海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
「あの店、来月閉まるらしいよ」——出どころははっきりしないけれど、みんながなんとなく口にしている。そんな噂話を伝えたい場面、ありますよね。
今回はそんなときに使える「word on the street」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン10第18話の中盤、シェルドンの相談に乗るレナードの母ビヴァリーが自分の評判を語るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「word on the street」の意味とニュアンス
word on the street
意味:もっぱらの噂、世間の評判
公式の発表ではなく、人づてに広まっている情報や評判を指す口語表現です。直訳は「通りでの言葉」。情報源をはっきり示さず、「世間ではこう言われている」「噂ではこうらしい」と切り出すときに使います。
The word on the street is that ~(噂では〜らしい)という形で使われることが多く、確定情報ではない含みを自然に伝えられます。ゴシップから街の評判、業界の風聞まで幅広くカバーする、口語感のある言い回しです。
【ここがポイント!】
- 核は「通りで交わされる言葉」、つまり人づてに広まる噂や評判
- The word on the street is that ~ の形で「噂では〜」と切り出せる
- 公式情報ではない含みがあり、確定でないことをやんわり示せるのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S10E18のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
部屋を失った喪失感を抱えるシェルドンが、著名な精神科医でもあるレナードの母ビヴァリーにSkypeでカウンセリングまがいのアドバイスをもらいます。仲間たちの人間関係を次々と鋭く分析するビヴァリーに、シェルドンは思わず感心。すると彼女は、自分の評判を皮肉まじりに返します。
Beverley: Interesting. They’ve found a need to take yet another room mate. Seems they’re avoiding some harsh realities themselves.
(興味深いわね。彼らはまた別の同居人を求めた。自分たちも厳しい現実から逃げているのかも)Sheldon: I had no idea all our relationships were such a disaster. Boy, you’re good.
(僕らの人間関係がこんなに崩壊してたなんて。いやあ、お見事だ)Beverley: That is the word on the street, dear.
(それがもっぱらの評判よ、坊や)The Big Bang Theory Season10 Episode18(The Escape Hatch Identification)
シーン解説と心理考察
「あなたは優秀だ」と素直に褒めるシェルドンに対し、ビヴァリーは「それが世間の評判よ」と受け流します。自分の腕前を直接自慢するのではなく、噂の形を借りて誇ってみせる——その一歩引いた言い回しに、知的で冷ややかなビヴァリーらしさがにじみます。
word on the street をこの文脈で使うことで、「私が言っているのではなく、世間がそう言っている」という体裁が生まれ、自賛の生々しさが上品にぼかされているのが見どころです。dear(坊や)という呼びかけも相まって、相手を子ども扱いする余裕すら漂います。短いやり取りの中に、このキャラクターの自尊心と距離感がきれいに収まっていると言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
street(通り)で人々がひそひそと交わす word(言葉)が、口から口へ伝わって広がっていく——その絵を思い浮かべてみてください。公式の掲示板ではなく「街角の立ち話」から流れてくる情報、というイメージが「もっぱらの噂」に直結します。
余裕の表情で「それが街の評判よ」と言い放つビヴァリーの一段高い目線。あの場面ごと覚えておくと、word on the street が持つ「世間が勝手に言っている」という距離感まで体に残ります。
例文で覚える「word on the street」
噂や評判を伝えたいとき、このフレーズはニュースより軽く、気軽に切り出せます。3つの例文で使い方を見ていきましょう。
The word on the street is that they’re closing the store next month.
(噂では、あの店は来月閉店するらしい)
近所の噂話を共有する場面です。The word on the street is that ~ が最も典型的な型で、出どころ不明の情報を自然に切り出せます。
According to the word on the street, the band might reunite.
(噂によれば、あのバンドは再結成するかもしれない)
ファン同士の会話などで使える形です。According to ~ と組み合わせると、「あくまで噂だけど」という前置きがより明確になります。
A: What’s the word on the street about the new café?
B: Honestly? People say the coffee’s great but the service is slow.
(A:新しいカフェ、評判はどう?)
(B:正直に言うと、コーヒーは最高だけどサービスは遅いって)
口コミを尋ねる場面です。疑問文で「評判どう?」と聞くカジュアルな使い方も、ネイティブの会話ではよく登場します。
あわせて覚えたい関連表現
rumor has it
(噂によると)
「噂」であること自体を前面に出す表現です。word on the street が評判・世評の含みも持つのに対し、こちらはより「確定でない噂」に焦点があります。
they say
(世間では〜と言われている)
最も汎用的で軽い言い回しです。漠然とした「世間」を they で受けます。word on the street よりさらにカジュアルで、口数少なく使えます。
hear it through the grapevine
(人づてに聞く)
情報が非公式ルートで伝わる「経路」に焦点を当てた表現です。word on the street が伝わっている「内容・評判」そのものを指すのと対になります。
Note|なぜ英語は「通り(street)」を噂の発信源にするのか
word on the street を直訳すると「通りの言葉」。なぜ噂や評判の発信源が「通り」なのか、少し立ち止まると面白いところです。
英語では street が、単なる道路を超えて「庶民が行き交う日常の空間」を象徴する語として機能してきました。公式の場やお偉方のオフィスではなく、人々が肩を並べて立ち話をする場所——そこで自然発生的に交わされ、広がっていくのが word on the street というわけです。同じ発想は他の表現にも見て取れます。Wall Street と言えば金融の世界を、Main Street と言えば一般市民や地元経済を指すように、street という語は「どの層の声か」を示す記号になっています。word on the street の場合、それは「公式ではない、市井の声」。だからこそ、確定情報ではないけれど無視もできない、という独特の位置づけが生まれます。ビヴァリーが自分の評判をこの言葉で語ったのも、「私がそう言っているのではなく、世間がそう言っている」という体裁を借りるのに、street の持つ庶民性がちょうどよかったからだと読めます。
通りという語が「公式でない声の場所」を背負っている——そう知っておくと、このフレーズの距離感がすっと腑に落ちます。
街の声を一言で運んでくる、便利な言い回しです。
まとめ|ビヴァリーの皮肉から学ぶ「世間の声」の伝え方
word on the street は、出どころをぼかしたまま「世間ではこう言われている」と伝えられる表現でした。確定情報ではない含みを自然に添えられるのが、この言い回しの便利なところです。
噂や評判を切り出すとき、この一言があると会話がぐっとこなれます。「あくまで噂だけど」という前置きを、わざわざ説明せずに済ませられるからです。ゴシップから街の口コミまで、幅広い場面で出番があります。
ビヴァリーが余裕たっぷりに自分の評判を語ったあの場面とセットで、表現のレパートリーに加えてみてください。


コメント