海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン5 第9話から、金貨の行方を追うピーターの質問をモジーがいったん突っぱね、そのあとで折れていくやり取りを取り上げます。折れるときにも「降参した」とは言わず、助動詞や数量の言い方、改まった動詞を選ぶことで自分の立場を守っているのが特徴です。
断り方、譲り方、一線の引き方を、モジーの台詞を中心に場面の順に見ていきます。
「answers」を拒んでから「a query or two」で応じる
盗まれた金貨を扱った故買屋を探すピーターは、昼食中のモジーのもとへ押しかけ、聞きたいことがあると切り出します。モジーの最初の返事は、きっぱりとした拒否です。
Mozzie: I am under no obligation to provide answers. In fact, as a citizen of this great country, you actually work for me.
(私に答える義務はない。それどころか、この偉大な国の一市民である私のために、実のところ君は働いているんだ。)
Peter: Well, let’s get the IRS on the phone, see how much you’ve chipped in for my salary.
(なら、IRSに電話して、君が俺の給料にいくら出してくれてるか確かめてみよう。)
Mozzie: I may have time to entertain a query or two.
(質問の一つや二つなら、相手をする時間があるかもしれない。)White Collar Season5 Episode9 (No Good Deed)
be under no obligation to ~ は「〜する義務はまったくない」という改まった断り方です。In fact で一段強め、actually を添えて「公務員の給料を払っているのは市民の側だ」という理屈を持ち出しています。
ピーターはこの理屈をそのまま使い返します。IRS は米国の税務当局で、chip in は「(費用を)出し合う」の意味です。市民として給料を払っていると言うなら、実際にいくら納めているか調べようという切り返しです。
ここで出てくるのが、モジーの I may have time to entertain a query or two. です。「答えます」とは言わず、may で「時間があるかもしれない」とぼかし、a query or two(質問の一つや二つ)で量を小さく見せています。entertain は「楽しませる」のほかに「(申し出や質問を)受け付ける、検討する」の意味を持つ改まった動詞です。応じる側が主導権を持っているかのような言い回しのおかげで、引き下がった印象が薄まっています。
「neither ~ nor ~」で線を引き、「even」で譲歩の幅を示す
ピーターが、高価な金属を扱う故買屋を知らないかと本題に入ると、モジーはまた一線を引きます。
Peter: Who do you know that fences high-end metals? Platinum, gold, copper?
(高価な金属を故買してるやつで、誰を知ってる? プラチナ、金、銅は?)
Mozzie: I am neither informant nor rat.
(私は情報屋でもネズミでもない。)White Collar Season5 Episode9 (No Good Deed)
neither A nor B は「AでもBでもない」と二つをまとめて否定する形です。rat は「密告者」を指す俗語で、似た語を重ねて断りを固くしています。
するとピーターは、同僚ダイアナとその子の近況に触れ、テディ・ウィンターズの件をダイアナに尋ねたくはないと、I’d hate to ~(〜するのは気が進まない)で遠回しに迫ります。モジーの返事は That would be unfortunate.(それは困ったことになるね)の一言です。would で仮定の話として距離を置き、困るとだけ認める控えめな返しです。モジーはこのあと、デッカーという名前を明かします。
場面は変わり、ニールはモジーから店の名前を聞いたうえで、それをピーターにも話したのかと確かめます。
Neal: And that’s what you told Peter?
(で、それをピーターに話したの?)
Mozzie: Well, even under duress, I didn’t tell him everything.
(まあ、圧をかけられても、全部は話してないよ。)White Collar Season5 Episode9 (No Good Deed)
under duress は「強要されて」、even を付けると「強要されたとしても」と譲歩の幅を示せます。not ~ everything は「全部は〜ない」という部分否定で、一部は話したと認めつつ、すべてを明かしたわけではないと言い張る形です。
| 言い方 | 働き |
|---|---|
| I am under no obligation to ~ | 改まった言葉で拒む |
| I may have time to entertain a query or two. | 量と可能性を小さく見せて応じる |
| I am neither A nor B. | 二つをまとめて否定し線を引く |
| even under duress, I didn’t tell him everything | 譲歩を認めつつ全面降伏を否定する |
まとめ|折れても立場を守る言葉の選び方
under no obligation で拒み、may と a query or two で応じ、neither A nor B で線を引き、even と部分否定で譲歩の幅を示す流れを見てきました。言葉の選び方ひとつで、折れる側も体面を保てることが分かります。
次回も『ホワイトカラー』の駆け引きから、英語の言い回しを見ていきましょう。
この回のフレーズ記事や別のコラムでは、ほかの場面の英語も取り上げています。


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