海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン1 第10話「The Loobenfeld Decay」に登場する、レナードがペニーについた小さな嘘をめぐる深夜のやり取りです。舞台公演を欠席する口実に嘘をついたレナードのもとへ、シェルドンが真夜中に押しかけ、率直な疑問をぶつける場面から、本音と気遣いのバランスを測る英語表現を見ていきます。
誰かを傷つけないための言い訳、日常の会話でも交わす機会は少なくありません。ドラマの掛け合いを通して、その言い回しを見ていきます。
“hurt her feelings” ―― 本音を飲み込む理由
レナードがペニーに、公演のある金曜の夜に架空のシンポジウムを口実にして欠席を伝えた、同じ夜のことです。深夜2時、シェルドンがレナードの部屋を訪ね、名前を繰り返し呼びながら本題を切り出します。
Sheldon: I’m uncomfortable having been included in your lie to Penny.
(君がペニーについた嘘に、僕まで巻き込まれたことが気まずいんだ。)Leonard: What was I supposed to say.
(じゃあ、他にどう言えばよかったんだよ。)Sheldon: You could have told her the truth.
(本当のことを話せばよかったんだ。)Leonard: That would have hurt her feelings.
(それじゃ彼女を傷つけることになる。)TBBT Season1 Episode10 (The Loobenfeld Decay)
hurt someone’s feelings は「(人)の気持ちを傷つける」という定番の言い回しです。be included in ~ は「〜に含まれる、巻き込まれる」という意味で、シェルドンは自分が嘘に巻き込まれたこと自体への気まずさを、この形で言葉にしています。「本当のことを言うべきだ」というシェルドンの理屈に対して、レナードは「それは彼女を傷つける」という一点で返し、本音と気遣いのどちらを優先するかという対立の軸をはっきりさせています。本音を口にしない理由として、そのまま応用できる表現です。
“social protocol” ―― 優しい嘘の定型句
シェルドンから、本当のことを伝えるならこう言えばいいと身も蓋もない案を出されたレナードは、自分ならこう答えると返します。
Leonard: I couldn’t say that, I would have to say, you were terrific and I can’t wait to hear you sing again.
(そんなこと言えるわけないだろ。「すごくよかったよ、また歌うの聞きたいな」って言うしかないんだ。)Sheldon: Why?
(なぜだ?)Leonard: It’s the social protocol, it’s what you do when you have a friend who’s proud of something they really suck at.
(それが暗黙のルールなんだよ。友達が本当は下手なことを誇りに思ってるとき、みんなそうするものなんだ。)TBBT Season1 Episode10 (The Loobenfeld Decay)
you were terrific and I can’t wait to hear you sing again は、相手の出来を実際の評価とは切り離してそのまま肯定する、優しい嘘の典型的な言い回しです。レナードはこの種の返答を social protocol(暗黙の社会的ルール)と呼び、相手が誇りに思っていることがうまくいっていないときに交わされる、いわば決まり事だと説明しています。
| 表現 | 意味・使い方 |
|---|---|
| hurt someone’s feelings | (人)の気持ちを傷つける。本音を飲み込む理由として使える |
| social protocol | 暗黙の社会的ルール。相手を気遣う定型的な振る舞いを指す |
まとめ|優しい嘘は、思いやりの言い換え
hurt someone’s feelings、social protocol。どちらも、本音をそのまま口にしない理由を説明するときに使える表現です。レナードとシェルドンのやり取りは、優しい嘘が単なる誤魔化しではなく、相手への気遣いの一形態であることを映し出しています。論理を優先するシェルドンと、相手の気持ちを優先するレナードという対照的な立場が、この一往復の会話に凝縮されている場面と言えます。
次回のコラムでは、この嘘がさらに手の込んだものへと発展していく場面を扱います。
同じ夜のやり取りは、フレーズ記事やエピソードまとめでもあわせて紹介しています。
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