海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
仕事中の相手のそばで、自分がそこにいること自体が手を止めさせている気がして、そっと席を外すような瞬間があります。
そんなときに使えるのが「get someone out of someone’s hair」です。迷惑になっている人を遠ざける、または自分が相手を煩わせるのをやめる、という意味です。『メンタリスト』シーズン3第15話の終盤、事件が解決したあとのCBIオフィスで、子どもを預けていたハイタワーがリズボンに声をかける場面から、一緒に見ていきましょう。
「get someone out of someone’s hair」の意味とニュアンス
get someone out of someone’s hair
意味:迷惑になっている人を遠ざける、相手を煩わせるのをやめる
人がまとわりついて相手を煩わせる状態から、その人を離すことを表す口語表現です。覚えるときは、髪に絡んで気になるものを外す場面に重ねると意味をつかみやすくなります。
文脈によって温度は変わります。I’ll get out of your hair のように自分から丁寧に席を外すこともあれば、迷惑な相手を遠ざけることを表す場合もあります。劇中では、子どもを引き取る側が相手を気遣う言い方として使っています。
自分が主語になる I’ll get out of your hair の形も頻出で、訪問先を辞去するときや長話を切り上げるときの決まり文句として使われます。相手を気遣う形をとりながら、こちらから会話を終わらせられるのが便利な点です。
【ここがポイント!】
- 迷惑になっている人を遠ざける、または自分が煩わせるのをやめる表現
- 丁寧な辞去にも、うっとうしい相手の排除にもなり得ます
- I’ll get out of your hair の形は、辞去のあいさつとしてそのまま使えます
『メンタリスト』S03E15のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
事件が解決したあと、CBI のオフィスで交わされる短いやり取りです。この日ハイタワーは私生活の事情で、幼い子ども二人を職場に預けざるを得なくなっていました。面倒を見ていたのはリズボン。仕事の話ではなく、上司と部下が私的な負担をやり取りしたあとの場面で、この一言が出てきます。
Hightower: I HOPE THEY WEREN’T TOO MUCH TROUBLE.
(手を焼かせていないといいんだけど)Lisbon: NOT AT ALL. I HAD THREE NEARLY FERAL BROTHERS. YOUR KIDS ARE SWEETHEARTS.
(全然です。野生児みたいな兄が三人いましたから。いいお子さんたちですね)Hightower: THANK YOU.
(ありがとう)Lisbon: NOT A PROBLEM.
(いえ、お気になさらず)Hightower: LET ME GET ‘EM OUT OF YOUR HAIR.
(この子たちは連れていくわ。もう邪魔しないから)The Mentalist Season3 Episode15(Red Gold)
シーン解説と心理考察
ハイタワーは、自分の事情を職場に持ち込んだことを気にしています。礼を言うだけで終わらせず、自分から子どもを引き取ると申し出ることで、負担をかけた事実に区切りをつけようとする姿勢が表れています。
リズボンの返し方も丁寧です。手はかからなかったと言うだけでなく、兄が三人いたという自分の話を持ち出して、面倒を見ることが自分にとって特別な負担ではないと示しています。相手の気兼ねを正面から否定せず、別の理由で打ち消してみせる配慮がにじむ場面です。
その気遣いを受け取ったうえで、ハイタワーは邪魔をしていた側として自分を置き直します。上司という立場にありながら、この場面では借りを作った側として振る舞っている。事件の緊張が解けたあとの短いやり取りが、二人の距離をやわらかく見せています。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
髪に糸くずや小枝が絡まった状態を思い浮かべてみましょう。痛くはないけれど気が散って、手を止めて取り除くまで作業に戻れません。
英語はこの状態を、まとわりついて邪魔をしている人の比喩に使います。out of your hair は、その絡まりがなくなって煩わされない状態をイメージすると覚えやすいでしょう。
劇中でハイタワーは、預けた子どもを連れていくときにこの言い方を選んでいました。連れていく側が自分から口にすることで、相手の手をふさいでいたのはこちらだった、と認める働きをしています。誰の髪から、何を出すのか。この二つを押さえると、使いどころを外しません。
例文で覚える「get someone out of someone’s hair」
主語を自分に置くか、連れ出す相手に置くかで表情が変わります。家庭の場面から仕事の連絡まで、3つの例文で見ていきましょう。
I’ll take the kids to the park to get them out of your hair.
