海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かと話していて、自分が言おうとしたことを相手に先に言われ、「それ、今まさに言おうとしてた!」と思った経験はありませんか。
そんな瞬間にぴったりの「take the words right out of one’s mouth」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン6第10話の中盤、婚約者の実家での夕食で、義父が突然食前の祈りを唱えだしたのに調子を合わせるハワードのシーンから、一緒に見ていきましょう。
「take the words right out of one’s mouth」の意味とニュアンス
take the words right out of one’s mouth
意味:まさに自分が言おうとしていたことを、相手に先に言われる
相手の発言が、自分の考えていたことと完全に一致したときに使う、共感の決まり文句です。直訳は「言葉を(人)の口からそのまま取り出す」で、自分の口から出かかっていた言葉を、相手にそっくり持っていかれた、というイメージになります。
間に入っている right が、「ぴったり」「まさに」という一致の度合いを強めています。「You took the words right out of my mouth.」の形で、「まさにそれ、私が言おうとしてた」という同意と、「考えが同じだった」という小さな驚きを、ひとことで同時に表せるのが特徴です。会議や雑談で誰かが自分の意見を先に口にしたときなど、強く共感したい場面で活躍します。多くの場合は過去形で、相手の発言を受けた直後の相づちとして使われます。
【ここがポイント!】
- 「言おうとしたことを先に言われた」ときの共感を表す一言
- right が「まさに」「ぴったり」という一致の強さを添えている
- 同意と「考えが同じだった驚き」を同時に伝えられるのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S06E10のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ユダヤ系のハワードは、婚約者バーナデットのカトリックの実家で夕食をとっています。「さあ食べよう」と切り出した瞬間、無口な義父が突然キリスト教式の食前の祈りを唱えだします。戸惑いながらも場に合わせようとするハワードが放つのが、この一言です。
Howard: Okay, dig in.
(よし、食べよう。)Mr. Rostenkowski: Hold up. Bless us, O Lord, for these Thy gifts which we are about to receive from Thy bounty through Christ our Lord. Amen.
(待った。主よ、われらがこれからいただく恵みを祝福したまえ。主キリストを通じて。アーメン。)Howard: Took the words right out of my mouth.
(まさに僕が言おうとしてたことだよ。)The Big Bang Theory Season6 Episode10(The Fish Guts Displacement)
シーン解説と心理考察
本来このフレーズは、相手と考えがぴったり一致したときに使う共感の言葉です。ところがこの場面のハワードは、祈りの習慣を知らなかったにもかかわらず、まるで自分も同じことを言おうとしていたかのように、しれっと調子を合わせています。文化の違いから生まれた気まずさを、定番フレーズの転用でさらりと取り繕うハワードの機転がにじむ場面です。
無口な義父との間に流れる微妙な距離感と、なんとか好かれようと空回り気味に振る舞うハワードの必死さが、この短い一言に重なっています。フレーズ本来の「考えが一致した驚き」を、まったく一致していない状況で使うズレが、このシーンの可笑しみと言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
自分が口を開いて、まさに言葉を発しようとした、その瞬間を思い浮かべてください。相手がスッと手を伸ばし、その口から言葉そのものをつまみ取っていく——そんな映像をイメージすると、take the words right out of my mouth(口から言葉をそのまま取り出す)の意味が体に入ってきます。言葉は自分のものだったのに、先に持っていかれた、という軽い「先を越された」感覚が、このフレーズの核です。祈りに戸惑いながら「それ言おうとしてた」と取り繕うハワードの表情とセットにすると、共感の決まり文句として記憶に残ります。
例文で覚える「take the words right out of one’s mouth」
相手の発言に強く共感したとき、相づちのように使えるフレーズです。3つの例文で使い方の幅を見ていきましょう。
You took the words right out of my mouth. That’s exactly what I was thinking.
(まさにそれ、言おうとしてたよ。考えてたことと、ぴったり同じだ。)
強い同意を伝える場面です。後半に「考えていたことと同じだ」と添えると、一致した驚きをより自然に表現できます。
When she suggested postponing the launch, she took the words right out of my mouth.
(彼女が発売の延期を提案したとき、それはまさに私が言おうとしていたことだった。)
会議で誰かが自分の意見を先に口にした場面です。三人称・過去形で、後から状況を振り返るときにも使えます。
A: I think this restaurant is way too expensive.
B: You took the words right out of my mouth.
(A:このお店、ちょっと高すぎだと思うんだよね。)
(B:まさにそれ、今言おうとしてた。)
友人同士のカジュアルな会話の例です。不満や本音が一致したときの相づちとしても、とても自然に使えます。
あわせて覚えたい関連表現
read someone’s mind
(〜の心を読む、考えを見透かす)
「考えていることを言い当てる」点は共通していますが、こちらは相手の内心を予言的に当てるニュアンスです。take the words… が「言おうとした瞬間に先に言われた」というタイミングの一致に焦点を当てるのに対し、read someone’s mind は「思考そのものを読む」点で異なります。
be on the same page
(認識が一致している、同じ考えだ)
全体的な合意や共通理解を表す、継続的な状態の表現です。take the words… が「今この発言が一致した」という瞬間的な反応であるのに対し、こちらは「全体として同じ方向を見ている」状態を指します。
My thoughts exactly.
(まさに私の考えどおりだ)
同意を示す短い決まり文句で、take the words… と置き換えても使えます。ただし take the words… のほうが「先に言われた」という驚きの含みが強く、相手の発言を受けた直後の反応として、より生き生きとした印象になります。
Note|言葉を「もの」として扱う英語の発想
「口から言葉を取り出す」という、よく考えると少し不思議なこの言い回し。その背景には、英語ならではのある発想が隠れています。
英語には、言葉や考えを、手で扱える「もの」のように捉える表現が数多くあります。take the words out of someone’s mouth(言葉を口から取り出す)もそのひとつで、発言を「口の中にある、取り出せる物体」として扱っています。ほかにも、put words in someone’s mouth(言ってもいないことを言ったことにする、言葉を口に押し込む)、eat one’s words(自分の発言を撤回する、言葉を食べる)、weigh one’s words(言葉を慎重に選ぶ、言葉の重さを量る)など、言葉を持ち上げたり、押し込んだり、量ったりと、まるで物質のように扱う表現が並びます。日本語では言葉をここまで「もの」として捉えることは少なく、この感覚は英語独特のものと言えます。
この発想を知っておくと、take the words right out of my mouth が「自分の口の中にあった言葉を、相手に先に取り出された」というイメージとしてくっきり立ち上がってきます。一語ずつ訳すより、言葉を物として思い描くほうが、ずっと記憶に残ります。
言葉を「手に取れるもの」として見る。そんな視点が、英語の面白さを広げてくれます。
まとめ|「それ、言おうとしてた」をひとことで
take the words right out of one’s mouth は、自分が言おうとしていたことを相手に先に言われたときの、強い共感を表すフレーズでした。同意と「考えが同じだった」という小さな驚きを、ひとことで同時に伝えられる便利な表現です。
会議でも、友人との雑談でも、相手の発言に「まさにそれ!」と感じる瞬間は、誰にでも訪れます。そんなとき、ただうなずくだけでなくこの一言を返せれば、共感の気持ちがぐっと伝わりやすくなります。意見が重なったあの感覚を思い出しながら、会話のレパートリーに加えてみてくださいね。


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