海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
疑いをかけられた場面で、まっすぐに否定するのではなく、あえて「そこまで買いかぶらないでほしい」とはぐらかすように切り返された経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
そんなやり取りにぴったりの「have faith in someone」を、『ホワイトカラー』シーズン6第1話の前半、ニールの誘拐について尋問するピーターに対し、関与を疑われかねない立場のレベッカが皮肉めいた言葉で切り返すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「have faith in someone」の意味とニュアンス
have faith in someone
意味:人を信頼する、信用する
have faith in someone は、faith(信仰、強い信頼)という語を使って「その人の能力や誠実さを信じている」ことを表す口語表現です。faith は宗教的な「信仰」に通じる語であり、trust よりも情緒的で無条件に近い信頼のニュアンスを含みます。
「have faith in + 人」の形で、相手を疑わず全面的に頼りにしていることを伝える場面のほか、本記事のシーンのように疑いをかけられた側が皮肉交じりに「そこまで信じてくれているのか」と切り返す場面でも使われます。文脈次第で、まっすぐな信頼にも、軽い皮肉にもなる懐の広い表現です。似た響きの trust in someone よりも、favor(好意)よりも、疑いを差し挟む余地がないという確信の強さが際立つ言い回しでもあります。
【ここがポイント!】
- 「have faith in someone」の核は、疑いを挟まない全面的な信頼の姿勢
- faith という語の重みから、trust よりも情緒的な色合いを帯びる表現
- 疑われた側が皮肉として使い返す、逆手に取った使い方もできる一言
『ホワイトカラー』S06E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ニールが誘拐されたことを受け、ピーターがレベッカのもとを訪れ尋問する場面です。関与を疑われかねない立場に置かれたレベッカが、疑いをまっすぐに否定するのではなく、あえて皮肉めいた言葉で切り返す様子に注目です。淡々としたやり取りの奥に、探り合いの緊張感がじわじわと積み重なっていきます。
Peter: Neal’s been kidnapped.
(ニールが誘拐された。)Rebecca: Well, if you think I did it, you’ve got far too much faith in me.
(私がやったと思っているなら、あなたは私を買いかぶりすぎているわね。)Peter: I don’t think you did it, but you may know who grabbed him. You’re gonna tell me who it is you’re smiling about.
(君がやったとは思っていない。だが、誰が彼をさらったか知っているかもしれないな。その笑みが誰のことなのか、話してもらうぞ。)Rebecca: For the right price.
(相応の見返りがあればね。)White Collar Season6 Episode1 (Borrowed Time)
シーン解説と心理考察
「ニールが誘拐された」と単刀直入に切り出すピーターに対し、レベッカは「私がやったと思っているなら、買いかぶりすぎているわね」とはぐらかすように返します。犯行を真っ向から否定するのではなく、あえて「自分にそこまでの力はない」と装うあたりに、駆け引き上手なレベッカの食えなさが表れています。
ピーターは動じることなく「君がやったとは思っていない。だが、誰が彼をさらったか知っているかもしれないな」と冷静に切り返し、レベッカの笑みの意味を問い詰めます。表情の変化ひとつも見逃さない捜査官らしい観察眼が、このやり取りから伝わってきます。
レベッカが最後に口にする「相応の見返りがあればね」という一言は、情報を持っていることを暗に認めながらも、無償では渡さないという駆け引きの姿勢を示すものです。疑いを否定も肯定もせず、条件を提示する側に主導権を移してしまう話術には、一枚も二枚も上手な交渉相手としての貫禄が漂います。互いに手の内を明かさないまま探り合う、緊迫感のある尋問の一場面です。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
have faith in someone を覚えるコツは、揺るがない確信のように、疑いようのない信頼を相手にまっすぐ向けているイメージを持つことです。faith という語が持つ宗教的な重みを意識すると、単なる「信用」よりも一段強い信頼のニュアンスがつかみやすくなります。
レベッカが使った「too much faith in me」という言い回しも、素直な信頼ではなく、あえて皮肉として投げ返す使い方でした。まっすぐな信頼と皮肉の両方に使える柔軟さごと覚えておくと、疑われた場面でとっさに切り返す一言としても応用できます。
例文で覚える「have faith in someone」
誰かを励ます場面から、疑いを皮肉で切り返す場面まで、have faith in someone を、3つの例文で確認していきましょう。
I have faith in you. You’ll figure this out.
