海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
新幹線の座席や、テーブルに残った最後の一切れ。誰が先に取るかを口に出して決めるような場面が、日常には意外とたくさんあります。
そんなときに登場するのが「get first dibs」です。自分に先取りの権利がある、こっちが先だ、という主張を表します。『メンタリスト』シーズン3第15話の中盤、川辺の採掘地でジェーンが買い手として名乗りを上げ、先に検討していた客と鉢合わせする場面から、一緒に見ていきましょう。
「get first dibs」の意味とニュアンス
get first dibs
意味:先取りする権利がある、こっちが先である
限られたものを誰が先に選ぶ・使うかという場面で、非公式な優先権や第一選択権を表します。口頭で先に宣言したことだけが根拠とは限らず、先約や役割など文脈上の理由でfirst dibsを持つ場合もあります。
dibs は単独でも「取り分の主張」として使われ、first がつくことで「その主張の先頭」という位置づけになります。対象は on のあとに置き、I get first dibs on the front seat のように使います。宣言する行為そのものを指す call dibs という形もよく登場します。
もともと子どもの遊びの語彙という感覚が残っているため、大人同士で使うと軽さや冗談めいた響きが伴います。社内の備品配分のように主語を組織に置き換えれば業務連絡でも通用しますが、契約や規約のような硬い文書では priority などの中立語が選ばれます。
【ここがポイント!】
- 座席に荷物を置いて「ここ取った」と宣言する、あの感覚に近い一言
- 非公式な優先権を表し、口頭での先取宣言はcall dibsと区別する
- 子どもの語彙の名残があるので、大人が使うと少し冗談めいて響きます
『メンタリスト』S03E15のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
採掘地の売買を仲介する業者が、購入を検討している客を川辺へ案内し、その場で砂利をすくって実演してみせます。金の粒が出てきたのを見て、同行していたジェーンが「これをもらう」と言い出す場面。買う気になっていた客の側が慌てて割って入ります。ジェーンの返しが、この表現の語感をそのまま説明してくれます。
Jane: WELL, I’LL TAKE IT.
(よし、これをもらおう)Jack: HEY, HEY… HANG ON, PAL. WE GET FIRST DIBS.
(おいおい、待ってくれ。こっちが先だぞ)Jane: DIBS? WHAT ARE WE? CHILDREN? I’M JUST KIDDING. IT’S ALL YOURS.
(ディブス? 子どもじゃあるまいし。冗談だよ、全部そちらのものだ)The Mentalist Season3 Episode15(Red Gold)
シーン解説と心理考察
割って入った側の言い分は、先に検討していたのだから順番はこちらにある、というものです。売買の交渉というより、順番待ちの列を守れという抗議に近い温度が表れています。
これに対するジェーンの返しが鋭く、大人が使うには子どもじみた語だと即座に指摘してみせます。相手の主張の中身ではなく、選んだ言葉のほうを突く。この切り返し方に、人の言動を材料にして遊ぶジェーンらしさがにじむ場面です。
そもそもジェーンには採掘地を買う気などなく、目的はこの売買の現場で何が起きているかを見ることにあります。あっさり引き下がった直後に「ほかに売れる採掘地はあるかな」と話を続けており、争いを手放すことで本題へ進む運びになっています。軽口のやり取りに見えて、捜査の一歩が静かに進んでいる構成が効いています。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
空いている椅子に、さっとカバンを置く動作を思い浮かべてみましょう。まだ座ってはいないけれど、これで席は自分のもの。あの一瞬の宣言が dibs です。
first がつくと、その宣言の列の先頭に立っている状態になります。カバンを置いた人が二人いたら、先に置いたほうが first dibs を持っている、という並びで覚えると位置関係がはっきりします。
劇中でジェーンが「子どもじゃあるまいし」と返しているのも、記憶の助けになります。荷物で席を取る動作は、大人がやると少し気恥ずかしい。その気恥ずかしさごと、この語の温度として覚えておくと使いどころを外しません。
例文で覚える「get first dibs」
対象は on のあとに置くのが基本形です。家庭の場面から職場の連絡まで、フォーマル度の幅を3つの例文で確かめてみましょう。
I get first dibs on the window seat.
(窓側の席はわたしが先ね)
家族や友人と乗り物の席を決める場面です。on のあとに対象を置くだけで、軽い宣言として成立します。
Sales gets first dibs on the new laptops.
(新しいノートパソコンは営業部が優先です)
社内の備品配分を説明する場面。主語を部署に置き換えると子どもっぽさが薄れ、業務連絡でも問題なく使えます。
A: Who gets first dibs on the leftover pizza?
B: I do. I’m the one who ordered it.
(A:残ったピザ、誰が先に取っていいの?)
(B:わたし。注文したのはわたしだから)
食べ残しの分配をめぐる短いやり取りです。疑問文で順番を尋ね、理由を添えて権利を主張する、という流れがそのまま使えます。
あわせて覚えたい関連表現
call dibs
(先取りを宣言する)
get first dibs が権利を持っている状態を指すのに対し、こちらは宣言する行為そのものを指します。I called dibs first のように、言った時点を争点にできます。
have priority
(優先される)
規則や制度で決まった優先順位を表す中立語です。会議や文書で使えるフォーマル度があり、その場の口約束を指す dibs とは守備範囲が分かれます。
first come, first served
(早い者勝ち)
ルールそのものを説明する言い方です。個人が自分の権利を主張する場面には使えないため、宣言する側に立つのか、仕組みを説明する側に立つのかで選び分けます。
Note|子どもの遊びから会話へ、dibs のたどった道
dibs という語は、単独ではほとんど見かけません。first dibs、call dibs といった決まった形の中でだけ生き残っている、少し変わった語です。
由来としてdibstonesという古い子どもの遊びとの関係が挙げられることがありますが、そこから現在の優先権の意味へ直線的に変化したと確定するのは避けます。Merriam-Websterも複数の可能性を扱っており、語源には不確実さが残ります。現在の用法では、first dibsが非公式な優先権、call dibsがその優先権を宣言する行為です。
この流れを知ると、劇中のジェーンの反応にも納得がいきます。遊びの語彙から出発した言葉だからこそ、大人の商談の場で使われると浮いて聞こえる。「子どもじゃあるまいし」という一言は、語の来歴をそのまま突いた返しになっていました。
遊び場で生まれた宣言が、いまも会話の順番を決めています。
まとめ|「ここ取った」を英語で言うと
get first dibs は、何かを最初に選ぶ・使う非公式な優先権を表します。口に出した順番だけでなく、先約や役割など文脈上の根拠を伴う場合もあります。
座席、食べ物、備品の割り当て。誰が先かをその場で決める必要があるとき、この一言があれば交渉の入口が作れます。返す側も I called dibs first のように応じられるので、やり取りとして成立します。
順番を主張するときの気軽な一言として、会話のレパートリーに加えてみてください。


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