(子どもたちは公園に連れていくよ。邪魔にならないようにね)
家族が作業中に、子どもを外へ連れ出す場面です。to 不定詞で目的として置くと、気遣いの意図がはっきり伝わります。
Once the renovation is done, we’ll be out of your hair.
(改装が終われば、お邪魔はしなくなります)
工事や作業の終わりを相手に伝える場面。be out of your hair の形にすると、動作ではなく状態として言い表せます。
A: I just need five more minutes, then I’ll get out of your hair.
B: Take your time. You’re not bothering anyone.
(A:あと五分だけいただければ、すぐ失礼します)
(B:ゆっくりどうぞ。誰の邪魔にもなっていませんよ)
忙しい相手に短く用件を伝える場面です。時間を区切って添えると押しつけがましさが減り、相手も気楽に応じられます。
あわせて覚えたい関連表現
get out of someone’s way
(道をあける、進路を妨げない)
物理的な進路をあける意味が中心です。相手の作業を中断させている状態を指すなら hair のほうが自然で、通り道をふさいでいるなら way が合います。
stop bothering someone
(わずらわせるのをやめる)
直接的で、比喩のやわらかさがありません。相手を注意する場面にも使われるため、自分から申し出るときは hair の言い方のほうが角が立ちません。
leave someone alone
(放っておく、構わないでいる)
突き放す響きが出る場合があります。気遣いとして申し出る場面には向かないため、相手との距離を測って選び分けます。
Note|邪魔を身体で言う英語、位置で言う日本語
同じ「邪魔をしている」でも、英語はどこにまとわりついているかを身体の部位で描き分けます。この使い分けが、日本語の感覚とはずいぶん違います。
英語で邪魔のされ方を表す言い方を並べてみると、in your hair は髪に絡んで気が散る状態、on your back は背中にのしかかって急かしてくる状態、in your face は目の前に迫って威圧してくる状態、under your feet は足元をうろちょろして動きを妨げる状態と、それぞれ別の場面を担っています。get off my back なら「うるさく言うのをやめて」、get out of my face なら「近寄らないで」となり、置き換えは効きません。どの部位を選ぶかで、まとわりつき方も不快の種類も変わるわけです。一方の日本語は、「邪魔」「手を煩わせる」「足を引っ張る」のように、位置関係や労力の側から状態を言い表すことが多く、身体の部位に寄せた言い方の層はここまで厚くありません。足を引っ張るという表現はありますが、これは妨害の意味であって、そばにいて気が散るという状態とは別のものです。
この違いを知ると、hair を選ぶことの意味も見えてきます。背中でも顔でもなく髪。強い圧迫ではなく、取り除けば済む程度の気の散り方。ハイタワーが子どもについてこの語を選んだのは、その軽さがちょうど場面に合っていたからでした。
どこにまとわりついているかで、邪魔の重さまで伝わります。
まとめ|連れていく側から言う、気遣いの一言
get someone out of someone’s hair は、迷惑になっている人を遠ざけたり、自分が相手を煩わせるのをやめたりする表現です。劇中では、邪魔をしていた側が相手の手を空ける気遣いとして使っています。
来客を辞去するとき、作業中の相手のそばを離れるとき、連れてきた人を引き取るとき。I’ll get out of your hair と一言添えると、相手を煩わせないよう席を外す意図を伝えられます。
邪魔をしていたのはこちらだった、と軽やかに認められる言い方なのかもしれません。


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