「duck and cover」の意味と使い方|『ホワイトカラー』S06E02で学ぶ英会話

「duck and cover」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

厄介な仕事や都合の悪い状況を押し付けられそうになったとき、あえて目をそらさずに正面から向き合う、という選択をした経験はないでしょうか。

そんな場面にぴったりのduck and coverを、『ホワイトカラー』シーズン6第2話の前半、FBI本部から来た人物に難しい判断を迫られたピーターが、逃げも隠れもしないと言い切る場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「duck and cover」の意味とニュアンス

duck and cover
意味:身をかがめて頭を守る、危険や責任から逃げて身を隠す

duck and cover は、直訳すると「かがんで(頭を)覆う」という意味の口語表現です。duck はここでは「アヒル」ではなく「素早く体を低くする」という動詞、cover は「覆う、守る」という動詞で、この二つが組み合わさることで、危険が迫ったときにとっさに身を守る動作を表します。

そこから転じて、批判や責任追及、トラブルなどから逃げて自分の身を隠そうとする態度を指す比喩表現としても使われます。特にビジネスや政治の場面で、都合の悪い状況から目をそらして関わりを避けようとする様子を表すときに用いられることが多い言い方です。

反対に、そのような態度を取らない、と宣言する場合にも使われる表現で、劇中のピーターのように「逃げも隠れもしない」という覚悟を示す文脈でも自然に使うことができます。ニュース記事やビジネスの会話でも見かける表現ですが、口語的な響きが強いため、フォーマルな文書よりも会話や記事の見出しなどで使われる場面のほうが多いといえます。

【ここがポイント!】

  • 「duck and cover」の核は、危険から身をかがめて頭を守る防御姿勢
  • 責任やトラブルを避けて隠れる態度にも、あえて逃げないという宣言にも使える幅の広さが特徴
  • 文脈次第でネガティブにもポジティブにも転ぶため、前後の言葉で見極めるのがコツ

『ホワイトカラー』S06E02のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ワシントンD.C.から足を運んできたピラーは、ピーターに今回の事件がいかに注目度の高い案件かを説き、用意されたリソースを使えば失敗しても責任は問われないと持ちかけます。追い詰めるような口ぶりに、ピーターがどう応じるのかに注目です。

Pillar: This is a high-profile case…
(これは注目度の高い事件だ……)

Peter: Mm-hmm.
(ええ。)

Pillar: With international ramifications. Everyone will be watching you to see how you handle it. You use the resources we have at our disposal, your ass is covered if everything goes South.
(国際的な影響もある。君がどう対処するか、みんなが見ているんだぞ。うちが用意できるリソースを使えば、万一失敗しても君の責任にはならない。)

Peter: Well, I’ve never been one to duck and cover when the ground starts shaking.
(まあ、地面が揺れ始めたからといって、逃げて身を隠すタイプじゃないので。)

Pillar: We’re not talking about a bad mark on your year-end evaluation. We’re talking about the end of your career.
(年末の評価に傷がつく程度の話じゃない。君のキャリアが終わるかどうかの話だ。)

Peter: I know the stakes here.
(リスクは分かっています。)

White Collar Season6 Episode2 (Return to Sender)

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シーン解説と心理考察

ワシントンD.C.から派遣されてきたピラーは、事件の重大さと国際的な注目度を強調しながら、用意されたリソースを使えば失敗しても責任は問われないという「保険」をちらつかせます。地位も体裁も守れる提案でありながら、ピーターの返答は迷いなく短いものでした。責任逃れの言い訳を最初から選択肢に入れない実直さが、このやり取りに表れています。

ピラーがさらに「年末の評価どころかキャリアそのものが終わる話だ」と警告の温度を上げても、ピーターは「リスクは分かっています」という一言で受け止めるにとどまります。上からの圧力に言葉数で対抗するのではなく、必要最小限の言葉で応じる態度には、揺らがない覚悟が表れています。役職や立場を守るための逃げ道を提示されてもなお、自分の判断を貫こうとする姿勢が、この短い応酬から伝わってきます。

外部からの評価や警告に対して感情的に言い返すのではなく、淡々と受け止めながらも譲らない態度は、ピーターというキャラクターの一貫した誠実さを象徴しているといえます。派手な啖呵を切るのではなく、静かに言い切るだけで十分な説得力が生まれる場面です。

『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ

地震のときに机の下にかがみ込み、頭を両腕で覆う、そんな防災訓練の基本姿勢をそのままイメージしてみましょう。「かがんで(duck)頭を覆う(cover)」という身体の動きが、そのまま「危険や責任から逃げて身を隠す」という比喩の意味につながっています。

劇中でピーターが口にしたのは、まさにこの防御姿勢を「取らない」という宣言でした。地面が揺れても踏みとどまる、という物理的なイメージを重ねておくと、責任逃れをしない姿勢を語る場面でも、逃げる態度を批判する場面でも、どちらの文脈でもすっと言葉が出てくるようになります。

