「not by a long shot」の意味と使い方|『ホワイトカラー』S03E16で学ぶ英会話

「not by a long shot」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

これで一区切りだと思っていた対立が、実はまだ終わっていないと相手に告げられて、ひやりとした経験はありませんか。

そんな場面にぴったりの「not by a long shot」を、『ホワイトカラー』シーズン3第16話の終盤、規則違反に及んだピーターをクレイマーが厳しく問い詰める場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「not by a long shot」の意味とニュアンス

not by a long shot
意味:全然そうではない、程遠い

a long shot は元々「成功する見込みの薄い賭け・遠くからの一撃」を意味し、not by a long shot は「わずかな可能性の範囲でさえ、そうではない」という強い否定を表す慣用句です。単なる no よりも、はるかに強く、断固として否定するニュアンスを持ちます。

「もう終わったのか」という問いに対して「全然終わっていない、まだまだだ」と強く否定する場面や、期待値をはるかに下回っていることを強調する場面で使われます。相手に有無を言わせない、きっぱりとした宣言として使われることが多い表現です。

射撃や射的競技における「命中率の低い遠距離からの一発」という語源的なイメージを知っておくと、この表現が持つ「わずかな可能性の幅でさえ届かない」という強い否定の感覚がつかみやすくなります。数字や事実を根拠にした冷静な否定というより、確信を込めて言い切る、感情のこもった否定表現である点も特徴です。

【ここがポイント!】

  • 核は「わずかな可能性の範囲でさえ、まったく当てはまらない」という強い否定
  • 単なる no よりも重みのある、断固とした宣言のニュアンス
  • 会話の最後に念押しのように添えられることが多いのがコツ

『ホワイトカラー』S03E16のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ピーターがニールに協力する中で規則違反や職権の逸脱行為に及んだことを、クレイマーから直接咎められる場面です。クレイマーは、ピーターがニールという詐欺師に丸め込まれているのだと厳しく指摘します。ピーターの短い問いかけへの返答と、最後にクレイマーが残す一言に注目です。

Kramer: Wake up, Petey! Open your eyes! You’re not his partner. You’re his mark! This boy’s run such a good confidence game, he’s got you thinking that you’ve come out ahead in all this.
(目を覚ませ、ピーティー! しっかり見ろ! お前はあいつの相棒なんかじゃない。お前はあいつのカモなんだよ! あの若造はとんでもなく上手い詐欺のゲームを仕掛けていて、お前に「うまくやれている」と思い込ませているだけなんだ。)

Peter: When did you stop putting faith in people?
(いつから、人を信じるのをやめたんだ?)

Kramer: When they stopped deserving it.
(そいつらが、それに値しなくなった時からだ。)

Peter: Oh.
(……そうか。)

Kramer: This isn’t over yet, Pete. Not by a long shot.
(これで終わりじゃないぞ、ピート。まったく、程遠いくらいにな。)

White Collar Season3 Episode16 (Judgment Day)

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シーン解説と心理考察

「目を覚ませ、お前はあいつの相棒じゃない、カモなんだ」というクレイマーの厳しい指摘には、長年の捜査経験に裏打ちされた確信がにじみます。ピーターが積み上げてきたニールとの信頼関係そのものを、真っ向から否定する物言いです。

ピーターが「いつから、人を信じるのをやめたんだ」と問い返すと、クレイマーは「それに値しなくなった時からだ」と、感情を交えず短く言い切ります。この応酬には、二人の人間観の隔たりがくっきりと浮かび上がります。ピーターの「Oh.」という短い相槌には、反論しきれない重さと、クレイマーの言葉の説得力を認めざるを得ない苦さが同居しています。

長年現場を歩んできたクレイマーの物言いは、単なる意地悪や皮肉ではなく、過去に何度も裏切られてきた経験の積み重ねから出ているようにも読み取れます。だからこそピーターも即座には言い返せず、短い沈黙が二人の間に落ちる格好になっています。

