海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
趣味のライブや発表の準備をしているとき、最初に何を持ってくるかで仲間とあれこれ相談した経験が、誰にでもあるはずです。最初の一曲、最初の一言が決まると、そのあとの流れもぐっと組み立てやすくなります。
そんな相談にぴったりの「open with」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン11第13話の前半、趣味のバンドのライブに向けてラージとハワードがセットリストの出だしを相談するシーンから、一緒に見ていきましょう。
「open with」の意味とニュアンス
open with
意味:~で始める、~を出だしにする
open with + 名詞で「(ライブ・番組・本などを)ある内容・曲・話から始める」という、構成上の出だしを表す口語表現です。show や performance、book など、始まりのある物事全般に使われます。
openはもともと「開く」という物理的な動作を表す語ですが、with とつながることで「何を使って幕を開けるか」という比喩的な意味に転じています。ライブのオープニング曲、本の冒頭の一文、会議の最初の話題など、始まり方そのものを話題にするときに自然と出てくる表現です。
会議や発表の場でも “Let’s open with a quick update.” のように使われ、プレゼンテーションの出だしを相談する際の便利な言い回しとして定着しています。何かを「始める」場面であれば、ジャンルを問わず広く使える表現だと考えておくと、使い所がイメージしやすくなります。
【ここがポイント!】
- 「open with」の核は、物事をどの内容から始めるかという出だしの選択
- ライブ・本・会議など、始まりのある物事全般に幅広く使える表現
- “Let’s open with …” の形で、進行の提案としてそのまま使える
『ビッグバン★セオリー』S11E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
趣味のバンドで活動するラージとハワードが、ライブの出だしをどの曲にするか話し合います。二人で候補曲を出し合いながら盛り上がっていく先に、思いがけない一言が飛び込んでくる場面です。
Raj: Hey, uh, what do you think we should open our show with? Uh, “Thor and Doctor Jones” or “Let’s Get Astrophysical”?
(ねえ、ライブは何で始めるのがいいと思う? 「ソーとドクター・ジョーンズ」か「レッツ・ゲット・アストロフィジカル」かな?)Howard: I don’t know. I think we should start with something that gets them up on their feet. Maybe “Sherlock Around the Clock.”
(どうかな。お客さんが立ち上がるような曲で始めたほうがいいと思う。「シャーロック・アラウンド・ザ・クロック」とかどうだろう。)Raj: Great, yeah. Uh, let’s give it a try.
(いいね、そうしよう。やってみようか。)Bernadette: Halley’s napping! Keep it down!
(ハレーがお昼寝してるの! 音量を抑えて!)The Big Bang Theory Season11 Episode13 (The Solo Oscillation)
シーン解説と心理考察
候補曲を挙げ合うラージとハワードのやり取りには、趣味のバンド活動に本気で取り組む二人の実直さが表れています。「お客さんが立ち上がるような曲」という条件を添えてハワードが別の候補を出す様子からは、ただ楽しむだけでなく、ライブの進行そのものを大事にしている姿勢がうかがえます。
盛り上がって演奏を試そうとした瞬間、ベビーモニター越しにバーナデットの「ハレーがお昼寝してるの! 音量を抑えて!」という一声が飛びます。音楽への熱意と、育児中の家庭の現実が鉢合わせする瞬間であり、父親になったハワードの生活の変化がさりげなく映し出されています。
趣味の時間に没頭しかけた直後に引き戻される、この落差のテンポの良さが見どころです。ベビーモニターという小道具一つで、場面の空気が一瞬で切り替わる様子が伝わってきます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
open with を覚えるコツは、舞台の幕がふわりと開く瞬間に、最初の一音をそっと置くイメージを持つことです。withのあとに続く言葉が、その場を開くための最初の一手だと考えると、何かを始める場面での選び方というニュアンスがつかみやすくなります。
ラージとハワードのセットリスト相談も、まさに「何で幕を開けるか」を二人で選んでいる場面でした。候補曲を比べながら出だしを決める、その選ぶ過程ごと覚えておくと、ライブや会議、発表の出だしを話し合う場面でとっさに使える表現になります。
例文で覚える「open with」
プレゼンの構成からライブの進行まで、open with を3つの例文で確認していきましょう。
We decided to open our presentation with a short video.
