親が子を説得する、提案と交換条件の英語|『ヤングシェルドン』S01E01で学ぶ英会話

『Young Sheldon』コラム: 親が子を説得する、提案と交換条件の英語|『ヤングシェルドン』S01E01で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

シットコム『ヤングシェルドン』シーズン1第1話は、9歳のシェルドンが兄と同じ高校へ飛び級で通い始める回です。登校の場面から家での会話まで、家族や学校の大人たちが相手を動かそうとする言葉がいくつも出てきます。

今回は、提案を切り出す how about we と tell you what、そして誘いにも言い返しにもなる Why don’t ~? を、場面ごとにたどります。

目次

「how about we」と「tell you what」で説得する

高校に着くと、シェルドンはある生徒を見て服装規定に触れます。母メアリーはその話題を受けて、蝶ネクタイを外すよう切り出しました。

Mary: Speaking of which, how about we lose the bowtie?
(そういえば、蝶ネクタイは外したらどう?)

Sheldon: Why?
(どうして?)

Mary: Look around, honey. None of the other kids are wearing one.
(周りを見てごらん。ほかの子は誰も着けてないでしょ。)

Sheldon: Well, perhaps I’ll start a fad.
(なら、僕が流行を作るかもしれないよ。)

Mary: No, you won’t. Please trust Mommy. All right, tell you what. You take it off, and this weekend, I’ll take you to RadioShack.
(作らないわよ。お願い、ママを信じて。じゃあ、こうしましょう。外してくれたら、今週末ラジオシャックに連れていってあげる。)

Young Sheldon Season1 Episode1(Pilot)

Speaking of which は「その話で言えば」と、直前の話題を足がかりに次の話へ移る前置きです。服装規定の話が出たところをとらえて、本題の蝶ネクタイにつないでいます。which は、直前に出た話題そのものを指しています。続く how about we ~? は「〜するのはどう?」という提案の形で、主語を we にすると、相手に命じるのではなく一緒に決める響きになります。

理由を聞かれたメアリーは、まず周りの子を見るよう促しました。シェルドンの perhaps I’ll start a fad は、周りに合わせるより自分が流行を始めるかもしれないという返事で、perhaps が「ひょっとすると」と可能性を控えめに添えています。

そこでメアリーは Please trust Mommy. とお願いに切り替え、最後に tell you what で週末の約束を持ち出します。tell you what は「じゃあ、こうしよう」と条件つきの申し出を切り出す前置きで、理由、お願い、交換条件の順に説得が進んでいく流れが読み取れます。

  • A: How about we leave a little earlier tomorrow?
    (明日は少し早めに出るのはどう?)
  • B: Sure. Tell you what, I’ll pick you up at seven.
    (いいよ。じゃあ、7時に迎えに行くね。)

「Why don’t we all just ~?」で場を落ち着かせる

別の場面では、教員たちと校長の話し合いで、マッケルロイ先生がシェルドンの入学に反対します。ピーターセン校長はそれをなだめる側に回ります。

Ms. MacElroy: This is a stupid idea. This boy does not belong in our school.
(ばかげた考えです。この子はうちの学校にいるべきではありません。)

Principal Petersen: Come on Vicky, it’s just the first day. Why don’t we all just take a deep breath here?
(まあまあ、ヴィッキー、まだ初日ですよ。ここはみんなで一度深呼吸しませんか?)

Young Sheldon Season1 Episode1(Pilot)

Why don’t we ~? は形の上では「なぜ〜しないのか」という疑問文ですが、実際には「〜しようよ」と誘う提案として働きます。ここでは all を添えて、その場の全員に向けた呼びかけになっています。

just は「ちょっと〜するだけ」と行動の負担を小さく見せる語で、take a deep breath は「深呼吸する」、転じて「いったん落ち着く」という意味です。直前の it’s just the first day と合わせて、結論を急ぐ段階ではないと伝えているのが分かります。

校長は相手を名前で呼び、Come on と前置きしてから提案に入っています。Come on はここでは「まあまあ」となだめる合図です。呼びかけ、なだめの合図、提案という順に言葉を重ね、強い反対に正面からぶつからない組み立てになっています。反対の中身に反論する前に、まず全員の熱を下げようとする一言だと言えます。

  • A: This plan is never going to work.
    (この計画はうまくいきっこないよ。)
  • B: Why don’t we all just calm down and talk it over?
    (みんなでいったん落ち着いて、話し合ってみない?)

同じ「Why don’t you ~?」が言い返しになるとき

同じ形が、まったく違う働きで使われる場面もあります。テレビを見ていたミッシーに、父ジョージが席を外すよう言う場面です。

George Sr.: Missy, go somewhere else. I need to talk to your brother.
(ミッシー、どこか別の所へ行け。お前の兄弟と話があるんだ。)

Missy: Why don’t you go somewhere else and I can watch Duck…
(パパが別の所へ行けば? そしたら私が見られるし……)

George Sr.: Go!
(行け!)

Missy: I hate everybody.
(みんな大嫌い。)

Young Sheldon Season1 Episode1(Pilot)

ジョージの go somewhere else は「どこか別の所へ行け」という指示で、話がある相手としてシェルドンを挙げています。ミッシーはこの言葉をそのまま借りて、Why don’t you go somewhere else と返しました。形は校長の言葉と同じ Why don’t ~? ですが、ここでは誘いではなく、相手の指示をはね返す言い返しです。go somewhere else の部分は父の言葉のままで、主語を you に向け直すだけで反論が成り立つ形です。

ジョージの Go! は一語だけの命令で、やり取りはそこで打ち切られます。最後の I hate everybody. は思いどおりにならない不満を大げさに言った一言で、字義どおりに受け取る場面ではありません。同じ疑問文の形でも、誰に向けてどんな流れで口にするかで、誘いにも反発にもなるのが面白いところです。

  • A: You should apologize first.
    (先に謝るべきだよ。)
  • B: Why don’t you apologize first?
    (そっちが先に謝れば?)
表現 場面での働き
Speaking of which 直前の話題を受けて本題に入る
how about we ~? 一緒に決める形で提案する
tell you what 条件つきの申し出を切り出す
Why don’t we all just ~? 場を落ち着かせる提案
Why don’t you ~? 相手の指示を言い返す

まとめ|説得の段取りと Why don’t の二つの顔

how about we ~? で提案し、tell you what で交換条件を出す。Why don’t we all just ~? は場を落ち着かせ、同じ形の Why don’t you ~? は言い返しにもなります。説得をめぐる英語が、一つの回にそろっています。

次回も『ヤングシェルドン』の会話を観ながら、英語表現を一緒に拾っていきましょう。



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