海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ホワイトカラー』シーズン1 第4話に登場する、大げさに言われた自分の行為を控えめな言葉に言い換える、そんなやり取りです。ある人物が自由の身になったことをきっかけに、ピーターがエリザベスに感謝を伝える、事件解決後の会話が描かれています。
感謝の言葉を素直に受け取らず、少しだけ控えめに言い直しながら会話が転がっていく様子を、順番に見ていきます。
感謝の言葉を、控えめな言葉に言い換える言い方
ある人物が自由の身になった後、ピーターはエリザベスの支えに感謝を伝えます。
Peter: Oh, John’s free ‘cause of you, El. Yeah, if you hadn’t given me that push.
(ジョンが自由になったのは君のおかげだ、エル。君が後押ししてくれなかったらどうなってたか。)White Collar Season1 Episode4 (Flip of the Coin)
‘cause of you は because of you をくだけて発音どおりに書いた形で、日常会話でよく使われる表現です。if you hadn’t given me that push は仮定法過去完了の形で、「もし君があの後押しをくれていなかったら」と、実際には起きなかった仮定の状況を想定し、その裏返しとして感謝の気持ちを伝える組み立てになっています。
回りくどい表現に見えますが、真正面から「ありがとう」と言うよりも、相手の存在の大きさを実感として伝えられる型です。この push という強めの言葉に対して、エリザベスは控えめに言い換えます。
Elizabeth: Well, it was more like a nudge.
(まあ、後押しというより、軽くつついた程度よ。)White Collar Season1 Episode4 (Flip of the Coin)
it was more like ~ は「それはむしろ〜のようなものだった」と、相手の言葉を柔らかく訂正しながら、自分の行為をより控えめな表現に置き換える言い方です。more like ~ の部分だけを覚えておけば、「それよりは〜寄りかな」と評価の度合いを一段階下げて言い直したい時に幅広く応用できます。
push(強く押す)に対して nudge(軽くつつく)という、勢いの弱い言葉を選ぶことで、大げさに評価されたことをやんわり否定しています。どちらも「物理的に押して動かす」イメージを土台にした言葉ですが、push が力を込めてはっきり後押しする様子を表すのに対し、nudge はひじで軽くつつく程度の、控えめで気づかれるかどうかも怪しいくらいの働きかけを指します。
相手が言った強い言葉を、自分の実感に合わせて弱い言葉に置き換えるこの言い換え方は、褒められた時に謙遜して返す場面でそのまま使える組み立てです。文頭の Well, も、即座に否定するのではなく、少し間を持たせてから言い直す時によく添えられる言葉です。
「多少は〜あったかも」と、少しだけ具体的に認める言い方
ピーターが nudge をそのまま繰り返すと、エリザベスはもう一言付け加えます。
Elizabeth: Maybe a little love talk.
(多少は甘い言葉もあったかもね。)White Collar Season1 Episode4 (Flip of the Coin)
Maybe a little ~ は「多少は〜だったかもしれない」と、断定を避けながら行為の中身を少しだけ具体的に認める言い方です。Maybe で可能性の話にとどめ、a little を添えることで、全面的に認めるのではなく、あくまで控えめな範囲であることを保っています。
nudge という控えめな言葉から一歩進んで、love talk という具体的な中身を明かす流れが続いています。この言葉尻を、ピーターはすかさず捉えます。
Peter: I love talk.
(「愛のおしゃべり」ね、俺は好きだよ。)White Collar Season1 Episode4 (Flip of the Coin)
I love talk. は、直前のエリザベスの love talk という言葉をそのまま拾い、I love (私は〜が好きだ)という別の意味に読み替えて茶化し返す語呂合わせです。同じ単語の並びを利用して意味をずらす切り返し方は、相手の発言に乗っかりながら軽口を返したい時に応用できます。
まとめ|言葉を少しずつ言い換えて、具体化していく流れ
push から nudge へ、nudge から love talk へと、一つの会話の中で言葉が少しずつ言い換えられ、具体化されていく流れを見てきました。相手が使ったばかりの単語をそっくり取り込んで切り返す、軽妙なやり取りの型も見えてきます。事件の顛末には触れない、力の抜けた一幕です。
次回も『ホワイトカラー』の会話とともに、英語表現の型を見ていきましょう。
同じエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。


コメント