『ビッグバン★セオリー』シーズン6第10話「The Fish Guts Displacement」を、英語学習の視点から整理します。インフルエンザにかかったエイミーの看病にシェルドンが没頭する一方、ハワードは妻の実家に招かれ、義理の父親とうまく打ち解けられずにいます。優しさのつもりの言葉と、本音を隠す言葉が入り混じる回なので、誰が誰にどんな気持ちで話しているかに注目しながら表現を見ていきます。
あらすじ(ネタバレなし)
インフルエンザで寝込んだエイミーの看病を、シェルドンが関係契約の条項を口実に引き受けます。看病を続けるうちに、シェルドンはプラシーボ効果を使った独自の治療法まで持ち出すなど、思いがけない世話焼きぶりを発揮していきます。並行して、ハワードはバーナデットの実家に招かれ、義理の父親との距離を縮めようとぎこちない会話を重ね、レナードやラージも、ペニーに教わりながら釣った魚をさばく中で自分たちの父親との思い出を振り返ります。看病と親子関係という、性格の違う2つの関係が同時に描かれる回です。ネタバレを避けつつ、優しさや本音をめぐる会話でよく出てくる言い回しを取り上げます。
このエピソードで学べる英語フレーズ
1. give someone the heebie jeebies
意味:〜をゾッとさせる、〜の身の毛がよだつ思いにさせる。
Raj: Spiders give me the jeebie-jeebies.
(訳:クモってゾッとするんだよね。)
スパイダーマンの主題歌の歌詞は正確には合っていないとシェルドンが延々と屁理屈をこねるのに付き合わされ、話題を変えたいラージが、クモが苦手だと切り出す場面です。台本ではラージが「heebie-jeebies」を「jeebie-jeebies」とわざと言い換えており、直後にハワードが正しい発音を訂正するという言葉遊びになっています。ラージ自身は「その方が反ユダヤ主義っぽく聞こえるから」というよく分からない理屈で言い換えていて、深読みすればするほど不思議な会話になっています。
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2. tag along
意味:(誘われて、あるいは勝手に)おまけのように一緒について行く、同行する。
Mr. Rostenkowski: Fine, you can tag along.
(訳:仕方ない、ついてきていいぞ。)
バーナデットに勧められて釣りに誘われたハワードに、口数の少ない父親が渋々ながら同行を許可する場面です。誘われて、あるいは頼み込んで一緒についていく様子を表す表現です。
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3. take a turn for the worse
意味:(病状や状況が)悪化する、悪い方向へ転じる。
Amy: Taking a turn for the worst.
(訳:具合が急に悪くなってきて。)
「ウォーキング・オン・サンシャイン」に合わせて元気に踊っていたところをシェルドンに見つかりそうになったエイミーが、慌てて音楽を止め、仮病を装う場面です。台本では標準的な「worse」ではなく「worst」という形で使われていますが、意味は同じく「悪化する」を表しています。
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4. take the words right out of one’s mouth
意味:まさに自分が言おうとしていたことを、相手に先に言われる。
Howard: Took the words right out of my mouth.
(訳:まさに僕が言おうとしてたことだよ。)
バーナデットの父親が食卓で食前の祈りを唱え終えた直後、ハワードが調子を合わせるように相槌を打つ場面です。ちょうど自分が言おうとしていたことを相手に先に言われてしまう様子を表す表現です。
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5. talk one’s ear off
意味:(人)に延々と喋りまくる、耳にタコができるほど話し続ける。
Howard: He’s been talking my ear off all night.
(訳:一晩中しゃべり倒されたからね。)
「元気か」「引退生活はどうか」といった当たり障りのない質問を重ねても会話が続かず、気まずい沈黙が続く父親との会話を何とか繋ごうと苦労していたにもかかわらず、バーナデットに「お父さんともっと仲良くなれば」と釣りに誘われたハワードが、すでに十分話し込んでいると渋る場面です。相手に延々と話し続けられる様子を表す表現です。
6. as soon as
意味:〜するとすぐに。
Sheldon: I just want you to get better as soon as possible.
(訳:できるだけ早く元気になってほしいだけなんだ。)
半時間前とまったく同じ体温のままのエイミーに「治そうとしていないんじゃないか」と皮肉を言ったシェルドンが、ベッドサイドマナーが足りないと指摘されて、素直な思いを口にする場面です。ある出来事のあとすぐに、という意味を表す表現です。
7. come back
意味:戻って来る。
Howard: Yeah, well, my quality father-son time was spending my adolescence looking out the window waiting for my dad to come back someday.
(訳:僕の父親との時間といえば、思春期をずっと窓の外を眺めて、いつか父さんが戻ってくるのを待ちながら過ごしたことだよ。)
釣った魚のさばき方をペニーから実演で教わり、慣れない内臓の処理に仲間全員が顔をしかめながら、父親との思い出をレナードやラージと語り合う中で、ハワードが自分の父親が家を出て行ったまま戻らなかったことを打ち明ける場面です。ある場所へ戻ってくることを表す表現です。
8. take care of
意味:世話をする、対処する。
Amy: Sheldon, aren’t you gonna take care of me?
