「No, I’d rather not.」に見る、相手の経歴を逆手に取った皮肉を添えて頼みを断る言い方|『ホワイトカラー』S02E10で学ぶ英会話

『White Collar』コラム: 「No, I'd rather not.」に見る、相手の経歴を逆手に取った皮肉を添えて頼みを断る言い方|『ホワイトカラー』S02E10で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

今回は『ホワイトカラー』シーズン2 第10話から、格闘訓練を受けさせてほしいと頼むニールと、それを断り続けるピーターの軽口の応酬を取り上げます。ピーターの断り文句には、ニールのこれまでの経歴を逆手に取った皮肉な理由が添えられています。

丁寧な断りに皮肉を足す組み立てから、褒め言葉の形をとった却下、相手の言葉を繰り返す返しまで、会話の順に見ていきます。

目次

「I’d rather not」に皮肉な理由を添えて断る

場面は、ニールの頼みをピーターが突っぱねるところから始まります。ニールはあきらめず、格闘ができれば役に立てると売り込みます。

Peter: No. No, the FBI is not gonna pay for your combat training.
(だめだ。いや、FBIが君の格闘訓練に金を出すことはない。)
Neal: Think about what I could do for you guys if I knew how to fight.
(僕が戦い方を知ってたら、君たちのために何ができるか考えてみてよ。)
Peter: No, I’d rather not. New York is safer if Neal Caffrey is lacking in at least one skill set.
(いや、遠慮しておく。ニール・キャフリーに欠けている技能が少なくとも一つはあるほうが、ニューヨークは安全だ。)

White Collar Season2 Episode10 (Burke’s Seven)

最初の却下は、the FBI を主語にして「組織としてお金は出さない」と言い切る形です。自分の好みではなく組織の判断として断ると、相手は食い下がりにくくなります。

ニールの売り込みには、if I knew how to fight という仮定法過去が使われています。過去形の knew で「今は戦い方を知らないが、もし知っていたら」という現実とは異なる仮定を示し、what I could do で「何ができるか」を想像させる組み立てです。

これに対するピーターの I’d rather not. は、would rather not(どちらかと言えばしたくない)の後ろにくる動詞以下が省かれた形で、ここでは直前の think about that にあたる部分が省略されていると読めます。No だけで終えるより柔らかく、丁寧に断る定番の一言です。

面白いのは、その後に続く理由です。lacking in ~ は「〜が不足している」、skill set は「技能の一式」を指します。ニールをフルネームの三人称で呼び、街の安全の問題のように語ることで、「ニールが何でもできると危ない」という皮肉を理由として差し出しています。

ここでの if 節は、ニールの if I knew とは違い、現在形の is を使った普通の条件文です。同じ if でも、ニールは実現していない仮定として、ピーターは実際にあり得る条件として話している違いが見えてきます。

褒め言葉の形をとった却下と、同じ言葉を返す断り

断られたニールは、訓練の種類を変えて頼み直します。ピーターはそれも、ニールの過去を持ち出して退けます。

Neal: Okay, what about self-preservation?
(じゃあ、身を守る術ならどう?)
Peter: No, you’ve done pretty well with the whole running-away thing. It suits you. Get a dog.
(いや、逃げることに関しては十分うまくやってきただろう。君に合ってる。犬でも飼え。)
Neal: Can I borrow Satchmo?
(サッチモを借りてもいい?)
Peter: No, you can’t borrow Satchmo.
(だめだ、サッチモは貸さない。)

White Collar Season2 Episode10 (Burke’s Seven)

What about ~? は「〜はどう?」と別の案を持ち出す言い方です。self-preservation は「自分の身を守ること」で、格闘訓練がだめなら護身の訓練はどうかと、提案の中身を少しずらしています。

ピーターの返しの you’ve done pretty well with ~ は、「〜についてはかなりうまくやってきた」という現在完了の褒め言葉です。ところが、その対象は the whole running-away thing(逃げるというあの一連のこと)で、かつて逃亡したことのあるニールの経歴を指しています。the whole ~ thing は「〜とかいうあの件」と、話題を少し突き放してまとめる口語表現です。

続く It suits you. も「君に合っている」という褒め言葉の形をとっています。表面は褒めながら、実際には「護身の訓練は要らない」と却下しているのが、この返しの皮肉なところです。

最後の Get a dog. を受けたニールが、ピーターの愛犬サッチモを借りたいと言い出すと、ピーターは No, you can’t borrow Satchmo. と返します。英語では No, you can’t. だけでも答えになりますが、ここでは相手の言葉を丸ごと繰り返すことで、きっぱり断る調子が強まっています。

まとめ|皮肉な理由を添えた断りと、言葉を繰り返す返し

I’d rather not に皮肉な理由を添える組み立て、褒め言葉の形で却下する you’ve done pretty well with ~、相手の言葉を繰り返す断りを見てきました。理由の添え方ひとつで、断りの温度が変わることが分かります。

ピーターとニールの気安い掛け合いを、これからも英語とともに味わっていきましょう。

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