(君を信じてるよ。きっとうまくいく。)
誰かを励ます日常会話の場面です。You’ll figure this out. を続けることで、根拠のない励ましではなく確信を込めた信頼が伝わります。
The coach has faith in his young players despite their recent losses.
(コーチは、最近の連敗にもかかわらず若い選手たちを信じている。)
チームへの信頼を語るスポーツの場面です。despite their recent losses という逆接を添えることで、結果に左右されない信頼の強さが伝わります。
A: Do you really think she’ll finish it on time? B: I have faith in her.
(A:彼女が本当に期限内に終わらせると思う?)
(B:彼女を信じてるよ。)
仕事の進捗を語るカジュアルな会話です。I have faith in her. だけで、根拠を細かく説明しなくても信頼の強さが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
trust someone
(人を信用する)
trust は have faith in よりも中立的で日常的な「信用」を表す表現です。have faith in が情緒的で無条件に近い信頼を含むのに対し、trust は状況や実績に基づいた判断寄りの信頼を指すことが多くなります。
believe in someone
(人の可能性を信じる)
believe in someone は「その人の能力や可能性」を信じるニュアンスが強い表現です。have faith in は誠実さや人柄も含めた、より総合的な信頼を指す点で違いがあります。
take someone at their word
(人の言葉をそのまま信じる)
take someone at their word は「発言内容」への信頼に限定される表現です。have faith in は発言だけでなく人物そのものへ向けられる、より広い信頼を表します。
Note|faith が持つ「信仰」由来の、trustとは違う信頼の重さ
英語には「信じる」を表す語がいくつもありますが、その中でも faith は特別な重みを持つ語です。faith はもともと宗教的な「信仰」を指す語であり、証拠や理屈を超えて相手を丸ごと信じる、という無条件に近いニュアンスを帯びています。
これに対して trust は、これまでの実績や状況に基づいた、より現実的で条件つきの信頼を表すことが多い語です。たとえば「この人はいつも約束を守るから trust できる」というように、根拠を伴う信頼には trust がしっくりきます。一方で have faith in は、根拠を積み上げなくても「それでもこの人を信じたい」という気持ちの強さを表すのに向いています。日本語の「信頼する」という一語では拾いきれない、この温度差が英語の faith と trust の使い分けに表れています。
劇中でレベッカが皮肉として「too much faith in me」と言い返したのも、faith という語が持つ「無条件の信頼」という重さがあってこそ成立する冗談でした。もし trust という語だったなら、ここまで大げさな皮肉としては響かなかったはずです。
信頼という一語の奥にある温度差を知っておくと、英語の表現の幅がぐっと広がります。日本語で「信頼する」とひとまとめにしてしまう感覚を、英語ではfaithとtrustという二つの語に分けて使い分けている、その発想の違い自体が興味深いところです。
まとめ|疑いようのない信頼を、一言で伝える
have faith in someone は、根拠を超えて相手を丸ごと信じる、無条件に近い信頼を表す表現です。faith という語が持つ宗教的な重みを知っておくと、trust との使い分けも自然に見えてきます。
誰かを励ますときも、皮肉として使い返すときも、この一言があれば信頼の強さを簡潔に伝えられます。
疑いをまっすぐ否定せず、あえて「買いかぶりすぎ」とはぐらかしたレベッカの返しには、感情を表に出さずに相手を煙に巻く駆け引き上手な一面が表れています。表情の変化を見逃さずに切り返すピーターとの緊迫したやり取りが、尋問の緊張感を保ったまま場面を印象づけていると言えます。どちらも本音を明かさないまま言葉を交わす、この駆け引きの行方が気になる導入部です。


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