(私たちは、短いビデオでプレゼンテーションを始めることにしました。)
仕事の場でプレゼンの構成を説明する場面です。出だしに何を持ってくるかを共有することで、進行の意図が伝わりやすくなります。
The band likes to open their concerts with a slow ballad.
(そのバンドは、コンサートをゆっくりしたバラードで始めることを好みます。)
音楽好き同士で演出の傾向を語る場面です。ライブの出だしに選ぶ曲調から、そのバンドらしさが見えてきます。
A: What should we open the party with?
B: Let’s open with a toast.
(A:パーティーは何で始める?)
(B:乾杯で始めよう。)
イベントの進行を相談する、友人同士のカジュアルな会話です。Let’s open with … の形で、出だしの提案をそのまま口にできます。
あわせて覚えたい関連表現
kick off with
(~で幕を開ける、~で始める)
open with よりも口語的でカジュアルな響きを持ち、イベントやシーズンの開幕を表す際によく使われる表現です。
start off with
(~から始める)
open with が番組やライブなど構成のある出だしを表すのに対し、start off with はより日常的な場面全般で使える、汎用性の高い表現です。
close with
(~で締める、~で終える)
open with の対義にあたる表現で、物事の「終わり」に何を持ってくるかを表します。出だしと締め、両方をセットで覚えておくと進行を語る幅が広がります。
Note|アメリカのライブ・コンサートにおけるセットリストの組み方
ラージとハワードが悩んでいたオープニング曲の選び方は、実際のライブやコンサートでも大事にされているポイントです。
アメリカのライブ文化では、最初に演奏する曲(opener)は、その日のステージ全体の雰囲気を決める重要な役割を持つとされています。観客の注目をぐっと引きつけるために、テンポの速い曲やよく知られた曲を冒頭に置くバンドが多く、逆に静かな曲から入ってじわじわと盛り上げていくスタイルを選ぶバンドもあります。セットリストの研究をするファンの間では、開演から数曲の流れを「第一幕」のように分析する文化もあり、出だしの一曲にバンドの個性や戦略が詰め込まれていると語られることがあります。大きなフェスティバルでは、開演直後の数分間で観客の心をつかめるかどうかが、その後のステージの盛り上がりを左右するとも言われています。
ラージとハワードが「お客さんが立ち上がるような曲」を出だしに選ぼうとしていたのも、まさにこの「第一印象で空気をつかむ」という発想そのものです。趣味のバンドであっても、プロのステージ作りと同じ悩みを抱えている様子が、このシーンには映し出されています。
何で幕を開けるかという選択には、演奏する側の意図がぎゅっと詰まっています。open with という表現を使うとき、その背景にある小さな戦略も一緒に思い出してみると、言葉の重みが少し変わってくるかもしれません。趣味のライブであっても、プロのステージと同じだけの工夫が出だしの一曲に込められていると考えると、音楽を聴く側の楽しみ方も少し広がります。
まとめ|セットリスト相談から見える、趣味への本気度
open with は、ライブや番組、本などを何から始めるかという、構成上の出だしを表す表現です。Let’s open with … の形を覚えておけば、進行の提案をそのまま口にできる、使い勝手のよい言い回しが身につきます。
プレゼンの構成を考えるときも、イベントの進行を相談するときも、この一言があれば出だしのアイデアをすっと共有できます。
趣味のバンドの出だしを本気で相談するラージとハワードの姿には、好きなことへ丁寧に向き合う二人の実直さが表れていると言えます。一曲の選び方にまで気を配る姿勢が、このシーンをただのコメディ以上のものに見せています。


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