
Leonard: How did you manage to get on the second floor of the Glendale Galleria?
(どうやってグレンデール・ガレリアの2階に行き着いたんだ?)Sheldon: I don’t know. I was on the Pasadena freeway, I missed my exit, flew off the overpass, and one thing led to another.
(わからない。パサデナ高速を走ってて、出口を逃して、陸橋から飛び出して、なんやかんやでこうなった。)The Big Bang Theory Season2 Episode5 (The Euclid Alternative)
シーン解説と心理考察
one thing led to another は本来、気まずい経緯や込み入った事情をやんわりぼかす表現です。それをシェルドンは、シミュレーター上の大惨事という、ぼかす必要のない出来事に大真面目に当てはめています。この生真面目な誤用が、シーンの可笑しさを生んでいます。
「出口を逃して、陸橋から飛び出して」と具体的に並べたあとに、急に「なんやかんやで」と説明を放棄する落差も見どころです。本人はいたって冷静に経緯を報告しているつもりなのに、結論が「モールの2階」という不条理に着地する——そのギャップが、淡々とした口調と相まって笑いを際立たせています。経緯をぼかすフレーズの機能が、ここでは笑いの装置として働いています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
ドミノ倒しを思い浮かべてみましょう。最初の1枚(one thing)を倒すと、次の駒、また次の駒(another)へと連鎖が走り、気づけば全部倒れている。途中の1枚1枚を目で追わなくても、「最初のきっかけ」と「倒れきった結果」だけが記憶に残ります。
シェルドンが「出口を逃して、陸橋から飛び出して、なんやかんやで2階」と経緯を一気に畳んでいく様子は、まさにこのドミノの連鎖です。途中をすっ飛ばして結果へジャンプする感覚を、倒れていく駒の列と一緒に思い描くと、「なんやかんやで」というぼかしのニュアンスが体に入ります。
例文で覚える「one thing led to another」
途中の経緯を省いて、きっかけと結果だけをつなぐ——そんな使い方を意識しながら見てみましょう。
We started chatting at the party, and one thing led to another, and now we’re dating.
(パーティーで話し始めて、なんやかんやで、今は付き合ってるんだ。)
恋愛のなれそめを軽く話す場面の定番です。細かい経緯をぼかしつつ、結果だけをさらりと伝えています。
The meeting was meant to be short, but one thing led to another and it ran for three hours.
(短い会議のはずが、なんやかんやで3時間に及んだ。)
仕事で予定が長引いた事情を説明する場面で使えます。「気づけばこうなっていた」という成り行きを、一言でまとめられます。
A: I thought you were just going to repaint one wall.
B: I was! But one thing led to another, and we ended up renovating the whole room.
(A:壁を一面塗り直すだけのはずじゃなかった?)
(B:そのつもりだったんだよ!でもなんやかんやで、結局部屋ごとリフォームすることになって。)
予定が思わぬ方向へ膨らんだ顛末を語る会話です。途中の流れを省きつつ、「気づけば大事に」というオチを軽く伝えています。
あわせて覚えたい関連表現
before I knew it
(気づかないうちに)
時間が早く過ぎた、いつのまにかそうなっていた、という点に重心がある表現です。出来事の連鎖を示す one thing led to another とは、ぼかす対象が少し違います。
somehow
(どういうわけか)
理由が分からないことを一語で表します。経緯の連鎖を示す one thing led to another に比べると、ぼかし方がより大雑把です。
it just sort of happened
(なんとなくそうなった)
意図せず起きたことをぼかす口語です。one thing led to another は「段階を踏んで」というプロセス感があるぶん、説明としてはもう少し具体的になります。
Note|lead の過去形 led — スペルの落とし穴
one thing led to another を書こうとして、led の綴りで一瞬手が止まったことはないでしょうか。実はここ、多くの学習者がつまずくポイントです。
動詞 lead(導く)の過去形は led と書きます。ところが、read(読む)が過去形でも read と綴りを変えないため、その感覚を引きずって lead と書いてしまう間違いが起きやすいのです。さらにややこしいのが、led と発音が同じ「レッド」になる単語に、金属の lead(鉛)があること。綴りは lead なのに読みは「レッド」というこの単語の存在が、「導く」の過去形も lead でいいのでは、という混乱を後押しします。整理すると、現在形 lead(リード/導く)→ 過去形 led(レッド)、これに対して名詞 lead(レッド/鉛)は別語、という三つ巴の関係です。
このフレーズは過去の出来事を振り返るのが基本なので、登場するのはほぼ必ず led の形です。「ひとつのことが別のことへと導いた」という連鎖のイメージと、過去形 led の綴りをセットで覚えてしまうと、書くときに迷わなくなります。
導いたのは led、鉛は lead。この一対で覚えておくと安心です。
まとめ|「なんやかんやで」を英語で言えるように
one thing led to another は、出来事の連鎖をひとまとめにして、途中をぼかしながら結果へ話を運ぶ定型句です。「なんやかんやで」「気づけばこうなっていた」という、日本語でもよく使うあの感覚を、そのまま英語に乗せられます。
経緯を全部語るのは面倒だけれど、結果だけは伝えたい——そんな場面で、この一言があると会話が軽やかになります。モールの2階という不条理な結末すら淡々とまとめてみせたシェルドンのように、込み入った顛末をひと息でぼかせる便利な表現として、表現の引き出しに加えてみてください。


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