最後にクレイマーが「これで終わりじゃないぞ、ピート。まったく、程遠いくらいにな」と念を押す場面には、この対立が一度のやり取りでは収まらず、事態がまだ続くことを強く示唆する重みが込められています。短い沈黙のあとに放たれるこの一言が、二人の対話に不穏な余韻を残します。

『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ

not by a long shot を覚えるコツは、遠く離れた的をめがけて矢を放つ場面を思い浮かべることです。a long shot は「命中する見込みの薄い、遠くからの一撃」を意味し、not by a long shot は、そのわずかな可能性の範囲でさえ当てはまらないという強い否定を表します。

劇中のクレイマーのように、相手に有無を言わせない断固とした宣言として使われることが多く、単なる no よりも重みのある否定として記憶しておくとよいでしょう。的を大きく外した矢のイメージと一緒に覚えておけば、強い否定を表す場面でとっさに口から出てくるはずです。

例文で覚える「not by a long shot」

進捗報告から試合結果まで、not by a long shot を3つの例文で確認していきましょう。

Is the project finished? Not by a long shot.
(プロジェクトは終わったのか? 全然そうじゃないよ。)
進捗状況について率直に答える、ビジネスの場面で使われる基本的な言い方です。

Did we win the game? Not by a long shot — we lost badly.
(試合には勝ったのか? 全然だよ、大負けした。)
試合結果を率直に報告する、スポーツや日常会話の場面にも自然になじみます。

A: Is he the best candidate for the job?
B: Not by a long shot. His experience just isn’t there yet.
(A:彼はこの仕事に最適な人材なのか?)
(B:とんでもない、程遠いね。経験がまだ全然足りていないよ。)
採用や評価について率直な意見を述べる、ビジネスの場面でのやり取りです。

あわせて覚えたい関連表現

far from it
(全然そうではない、それどころではない)
not by a long shot とほぼ同義で使えますが、far from it の方がやや口語的で、軽い場面でも使いやすい表現です。

not even close
(全然近くない、程遠い)
数値や結果の「差」を強調する場面でより自然に使われる、カジュアルな言い回しです。

nowhere near
(はるかに程遠い)
距離的・数量的な隔たりを直接的に表す表現で、not by a long shot ほど比喩的な響きはありません。

Note|射撃・射的競技に由来する a long shot という表現

not by a long shot の強い否定のニュアンスは、a long shot という言葉の語源をたどるとより深く理解できます。

a long shot は、遠く離れた的をめがけて撃つ、命中率の低い一発を指す言葉に由来すると言われています。近距離からの一発に比べて、遠距離からの一発は当たる見込みが大幅に下がることから、「見込みの薄い試み・賭け」を指す比喩として定着していったとされています。long shot at success(成功する見込みの薄い試み)のように、単独でも「可能性の低い挑戦」を表す名詞句として使われる場面も見られます。この語源的な背景を知っておくと、not by a long shot が単なる no ではなく、「わずかな可能性の幅でさえ届かない」という強い否定を表す理由が納得しやすくなります。

劇中でクレイマーが口にした not by a long shot も、この対立がほんのわずかな可能性の範囲でも収まっていない、というニュアンスを込めた、念押しの一言でした。同じ職場で長く働いてきた者同士だからこそ、その一言には軽々しく流せない重みが宿ります。語源にある「届かない一射」のイメージと、目の前の対立が全く収束していないという事実が、この場面ではぴたりと重なっています。

的を大きく外した一射のイメージが、そのまま強い否定の重みへとつながっています。単なる語彙の暗記としてではなく、言葉の背景にある比喩ごと覚えておくと、実際の会話で使うときの説得力も自然と増していきます。

まとめ|まだ終わっていないと告げる、重みのある一言

not by a long shot は、わずかな可能性の範囲でさえ当てはまらないという、強い否定を表す表現です。遠くの的をめがけた一射のイメージを持っておけば、単なる no よりも重みのある否定のニュアンスがそのまま伝わってきます。

進捗を尋ねられたときも、期待を大きく下回る結果を伝えるときも、この一言があれば率直な否定をきっぱりと言い表せます。

クレイマーが最後に残した一言には、この対立がまだ終わっていないという緊張感が凝縮されています。会話のレパートリーに加えてみてください。

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