覚えるときは、身をかがめる動作そのものよりも、「なぜかがむのか」という理由に注目すると定着しやすくなります。危険から頭を守るためにかがむのか、それとも責任から目をそらすためにかがむのか。同じ姿勢でも理由によって評価が変わる、というポイントを押さえておくと、文脈に応じた使い分けがスムーズになります。

例文で覚える「duck and cover」

duck and cover は、責任やトラブルへの向き合い方を語る場面でよく使われる表現です。3つの例文でその幅を確認していきましょう。

When the scandal broke, the executive didn’t duck and cover; he faced the press directly.
(スキャンダルが発覚したとき、その重役は逃げて身を隠すことなく、正面から報道陣に対応した。)
企業の不祥事対応を語る場面で使える言い方です。didn’t を伴うことで、責任逃れをしなかったという評価を強調しています。

Some politicians duck and cover whenever a difficult question comes up.
(難しい質問が来るたびに、逃げて身を隠す政治家もいる。)
対応を避ける態度を指摘する、やや批判的なニュアンスの文脈で使われます。whenever を添えることで、繰り返される傾向であることが伝わります。

A: The client is furious about the delay.
B: I know, but I’m not going to duck and cover. I’ll call him myself.
(A:クライアントが納期遅延に激怒しているよ。)
(B:分かってる。でも逃げ隠れするつもりはない。自分から電話するよ。)
トラブル対応への覚悟を語るビジネスの会話です。I’m not going to のあとに続けることで、これから取る行動への強い意志が伝わります。

あわせて覚えたい関連表現

run for cover
(逃げて身を隠す)
duck and cover が「かがんで身を守る」静的な防御姿勢を表すのに対し、run for cover は物理的に「逃げ出す」という動きを伴う点が異なります。危険から距離を取ろうとする点は共通していますが、動作のイメージがより激しい表現です。

pass the buck
(責任を人に押し付ける)
duck and cover が「自分の身を隠す」ことに重点を置くのに対し、pass the buck は「責任そのものを他人に転嫁する」ことに焦点があります。逃げるだけでなく、責任の所在を積極的にずらす点が異なります。

keep a low profile
(目立たないようにする)
duck and cover が危機的な状況からとっさに身を守る反応であるのに対し、keep a low profile は平常時から意図的に目立たないよう振る舞う態度を指します。緊急度の違いが使い分けのポイントです。

Note|「Duck and Cover」が生まれた時代

duck and cover という言い回しの背景には、20世紀半ばのアメリカで行われていた、ある教育活動があります。

冷戦下のアメリカでは、核攻撃の可能性に備えて、学校で子どもたちに「机の下にかがみ込み、頭を両腕で覆う」という避難行動を教える防災訓練が広く実施されていました。この行動を呼びかける合言葉として使われていたのが、まさに duck and cover です。当時制作された教育用の短編映画でも、この掛け声とともに身を守る動作が繰り返し示され、当時の子どもたちにとって馴染み深い言葉として定着していったとされています(制作年や具体的な映画タイトルの詳細は本稿では確認情報として扱いません)。

このように、duck and cover はもともと文字どおり「身をかがめて頭を守る」という物理的な避難行動を指す言葉でした。それが時代を経て、危険そのものだけでなく、批判や責任、都合の悪い状況からも「身をかがめて隠れる」という比喩的な意味へと広がっていきました。物理的な防御姿勢と、心理的な回避行動という、一見離れたテーマが同じ言葉でつながっているところに、この表現の面白さがあります。

劇中でピーターがこの言葉を使ったのも、まさにこの比喩的な意味合いにおいてでした。地面が揺れるような緊急事態でも、あえて「かがんで隠れる」姿勢を取らないと言い切ることで、責任から逃げない実直さを表現していたことになります。避難行動という直訳のイメージを知っておくと、この一言に込められた「逃げない」という意志がより鮮明に伝わってきます。

同じように、もともとは具体的な動作や道具を指していた言葉が、時代を経て心理的な態度を表す比喩に変化していく例は、英語の慣用句には少なくありません。duck and cover は、その変化の過程が比較的たどりやすい表現のひとつだといえます。

危険から身を守るための行動が、いつしか危険から目をそらすことの比喩になった。そんな言葉の変化の跡をたどれる表現です。

まとめ|逃げずに踏みとどまる、その一言

duck and cover は、危険や責任から身をかがめて逃げる態度を表す一方で、あえてそうしない姿勢を語るときにも使える、幅のある表現です。防災訓練の避難行動という直訳のイメージを持っておくと、責任を回避する場面でも、それを拒む場面でも、自然に使いこなせるようになります。

上の立場の人物から「保険」をちらつかされてもなお、ピーターが選んだのは逃げも隠れもしない道でした。地面が揺れ始めても踏みとどまる、そんな覚悟を一言で言い表せる表現として、会話のレパートリーに加えてみてください。

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