海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
行こうとしていた場所とは全然違うところに、気づいたらたどり着いていた——そんな予想外の成り行きを経験したこと、ありませんか。
そんな「結局〜してしまった」という着地を表す「wind up」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン5第15話の前半、歯医者への送迎をめぐってシェルドンが過去の珍事を持ち出すカフェテリアのシーンから、一緒に見ていきましょう。
「wind up」の意味とニュアンス
wind up
意味:結局〜という状況になる、(意図せず)〜してしまう
wind up は、意図しなかった結果や予想外の着地点に「行き着く」ことを表す句動詞です。計画とは違う結末になったときや、思いがけない場所・立場・状況に至ったときに使われます。
この wind は「ねじを巻く(wind up a clock)」の wind と同じで、もともとは時計やおもちゃのぜんまいを巻き上げる動作を指します。巻き取った糸や紐の「末端」へとたどり着くイメージが、結末・着地点という語感につながっています。
意味の上では end up とほぼ同じですが、wind up のほうがやや口語的で、「成り行きで巻き込まれて、いつのまにかそうなっていた」という含みが強めです。多くの場合、ネガティブな結末や予想外の展開を語るときに登場します。
【ここがポイント!】
- 核は「ぜんまいを巻き取った先に行き着く」という終着点のイメージ
- 「意図せず・成り行きで」そうなった、という巻き込まれ感がにじむ一言
- end upと置き換え可能だが、口語の会話ではwind upのほうがくだけて響くのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S05E15のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
歯医者の予約があるシェルドンは、レナードに送ってほしいと頼みます。「バスで行けば」と返すレナードに、シェルドンは「麻酔の影響で帰りが危ないから付き添いが要る」と主張し、その根拠として過去のとんでもない顛末を持ち出します。ここで wind up が、彼らしい荒唐無稽なエピソードの落としどころとして効いてきます。
Leonard: Oh, can’t you take the bus to the dentist?
(歯医者くらいバスで行けないのか?)Sheldon: Of course I can. It’s coming back under the residual effects of the anaesthesia, that’s the problem. Two years ago after a deep gum cleaning, I thought I got on a bus but somehow wound up on a booze cruise to Mexico.
(もちろん行ける。問題は麻酔の影響が残ったまま帰ることだ。2年前、歯石の深い除去のあと、バスに乗ったつもりが、なぜかメキシコ行きの酒クルーズに乗ってしまっていたのだ。)The Big Bang Theory Season5 Episode15(The Friendship Contraction)
シーン解説と心理考察
このやり取りでは、自分の要求を通すために極端な実例を持ち出すシェルドンの自己中心ぶりが表れています。麻酔のせいでバスを乗り間違え、いつのまにかメキシコ行きのクルーズ船まで行き着いていた——という常識外れの顛末を、まるで動かしがたい事実のように語るのが彼らしさです。
注目したいのは、wound up という一語が、この荒唐無稽な着地と完璧に噛み合っている点です。「乗ったつもりが、気づけばまったく別の場所に」という巻き込まれの感覚が、そのままフレーズの意味と重なっています。送迎を渋るレナードと、理屈で押し切ろうとするシェルドンのいつものすれ違いが、会話の温度をやわらかいコメディに変えています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
wind は、時計のぜんまいをくるくると巻き上げていく動作。巻き取られた糸をたどっていくと、最後にカチッと止まる一点に行き着きます。その「最後に着く場所」こそが wind up の意味です。
シェルドンの語る顛末を思い浮かべてください。バスに乗ったはずが、ぐるぐると巻き取られた糸の先で、気づけばメキシコ行きの船の上。乗るつもりのなかった場所に、成り行きで巻き取られて到着してしまう——この一枚の絵とセットにすれば、「意図せず予想外の場所に行き着く」という感覚が体に残ります。巻き取られて、思わぬ終着点へ、です。
例文で覚える「wind up」
予定とは違う着地を語るのが wind up の得意分野です。日常からビジネスまで、3つの場面で感覚をつかんでみましょう。
We took a wrong turn and wound up in the next town.
(道を間違えて、結局隣町まで来てしまった。)
旅行やドライブでの予想外の出来事を話す場面です。「行くつもりはなかったのに、成り行きでそこへ」という巻き込まれ感が、wound up にぴったり乗っています。
The meeting ran long and we wound up skipping lunch.
(会議が長引いて、結局昼食を抜くことになった。)
職場で予定が狂った結果を報告する場面です。意図しなかった結末を、感情を込めず淡々と述べるときにも自然に使えます。
A: How did we wind up talking about this?
B: I have no idea. We started with the budget.
(A:どうして結局この話になったんだっけ?)
(B:さあね。最初は予算の話だったのに。)
会話が思わぬ方向へ脱線したことに気づいた場面です。「気づいたらこの話に行き着いていた」という成り行きを、疑問文の形で表せます。
あわせて覚えたい関連表現
end up
(結局〜になる)
wind up とほぼ同義の句動詞ですが、こちらのほうが中立的で使える範囲が広い表現です。会話のくだけた響きを出したいときは wind up、フォーマルな文章では end up が選ばれやすい、という温度差があります。
turn out
(結局〜だと分かる、〜という結果になる)
turn out は「結果が判明する」ことに重点があります。ある状態や場所に「行き着く」wind up とは着眼点が違い、結果が明らかになる流れを語るときに使い分けます。
land
(結果として〜にたどり着く)
land も「行き着く」を表しますが、wind up のほうが「意図しない・予想外」という巻き込まれの含みがはっきりしています。狙って到達したのか、成り行きで着いたのかで選び分けると自然です。
Note|ぜんまいを「巻き上げる」windから「行き着く」へ
シェルドンが語る「メキシコ行きのクルーズに wound up していた」という珍事。この wind up、もとをたどると時計やおもちゃの世界の言葉でした。
wind up はもともと、ぜんまいや時計を「巻き上げて、いっぱいまで締める」動作を指していたとされます。そこから「物事を最後まで巻き取って締めくくる・終わらせる」という意味が生まれ、さらに「(成り行きで)ある状態に行き着く」という現在の使い方へと広がっていったと考えられています。糸巻きに糸を巻き取っていくと、必ず最後の一点=末端にたどり着く——この「巻き取った先の終着点」というイメージが、結末や着地点を表す語感の核になっています。だからこそ wind up には、「自分で選んだというより、流れに巻き取られて最終的にそこへ至った」という独特のニュアンスがにじむのですね。
シェルドンの話に当てはめれば、彼はバスという「糸」に巻き取られ、ほどけた先がたまたまメキシコ行きの船だった、というわけです。意図ではなく成り行きの終着点——wind up の語感が、この大げさな顛末にぴたりとはまります。
巻き取られた糸の先に、思わぬ結末が待っている言葉です。
まとめ|シェルドンの珍道中が教えてくれること
wind up は、「自分で選んだ結末」ではなく「成り行きで巻き取られて行き着いた結末」を語る句動詞です。end up と置き換えられる場面も多いですが、会話のなかでは「いつのまにかそうなっていた」という巻き込まれ感をひと匙加えてくれます。
道を間違えて隣町まで来てしまったとき、会議が長引いて昼食を逃したとき。予定どおりにいかなかった一日を、肩の力を抜いて振り返るときに、この一言が会話に小さなユーモアを添えてくれます。
バスに乗ったつもりがクルーズ船にたどり着いていた——そんなシェルドンの珍道中の後ろに、「気づけば思わぬ場所へ」という、誰にでも覚えのある感覚が透けて見える場面でした。


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