海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
品物を売り買いするとき、あらかじめ決められた定価ではなく、今その市場で実際に取引されている値段が気になることがあります。相場は需要と供給で常に動いているからこそ、確認したくなる瞬間があるものです。
そんな「今まさに通用している値段」を指す「the going price」を、『ホワイトカラー』シーズン5第10話の中盤、偽造画を売りさばいたヘイゲンが、取引相手に淡々と代金を確認する場面から、一緒に見ていきましょう。
「the going price」の意味とニュアンス
the going price
意味:現在の相場価格
going はここでは「現在進行している、通用している」という意味を持つ形容詞で、the going price は「今その市場で実際に取引されている価格」を指します。定価のような固定的な値段ではなく、需要と供給によって変動する「今の相場」というニュアンスが、この表現の核心にあります。
price の前に going を添えるだけで、「決まった値段」ではなく「変動する実勢価格」であることが伝わる点が、この表現の便利なところです。株価や商品相場のように、常に動き続けている値段を語るときにぴったりの言い回しです。
美術品や不動産、原油といった、価格が変動しやすい商品の取引を語る場面で特によく使われ、時にはサービスの相場料金を尋ねるときにも応用できます。
【ここがポイント!】
- 「the going price」の核は、固定された定価ではなく変動する実勢価格を指す点
- goingという一語が「現在通用している」というニュアンスを付け加える
- 美術品・不動産・株式など、価格が変動する商品の取引でよく使われる
『ホワイトカラー』S05E10のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
偽造画を売りさばいたヘイゲンが、取引相手に淡々と代金を確認します。まるで日常の商談のような口調で金額を聞き、送金の段取りへと話を進めていきます。
Hagen: What was the going price?
(相場はいくらだった?)— 950,000.
(95万ドルだ。)Hagen: That’s good. I assume you still have my account number.
(悪くないな。口座番号はまだ控えてあるはずだが。)— Once we finalize the paperwork, the money will be transferred to you.
(書類の手続きが済み次第、資金はそちらに振り込まれる。)White Collar Season5 Episode10 (Live Feed)
シーン解説と心理考察
「相場はいくらだった?」というヘイゲンの短い問いかけには、偽造画の売却という危険な取引を、まるでいつもの商談のように淡々とこなす冷静さが表れています。95万ドルという金額を聞いても驚く様子はなく、「悪くないな」と受け止めたうえで、すぐに「口座番号はまだ控えてあるはずだが」と実務的な確認に移ります。
通話相手からの「書類の手続きが済み次第、資金はそちらに振り込まれる」という返答も含め、このやり取り全体が事務的なビジネス口調で進む点が印象的です。なお、このすぐあとの場面ではFBI側が携帯電話の追跡に成果がなかったことを話しており、ヘイゲンが電話越しにこの確認を行っていた可能性がうかがえますが、この引用区間自体に通信手段を明示する記載はありません。
感情を交えない短い一問一答の積み重ねが、ヘイゲンの危うさと計算高さを同時に感じさせます。裏取引にこれほど慣れきった態度こそが、彼という人物の油断のならなさを物語っている場面です。値段の確認から口座の確認、送金の段取りまでを一切の淀みなく進めるやり取りには、これが決して初めての取引ではないことをうかがわせる手慣れた雰囲気が漂っています。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
the going price を覚えるコツは、株価のティッカーのように絶えず動き続ける数字を思い浮かべることです。going(動いている、進行中の)+ price(値段)という組み合わせが、「今この瞬間に通用している値段」という感覚そのものにつながります。
劇中でも、偽造画という「今まさに売れたばかりの品物」の値段を尋ねる場面で使われていました。「固定された定価」ではなく「今の相場」という動的なイメージを持っておくと、価格交渉や相場確認の場面でとっさに使いこなせる表現になります。動いている数字を思い浮かべるだけで、goingという一語が持つ躍動感がぐっと身近に感じられるはずです。
例文で覚える「the going price」
中古品の買い物からビジネスの料金相場まで、the going price を、3つの例文で確認していきましょう。
What’s the going price for a used car like this?
(こういう中古車の相場はいくらですか?)
中古品の値段を尋ねる日常会話の場面です。like this を添えることで、似たような条件の品物の相場を尋ねていることが伝わります。
The going price for oil has fluctuated wildly this year.
(今年、原油の相場価格は大きく変動している。)
市況を説明するニュースの場面です。fluctuate(変動する)という動詞と組み合わさることで、価格の不安定さが強調されます。
A: How much should I ask for this painting?
B: Check the going price for similar works first.
(A:この絵、いくらで売りに出せばいい?)
(B:まず、似たような作品の相場を確認してみて。)
値付けの相談をするカジュアルな会話の一場面です。similar works(似たような作品)という比較対象を挙げることで、相場の調べ方まで具体的に伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
list price
(定価、表示価格)
list price は売り手があらかじめ設定した固定的な価格を指すのに対し、the going price は市場の需給で変動する「実勢価格」を指す表現です。
asking price
(売り手の希望価格)
asking price は売り手側が提示する希望額であり、実際の取引価格(the going price)とは異なる場合がある表現です。
going rate
((サービスなどの)相場料金)
going price が主に「商品」の相場に使われるのに対し、going rate は労働・サービスの料金相場に使われることが多い表現です。
Note|the going price / list price / asking price の使い分け
価格を表す英語表現には似たものがいくつかありますが、それぞれが指している値段の「立場」には違いがあります。この3つを比べてみると、状況に応じた使い分けが見えてきます。
list price が指すのは、売り手があらかじめ決めて公表している固定的な値段です。カタログや値札に書かれている、いわば定価にあたります。これに対して asking price は、売り手が「このくらいで売りたい」と提示している希望額であり、実際に成立する価格とは限りません。不動産や中古品の売買では、asking price から値引き交渉を経て最終的な取引額が決まることも多くあります。同じ「売り手が示す値段」であっても、list price が動かしにくい既定路線であるのに対し、asking price はあくまで交渉のたたき台であるという違いも押さえておきたいところです。
一方で the going price は、そうした売り手側の希望とは切り離された、市場で実際に成立している相場そのものを指します。需要と供給のバランスによって刻一刻と変化する、いわば「今の実勢」を表す言葉です。
劇中でヘイゲンが尋ねた the going price は、まさにこの実勢価格の確認でした。定価でも希望額でもなく、「実際にいくらで売れたのか」という結果を聞き出す問いかけだったからこそ、list price でも asking price でもなく the going price が選ばれていたと考えると、それぞれの立場の違いがより実感として伝わってきます。
まとめ|今、実際に通用している値段
the going price は、固定された定価ではなく、市場で今まさに取引されている実勢価格を指す表現です。動き続ける相場というイメージを持っておくと、価格を確認する場面で自然に使える一言になります。
中古品の値段を尋ねるときも、変動の激しい市況を語るときも、この表現があれば「今の値段」であることを的確に伝えられます。
危険な取引を淡々とした口調でこなしたヘイゲンの姿には、裏の世界に長く身を置いてきた人物ならではの冷静さと計算高さが表れています。その落ち着き払った態度ごと、表現の引き出しに加えてみてください。


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