(訳:シェルドン、私の面倒を見てくれないの?)
シルバーサーファーのネクタイを着けたシェルドンが、バスローブ姿のエイミーにお葬式に行く気力もないほど具合が悪いと言われ、それなら失礼すると帰らせようとしたところ、エイミーが二人の関係契約の条項を持ち出して看病を求める場面です。相手の世話をすることを表す表現です。
9. get over
意味:乗り越える、克服する。
Amy: Sheldon, you don’t get over the flu in half an hour.
(訳:シェルドン、インフルエンザは30分で治るものじゃないのよ。)
体温計を当てるたびに「半時間前とまったく同じだ」と苛立つシェルドンに対して、エイミーが病気はそんなにすぐには治らないとたしなめる場面です。病気などを乗り越える、克服することを表す表現です。
10. look like
意味:〜のように見える。
Sheldon: Now, this may look like a Tic Tac but it is really a powerful medication specifically designed to cure your illness as well as freshen your breath.
(訳:これはタブレット菓子のティックタックに見えるかもしれないけど、実は君の病気を治すために特別に開発された強力な薬で、しかも息もさわやかになるんだ。)
プラシーボ効果を信じるかとエイミーに尋ね、信じると答えられたのを確認したうえで、シェルドンが普通のタブレット菓子を特効薬だと偽って手渡す場面です。見た目がある物に似ている様子を表す表現です。
このエピソードの英語学習ポイント
この回の英語表現は、看病というやさしさの場面と、義理の両親との距離を測る気まずさの場面という、2つの違う人間関係から生まれています。シェルドンの「as soon as」や「look like」は、不器用ながらも懸命にエイミーの世話を焼こうとする言い方で、普段の断定的な口調とは違う一面がのぞきます。エイミーの「take care of me」や「get over」は、その看病を受け止めたり、時にたしなめたりする側の言葉です。プラシーボ効果を利用した独自の治療法まで持ち出すあたりに、シェルドンなりの不器用な優しさが表れています。
一方、「tag along」や「talk one’s ear off」のように、義理の家族との距離感を測るハワードの言葉には、気まずさと本音がにじみます。育ての父親が家を出て行ったまま戻らなかったという「come back」の場面のように、笑いの中にふと本音がのぞく瞬間もこの回の見どころです。レナードやラージも、それぞれ変わった父親との思い出を打ち明けていて、ハワードの告白だけが特別に重く響く構成になっています。軽い調子の思い出話が並んだ末に、ハワードの一言だけが急に切実さを帯びる落差が、この場面をより印象深いものにしています。
エイミーが仮病を使ってまでシェルドンの看病を引き出そうとする言い方と、ハワードが義理の父親との距離を測りかねて言葉を選ぶ言い方を比べてみると、優しさを求める言葉と、優しさに戸惑う言葉がこの回には同居していることがよく分かります。看病の場面ではエイミーが積極的に嘘をついてまで関係を深めようとするのに対し、食卓の場面ではハワードが本音を隠して当たり障りのない会話を続けようとする、正反対の姿勢の対比も興味深い点です。どちらも相手との距離を縮めたいという気持ちは共通しているのに、選ぶ手段がまるで違うところがこの回らしい面白さです。
キャラクター別|英語の特徴
シェルドン|この回での話し方
Sheldon: Do you believe in the placebo effect?
(訳:プラシーボ効果って信じる?)
看病のやり方が気に入らないと言われ、寝かせてほしいと頼むエイミーに対し、エイミーの熱がまったく下がらないことにしびれを切らしたシェルドンが、思いついたように尋ねる場面です。この直後、普通のタブレット菓子を薬だと偽って手渡すという、シェルドンらしい強引な看病が始まります。
エイミー|この回での話し方
Amy: I feel terrible I did this.
(訳:こんなことをして本当に悪いと思ってる。)
熱があるふりを続けるエイミーに違和感を覚えたシェルドンが、こっそり採取した頬の粘膜を研究室で培養して仮病を見抜き、指摘したことで、エイミーが素直に反省の言葉を口にする場面です。看病されるのが心地よくて嘘をつき続けていたことへの申し訳なさが、率直な言い方に表れています。
ハワード|この回での話し方
Howard: I like rare chicken.
(訳:レアなチキンが好きなんだ。)
義理の両親を自宅の食事に招き、会話が続かず気まずい沈黙が流れる中、まだ火の通っていない料理を無理に褒めようとするハワードらしい場面です。空気を読んで場を取り繕おうとする様子が表れています。
バーナデット|この回での話し方
Bernadette: You could die.
(訳:死ぬわよ。)
まだ調理が終わっていないと伝えたのに、早く食べたいと急かすハワードが生焼けのチキンを食べようとする場面で、バーナデットが真顔で釘を刺す返答です。夫の無理な気遣いに、あきれながらも率直に指摘する言い方です。
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